日本の起業家精神を育てる鍵は、「失敗できる社会」と「職人気質」

提供元:日本アムウェイ

2017.05.19

2017年4月4日TRUNK BY SHOTO GALLERY(東京・渋谷区)にて、日本アムウェイ合同会社主催のシンポジウム「Think of Japan's Future : これからのニッポンを考えよう!」が開催された。独自の調査で明らかになった日本人の起業家精神の低さを取り上げ、その原因や今後の日本のあり方について闊達な意見が交わされた。本イベントでは、早稲田大学・ビジネススクール教授の東出浩教氏に加え、モデルの長谷川理恵さん、夫で起業家の楠本修二郎氏 (カフェ・カンパニー 代表取締役社長)、同じく起業家のアーネスト M. 比嘉氏(ヒガ・インダストリーズ 代表取締役会長兼社長)が登壇。母親、父親、起業家、それぞれの視点から語られる「起業家精神」論は、日本がより豊かな国となっていく上での大きなヒントとなるだろう。
さて今回は、東出教授に加え、日本アムウェイの政府・渉外本部 ディレクター、マーク・ディビッドソン氏に「日本人の起業家意識の低さ」に関してお話を伺った。調査結果を元に、『何故日本人は起業家(アントレプレナー)になれないのか』を話し合って頂いた。

日本人は何故アントレプレナーとなれないのか?

—日本人は起業家精神に欠けているというのは良く論じられますが、本当なのでしょうか。

「今の日本はアントレプレナーシップの過渡期です。2015年には安倍総理がシリコンバレーを訪問し、マーク・ザッカーバーグらと対談を行ったそうです。政府としても起業家の育成に取り組みたいとのことで、これからの展開には注目したいところですね。」(マーク・ディビッドソン氏)

「とはいえ、日本の起業家精神指標は世界最低レベル。世界平均を50%として、日本の数値は26%。ちなみにアメリカは56%、日本を除いたアジアの平均は70~80%にも上ります。このパーセンテージを決める指標としては、起業が自分のキャリア形成にとって望ましい機会になるという『やりたい気持ち』、起業に必要なスキルやリソースがあるという『やれる自信』、最後に、家族や友人の影響で起業を思いとどまることがないという安定性、つまり『周りの環境』の3つです。その中で『やれる自信』が日本では目立って低いです。これは今後議論すべき課題です。」(東出浩教教授)

—『やれる自信』が低いとはどういうことなのでしょうか? 「多くの日本人は、いざチャレンジしてみたところで食っていけない、つぶれてしまうかもしれないと思っているみたいですね。つまり、日本人は売る能力に自信がないのではないかということです。皆が皆、就職しようとしている世の流れからみても、この「自信のなさ」は窺い知ることができますよね。要は皆、「既に売る仕組みができている中で働く」ことを目指しているんです。 こうなってしまった原因としては、やはり教育の中でのトレーニングが足りないというところがあると思います。幼い頃から、自分からアウトプットして成功したという体験が欠落しているのです。」(東出浩教教授)

アントレプレナーシップ向上の鍵は「職人精神」

—『やれる自信』がないのは、日本ならではの理由があるのですか?

「日本語には「安全」という言葉と「安心」という言葉がありますよね。前者は科学的な根拠や治安面などから、危険が少ないと測った結果を指します。対して後者の「安心」は測ることができない。あくまで心の問題だからです。英語的表現ではこの2つを区別する言葉はありません。日本特有の考えなのでしょう。

ステレオタイプな考えではありますが、日本の親御さんは「今まで皆が歩んで来た道=安心」と捉えているのかもしれません。だからこそ、既に成功している大企業に入った方が安心、という考えになるんです。」(マーク・ディビッドソン氏)

「アメリカのアントレプレナーには、強力なロールモデルがいますよね。マーク・ザッカーバーグやビル・ゲイツなど、「僕もああなりたい!」というパブリックフィギュアがある。 日本にも起業家はいますが、どちらかというと、例えば「僕も、あの起業家と一緒に働きたい」という思考回路。個人のロールモデルも活躍しつつ、フォロワーがグループとして創造していくためのアントレプレナーシップを育てることが大切です。」(東出浩教教授)

—逆に日本が高い点はありますか?

「そうですね。日本の起業家精神指標として、『やれる自信』と『周りの環境』のポイントが特別低いのに対して、『やりたい気持ち』は比較的高いようです。ただ、自分でリスクを冒してまでやってみたい、というところまでは踏み切れていない「いいとこ取り」したいというのが現状ですね。

この状況の打開策としては、1つめは「社会側も環境を整備するからリスクをとれ」という考えがあります。もう一つは、「少々分け前をもらう代わりに、ある程度までは組織・会社がリスクをとろう」という考えです。後者は「いいとこ取り」の現実を認めて、クリエイティブな方向に持っていくやり方です。アムウェイはまさに、そのような場となっていますよね。売るためのものは既にあって、あとは自分の才覚でどんどん伸ばしていけるという意味で。」(東出浩教教授)

「歴史を振り返れば、日本はもの凄いパワーで新しい道を開拓していることがわかります。明治維新や戦後の混乱など、多くの困難に見舞われる中でゼロから成長してきたのです。このような国は世界を見ても決して多くはありません。だから日本にこそ、開拓精神はしっかりと根付いているはずです。ただ、今まで歩んで来た道が正しかったと思い込んでしまっているのが問題です。

車や電化製品など、ハードが経済を引っ張り上げていたかつての時代は良かったんです。日本人の「職人気質」はまさに求められる能力でしたから。しかし今はソフトの時代。アプローチ方法を変えなければなりません。

日本は危機感があれば大きな変化の波をも乗りこなせる国です。諸々のスキルも高く、特許の数も世界トップ3。イノベーションを起こせる環境はあるはずなのです。」(マーク・ディビッドソン氏)

—そうした状況において、学生が行える事は何がありますか?

「日本には『失敗は成功の元』ということわざがありますが、実際にそのように考えている日本人は少ないのではと思っています。シリコンバレーのように、「失敗したって大丈夫!」という環境を整えることが第一です。だからこそ、とにかく学生の皆さんには、海外留学を強くおすすめしたい。留学中は当然ながら毎日失敗の連続ですから。しかし、それらを乗り越え続けることで、生き残る力を手に入れることができるようになります。自分が楽をできる環境から出て、努力することで自信と、クリティカル・シンキングのスキルがついてきますよ。」(マーク・ディビッドソン氏)

—今後、日本が取り組むべき課題とは?

「アメリカにはアメリカ、日本には日本のアントレプレナーシップがあります。日本人が活かすべきは「職人精神」。ディテールにこだわるという面は、ソフトウェア業界でも大きく役立ちます。例えば、ソフトウェアのバグを探すソフト等を見ると、日本はかなり優れた製品を生み出しているんですよ。」(マーク・ディビッドソン氏)

「リスクは抑えて、でも楽しい仕事。結果もしっかり付いてくる。そんな環境があれば、実際に起業する人が少なくてもクリエイティブに頑張る人が増えるはずです。」(東出浩教教授)

「社会保障制度は整備され、修学・識字率も世界最高レベルです。基盤はしっかりしています。だからこそもう1ステップ進んで、柔軟性のある、「入りやすくて、出やすい社会」を作っていくことが必要です。ある程度キャリアを積んだあとに転職しても良いし、子育てが終わってから新しいキャリアを始めるのも良いでしょう。」(マーク・ディビッドソン氏)

「必要なときに必要なだけのトレーニングを受けられる環境を整えたいですね。やりたいことが見えたときに、年齢やタイミング問わず、学べる機会をつくっていかなければなりません。」(東出浩教教授)

サマーインターンシップを通してグローバル人材の育成を

—日本人の起業を促すために、アムウェイが始めた取り組みなどはありますか?

「アムウェイのビジネスモデルは、女性やグローバル人材の育成という点において、今後の日本の発展に貢献できるはずと考えています。 また、先ほど是非留学してほしいという話をしましたが、日本人留学生は年々減ってきているというのが現状です。そこでアムウェイは今年から、アメリカにいる日本人留学生への『サマーインターンシップ』の提供を始めました。学生を一人前の社会人として扱い、給与もしっかり出す。留学することで学ぶチャンスを具体的に提示していきたいと思っています。」(マーク・ディビッドソン氏)

「この試みに関して、高校生や中学生に対しても門戸が開かれると、更に多くの優秀な人材の輩出につながっていきそうですね。今、日本が持つスキルにグローバルな視点とスピード感、それと、もちろんアントレプレナーシップが加われば、未来はかなり明るくなっていくことでしょう!」(東出浩教教授)

—ありがとうございました。

日本アムウェイ合同会社

代表者:ピーター・ストライダム
URL: http://www.amway.co.jp/
住所:東京都渋谷区宇田川町7番1号
概要:アムウェイは売上世界 No.1のダイレクトセリング企業*1です。ミシガン州エイダに本社を置き、世界100以上の国と地域で事業を展開しています。企業ビジョン「Helping People Live Better Lives」のもと、良き企業市民として人々がより良い暮らしを実現するためのパートナーになることを目指し、日常的に使用する様々な製品を提供しています。*1 2016年 Direct Selling News誌の Global 100ランキングに基づく