エンタメで地域を活性化! “ポニーキャニオン流”地方創生術とは

提供元:(株)ポニーキャニオン

2016.08.30

大阪府の百舌鳥・古市古墳群をバラエティ風に紹介するテレビ番組や、佐賀県の有田町と武雄市を舞台とした本格派のオリジナル・アニメーションなど、エンターテインメント色の強い個性的な地方創生コンテンツを手掛けるポニーキャニオン。「地域共業ワーキング・チーム」の座長をつとめる村多正俊さんに、同プロジェクトにかける思いをお聞きした。

地域共業ワーキング・チーム 座長 村多正俊さん

1966年の創業以来、音楽、映画、娯楽などのあらゆるエンターテインメント分野で事業を展開してきたポニーキャニオン。レコード事業のイメージが強い同社だが、近年では新規事業の立ち上げにも意欲的だ。

数ある事業の中でもひと際目を引くのが、長年蓄積したネットワークとリソースを最大限に生かしてエリア活性化のサポートを担う「地域共業事業」。本来であれば「協業」と書くところだが、「共に歩む」という意を込め、同社は「共業」としている。「地方創生」と聞くと、どうしても自治体によるお堅いお役所仕事のイメージが付いて回るが、同社がこれまでに手がけてきたコンテンツやイベントはそれらのステレオ・タイプにとらわれない個性的なものばかりだ。

そもそも長年エンターテインメント事業を展開してきたポニーキャニオンが、地域協業事業に踏み出すことになったのは一体なぜなのだろうか? 同事業の発起人であり、「地域共業ワーキング・チーム」で座長をつとめる村多正俊さんは、プロジェクト立ち上げ時の心境を次のように振り返る。

「地域協業事業を意識し出したのはかなり昔で、当時は音楽制作のディレクターをしていました。もともと日本の文化が大好きだったこともあり、イベントやプロモーションなどでアーティストと地方を訪問する際には、その土地の史跡や商店街を見て回るのをひそかな楽しみにしていたんです。でも、2005年ごろから地方が急速に疲弊していくのを肌で感じるようになってきて、エンターテインメントの力でエリアの活性化はできないものか? と考えるようになりました」

村多さんが抱いた漠然とした思いは、それから十年以上の歳月を経て思わぬ形で実現することになる。
「レコード事業のイメージが強い弊社ですが、以前から新規ビジネスの開拓には積極的でした。そんな最中、社内の管理職を対象とした研修で“新規ビジネスの創出”が課されたんです。研修に参加していた僕は、まさにこれだ! と思って、さっそく以前から温めていた地域協業事業を提案してみることにしました」

その後、本腰を入れて地方創生事業の経済規模やコンペに関するリサーチを開始したという村多さん。若手社員の有志メンバーとともに臨んだ初のコンペでは確かな手応えを得ることになる。

「2015年2月の人事異動で社長直轄の部署に異動になり、地域協業事業を始動させました。入社2、3年目の後輩たちと一緒に初めて臨んだコンペはいいところまで行ったのですが、残念ながら敗北……。でもコンペが終わった後で自治体の方から“これまでにない斬新で面白い企画でした!”との言葉をいただいて、これは“やれるかもしれない”と自信が湧いてきたんです」

ポニーキャニオンならではの“強み”

何から何まで手探りで始めた地域協業事業ではあったが、村多さんの熱意に惹かれてか、今ではあらゆる部署を横断して経験豊富なメンバーが協力してくれているという。

「音楽に限らず、映画やアニメなど多岐にわたるエンターテインメント事業を展開しているのが弊社の特徴なので、あらゆる部署からメンバーが集まり、それぞれが持っているネットワークやリソースを総動員できるのは大きな強みだと思います。地域協業事業では、若手社員の感性が生かせるのはもちろんのこと、ベテラン社員の知恵や経験もとても頼りになります。どんな仕事もそうですが、クライアントから厳しい制約や要求を課されたときには、経験豊富な社員の“なんとかなるさ”という大らかな自信に救われることが多いですね(笑)」

近年では国を挙げて地方創生が推進されており、広告代理店に多額の予算を投じてイベントを打つ自治体も少なくない。そんな現状にあって、あえてエンターテインメント企業であるポニーキャニオンとタッグを組むことのメリットとは何なのだろうか?

「僕らがお手伝いすることの強みとしてまず挙げられるのは、徹底した外部目線でコンテンツ作りができるということです。地域活性化を目的としてコンテンツやイベントを立ち上げる際には、当然ながらその地域ならではの面白さや魅力を引き出すことが求められます。それは例えば、方言やその土地にしかない風習です。でも、実は地域に根付いた独自の文化ほど地元の人たちからすれば当たり前すぎて見落とされてしまいがちなのです。だからこそ、圏外の人間である僕らが実際にその土地に滞在し、地元の方々と触れ合う中で客観的に魅力を再発見してあげることには大きな意義があると思います」

音楽や映画、アニメーションなど、あらゆるジャンルでヒット・コンテンツを制作してきたポニーキャニオン。そんな彼らだからこそプロデューサーの目線に徹して地域の魅力を引き出すこともできるのだろう。しかし、どれだけ魅力のあるコンテンツを作っても、多くの人の目に触れなければ地域活性化にはつながらない。村多さんは、その点にもポニーキャニオンのリソースが生かせると言う。

「一般に媒体へ情報を発信する場合は、PR会社へ依頼しますが、弊社の場合はテレビ局や新聞社、Webメディアなどにダイレクトにアプローチしています。コンテンツを作った我々の熱量をそのまま媒体側へ伝えることができるので、彼らも積極的に採り上げてくれるのです」

メディア露出にかける村多さんの自信は伊達ではない。実際、福井県を初めとする13の地方と共同で企画したUターン・Iターン者向けイベント「ふるさといいことフェア」では、約250ものメディアに露出してPRを行うことに成功している。さらに、グループ企業である共同テレビ・長野放送と連携して制作した剛力彩芽さん主演のWeb配信ドラマ『あの頃のわたしへ』も話題を呼び、YouTubeでの視聴数は公開後わずか3週間で目標の10万PVに達したという。

剛力彩芽さん主演のWeb配信ドラマ『あの頃のわたしへ』

コンテンツに血を通わせる“熱意”

ポニーキャニオンの地域共業ワーキング・チームが手掛けるPRコンテンツは、「ふるさといいことフェア」のようなイベントのみにとどまらない。たとえば今年の4月には、佐賀県の有田町と武雄市を舞台としたオリジナルアニメーション『約束の器 有田の初恋』と『冬の誓い 夏の祭り 武雄の大楠』を公開している。『プロゴルファー猿』や『らんま1/2熱闘編』など、数々の名作を手掛けてきた西村純二さんが監督であったことも話題を呼んだ。

質の高いコンテンツを次々に発信し、地域を活気づけてきた村多さんだが、地方創生コンテンツをプロデュースする上で、心がけていることはあるのだろうか?

「当たり前のことですが、必ず現地を訪れてその土地の空気に触れること。これに尽きると思います。地方でコンペが開催される場合、参加表明や企画提案書の提出は郵送で済ませてしまうこともできますが、僕らの場合は必ず現地を訪問し、直接行います。やはり、現地に滞在して、自分の足でスポットを回らなければ、その地域を盛り上げることはできないと思います」

佐賀県を巡るアニメーション「冬の誓い 夏の祭り 武雄の大楠」

地方創生から地域ブランディングへ

そんな村多さんの熱意と地域への愛情は、民間企業と地方自治体という垣根を超えた「地方創生」の新たな可能性を見せてくれる。

「ひとつひとつの案件が成功し、その土地がにぎわうのはとてもうれしいことですが、僕らとしては“点”ではなく“線”として継続的にエリア活性化のお手伝いをしていきたいと考えています。ポニーキャニオンという企業がエンターテインメがら、地方創生の先にある地域ブランディングなども視野に入れた新たなアプローチをしてきたいですね」

一時的な話題作りのみにとどまらず、自治体に寄り添い続ける中で地域を盛り上げ、息の長い「活気」を呼び起こすこと。それこそが村多さんが掲げる「地域共業」なのだろう。

エンターテインメントの力が地方をどのように変えていくのか、今後の期待は高まる一方だ。


文:菊池拓哉  写真:田中郁衣

(株)ポニーキャニオン

代表者: 吉村 隆
設立: 1966年10月1日
URL: http://www.ponycanyon.co.jp/
住所: 東京都港区虎ノ門2-5-10
概要: 音楽、教養、文芸、スポーツ、映画、娯楽など各種パッケージソフト(CD、DVD等)及びデジタルコンテンツの企画、制作、販売