270万部突破!図鑑「MOVE」が子どもに愛される秘密と今後の構想について

提供元:講談社

2017.11.02

図鑑と言えば、「調べたいものがある時に開いて、勉強するもの」「情報がカタログ的に一覧になっているもの」とイメージする人が多いだろう。しかし今、その図鑑業界に風穴をあけた図鑑が子供やその親の間で話題になっている。それが講談社発行の図鑑「MOVE(ムーブ)」だ。その勢いは凄まじく、現在累計売上270万部を突破。図鑑テーマは、恐竜・昆虫・魚のほか、鉄道・古代文明の不思議など多ジャンルに渡る。インパクトのある表紙から始まり、各ページの大きな写真、印象的なイラスト、動画も楽しめるDVD付きと、様々なアプローチで子供の心を掴んでいる。そこで今回、この図鑑の生みの親であり、現編集長の森定泉氏(講談社)を直撃。「MOVE」の制作背景・こだわりの他、図鑑を飛び出した次なる展開などを伺った。

MOVE編集長 森定泉氏


図鑑は子供の興味を掻き立てるものであって欲しい

森定氏が図鑑「MOVE」を立ち上げたのは2009年。立ち上げ当初から、「調べる図鑑」という従来の概念に捕らわれず、子供たちにとって新たな刺激を与えるものを生み出したいと、構想を練っていたという。

森定氏「子供が見る図鑑は、好奇心を抱いたり、興味を持つきっかけになることが大事だと思っています。子供たちは面白いもの、興味があることを見つければ、「調べたい!」という気持ちが自然と湧いてきて、自主的に調べ始めます。そのため、調べ学習というような宿題で使う図鑑ではなく、子供が好きなものに出会える図鑑を作りたいというのがスタートでした。」

そこで、子供がより興味を持つために、図鑑にどんな個性を持たせてあげるのがよいか考えたところ、自身の幼いころの経験を思い出した。

森定氏「幼いころからもともと図鑑や百科事典は好きだったのですが、小学生の時の雑誌「ニュートン」との出会いは強烈でした。これまで読んでいた図鑑と比べて「ニュートン」は写真やイラストが大きく、印象的でした。見開きでみた宇宙の写真は今でも頭の中に残像がよぎります。この経験から子供に興味を持ってもらうためには、写真のインパクトが欠かせないと感じ、これが今の「MOVE」に活かされています。」

確かに「MOVE」の写真は、大きかったり、躍動感があったり、初めて見る写真だったりと、インパクトが強い。

森定氏「子供は写真のインパクトが強いと、そこで興味を持ち始めます。「何でこの昆虫はこんな格好をしているんだろう」と。そうすると横にある解説文を自然と読んだり、もっと知りたいと思うと、他の本で調べたりするんですよね。だからこそ、校了する最後の最後まで写真のクオリティにはとことんこだわっています。写真のインパクトが弱ければ次々と変えていくし、もっと面白い写真が見つかったら差し替えたりしていますよ。」


子供の夢を育てる図鑑でありたい

子供の好奇心を掻き立てる、それだけでも充分すごいことだと思うが、森定氏が描いている理想はさらにその先。子供が一生覚えているもの、そして将来の夢にも繋がるようなものを目指しているのだ。

森定氏「見開きのイラストもただインパクトだけを重視しているわけではありません。MOVEでは、子供たちが一生覚えているような写真やイラストを目指しています。例えば「宇宙」の図鑑では、木星の衛星である「エウロパ」を紹介しています。このページのイラストは、探査船が「エウロパ」に辿りつき、調査をしようとしている瞬間を描いています。実際にはまだ探査船は「エウロパ」には行っていないですが、子供たちは「エウロパ」に探査船がいく未来を想像することができます。さらに、このイラストをみた子供が将来、宇宙系の仕事につき「エウロパ」に携わることになった時にこのイラストを思い出して、何か発想のきっかけになればいいなと。「MOVE」では、事実だけではなく、未来も描くことで子供たちの想像性を刺激することも、大切にしています。」

森定氏のこの想いが子供たちにも伝わっているのか「図鑑を読んで宇宙飛行士になりたいと思いました!」など、多くの子供から将来の夢を持つキッカケになったというメッセージが編集部に届くという。図鑑「MOVE」は、子供たちの中で一生忘れられないコンテンツとなり、夢を育てる存在にもなりつつあるようだ。


リアル体験でもっと強烈なインパクトを!

図鑑で子供の好奇心を刺激している「MOVE」が、今年新たな展開に踏み出した。なんと「MOVE」が図鑑を飛び出してリアルイベントになるというのだ。第1回目は「MOVE 生きものになれる展」。その名の通り、生きもの目線で様々なことを体験できるイベントだ。


森定氏「子供たちの五感を刺激するという意味で、ワークショップのような体験形式のイベントはずっとやってみたいと考えていました。自分で体験してみることで、興味を持ったり、面白いと感じたりすることってありますからね。今回の「生きものになれる展」では、自分が生きものの目線で様々な体験することで、生きものへの興味はもちろん、「生きものってすごいな」っていう、自分以外の生きものへの愛情や尊敬を深めてもらいたいと思っています。」

体験の内容を見てみると「ライオンになって獲物に跳びかかれ」「ペンギンになって氷をすべり抜けろ」「バシリスクになって水上をはしれ」など、からだを動かしながら生態を学ぶことができる展示が盛りだくさんだ。

森定氏「今回、VRやARのような最先端のデジタルテクノロジーを使ったコンテンツではなく、五感をフルに使うアナログな体験が多くなっています。子供に「驚き」や「感動」を与えたいという想いを追求した結果、この展示内容に辿りつきました。」

森定氏「現在準備を進めていますが、体験内容を考えるのはとても苦労しています。例えば、水の上を走るトカゲ「バシリスク」の体験は、最初からアイディアはありましたが、どうやってこれを子供たちに体験させるかとても悩みました。片栗粉を水に溶いて、その上を全力で足踏みするという方法もあったんですけど、あまりにも汚れて・・・。洋服がぐちゃぐちゃになったら親に怒られるんじゃないかなど(笑)。今回はとにかく「水の上を走る」という体験を子供たちにしてもらいたかったので、別の方法に落ち着きました。やってみれば、そんなに特別な仕掛けではないのですが、意外とだれもやったことのないような、新しい体験のアトラクションができたと思います。」

確かに、VRやARという新しいデジタル技術で子供たちに興味を持ってもらうやり方もあるが、今回の展示内容のように「この生きものの気持ちなってみたい!」「虫の目線を体験したい」など、子供たちの生きものそのものへの興味関心を引き出せるというのは、今回のイベントの重要なポイントと言えそうだ。


子供には、色んなことを面白がって欲しい

最後に、図鑑「MOVE」とリアルイベント「MOVE 生きものになれる展」を通して、森定氏は子供たちにどんな刺激を与えたいのか聞いてみた。


森定氏「子供は子供らしく、とにかく色んなことを面白がって欲しいですね。それがスポーツでもいいし、音楽でも、ゲームでも、芸術でも何でも良いと思います。その中の1つに「MOVE」も入ることが出来たら嬉しいですね。大人になると「これは覚えても意味がないかな」など、どうしても自分でフィルターを作ってしまいがちですが、小学生前後の子供たちは、色んなことに純粋に興味を持つことができます。たくさんのことに面白さを感じて、自分の世界を広げていって欲しいですね。「MOVE」もそのキッカケになれるように、進化を止めずに頑張っていきたいと思います。」

従来の「調べる図鑑」から、「好きなものに出会う図鑑」としての地位を確立した「MOVE」。そこには、子供たちに「驚き」と「感動」を与え、様々なことに興味を持って欲しいという作り手の想いが込められていた。新たなリアル体験とともに、今後も「MOVE」の展開から目が離せなくなりそうだ。


■図鑑「MOVE」 発行:講談社
 現在17テーマの図鑑が好評発売中!

■企画展「MOVE 生きものになれる展-動く図鑑の世界にとびこもう!-」
会期:2017年11月29日(水)~2018年4月8日(日)
時間:10:00~17:00(入場は閉館時刻の30分前まで)
休館日:火曜日(12月26日、1月2日、3月20日、27日、4月3日は開館)
    年末年始(12月28日~1月1日) 会場:日本科学未来館(東京・お台場)

詳細は特設ホームページへ
http://zukan-move.kodansha.co.jp/nareru/