VR×地方創生で、地域の課題解決に挑む

ロントラ株式会社

代表取締役 / 西村 佳之

動画を起点としたコミュニケーションで、創業以来、成長を続けるロントラ株式会社。会社の屋台骨を支えるTV番組制作事業に加え、ここ数年、力を入れているのがVR制作事業だ。このVRに地方創生を絡めたロントラの取り組みはいま、方々から熱い視線を集める。代表の西村佳之氏に、ロントラの強みと創業の経緯、さらには目指す会社の未来について伺った。

PROFILE

代表プロフィール

1974年生まれ。愛媛県宇和島市出身。新卒入社した出版社を25歳で退職し、テレビ業界へ。制作会社でディレクターとしての経験を積み、28歳でフリーランスに。ディレクター、構成作家として仕事を請け負うなか、信頼できる自分のチームをつくり、制作するものにブランド力をつけたい思いから、2011年2月、ロントラ株式会社を設立。代表取締役に就任、現在に至る。

目次
  • 1. 地方PRの先進事例を続々と生みだす、ロントラのVR制作事業とは
  • 2. 自分の組織をつくりたい。フリーランスから一転、起業家に
  • 3. 「なりたい自分になる」クリエイターを憧れの職業に
  • 4. 真の意味で、地方課題と向き合う。ロントラのあくなき挑戦
  • 5. Leaders Item

地方PRの先進事例を続々と生みだす、ロントラのVR制作事業とは

―ロントラが力を入れているVR制作事業は、地方創生に挑む自治体からの引き合いが多いと聞きます。まずは、VR制作に目を向けたきっかけ、地方自治体関連のプロジェクトと結び付けた経緯からお聞かせください。

VR事業は2016年にスタートしています。VR動画との出合いは衝撃的でした。まるで自らがそこにいるかのような臨場感、没入感は、今までにはない体験です。また、デバイスのディスプレイを指でなぞれば、映像を動かすこともできます。誰もが夢中になれる映像技術になる、と確信するには十分でした。

 

プロジェクト化にいたったきっかけは、当社プロデューサー芦澤洋介の存在です。静岡県出身の彼は地元愛が強く、地方創生にも熱意を持っていました。その思いを事業に反映できないかと考えるなか、地方の風景とVRの掛け合わせは相性が良いのでは、と思い至りました。

 

さっそくコンペに参加して提案すると、反応がいい。最初に受注した静岡県小山町の仕事では、町にゆかりのある金太郎を使い、『360°VRドローンで金太郎を探せ!』を制作しました。これは、小山町を空から観光しながら、どこかに隠れている金太郎を探し出すというコンテンツです。受け身の視聴ではなく、気になる場所を自由自在に観る。ユーザーが主体的に視聴できるコミュニケーションの取りかたは、VRを活用する上で一つの解だと考えました。

 

VR

この動画は、UIターンコミュニティの育成を目的に展開し、公開後に活用した移住セミナーは話題性のあるVRの活用ということもあり満員の集客となりました。その成果は、NHKの全国ニュースをはじめ、48のメディアに取り上げられ、それを観た企業や自治体から新たに問い合わせが舞い込むといった流れが生まれました。

 

―その後、静岡県をはじめ、さまざまな自治体が御社と組み、VR動画を活用したPRに乗り出しています。小山町の事例も含め、VRのみならず、SNS、イベントなど、デジタルとリアルを連動させた一気通貫の提案ができる点もまたロントラの強みと見受けられます。

「ふじのくにパスポート」のホームページ

そうですね。たとえば、2019年2月からは、静岡県で「ふじのくにパスポート」という全国でも先進的な事業に取り組む機会をいただきました。静岡県に限りませんが、多くの自治体は、地元を離れた若者の足跡が辿れず、情報を届けようにも訴求が難しいと悩んでいます。そうした課題をふまえて、県内の卒業生33,000人全員に静岡情報サイトにつながるQRコードを記載した名刺大のカードを配り、故郷との関係継続を図るというリアルとデジタルを組み合わせた取り組みです。

 

こちらは、静岡県の事業として先行スタートしているSNS施策「そうだ。静岡出身者で集まろう!」とも連動しています。コンテンツの中には、VR動画も設けています。発信される情報がおもしろければ、自ずとフォロワーは集まってくる。そこに県からのお知らせを時折配信し、必要な情報を受け取ってもらうという仕組みですが、これは、テレビCMの存在に似たものです。

 

視聴者はテレビ番組の合間にCMを観ていますが、テレビ局側は、CMを観てもらうためにテレビ番組を放送しています。自分たちの届けたい情報を届けるために、おもしろいコンテンツでユーザーを惹きつけるという考え方ですね。テレビ番組制作で培った知見も活用しながら、ユーザー目線に立ったコミュニケーションを図れる点は、当社ならではと言えるかもしれません。

 

―主力事業と新規事業が企業活動に有機的に結びついた好例ですね。ここには時代の流れを読み、いち早くチャンスに気づく御社の姿勢が隠れていると感じます。

 

VR動画は、マーケティングにおける新しいコミュニケーション手段として有効だと考えています。YouTube広告にVR動画を出稿して流したところ、30秒以上視聴する人が46%にのぼりました。平均視聴率は数%と言われるなかで、効果の高さ、注目度の高さを感じています。

 

さらに、インターネット広告の市場規模は、テレビと肩を並べるほどに成長しています。5Gのサービス開始も間近に迫っており、4K8Kも視聴できるようになります。これらの環境的な追い風に恵まれたこともありますが、自助努力としては、創業時からテレビ番組制作に携わり、視聴者がどう映像を見ているのかを考え続けてきたことが大きかったと思います。

 

テレビ番組制作とVR動画では、主戦場が全く異なります。テレビはインタラクティブな動きができませんが、その分作り手の見せたいように見せられます。一方VRは、視聴者が自由に視点を変えられるのが強みである分、作り手は環境を用意するまでが演出で、どう見られるかは視聴者に委ねる他ありません。その違いを面白いと思えたのは、テレビ番組制作を主戦場としていたからこそ、映像の良さと限界をわかっていたからだと感じています。当然、見せるターゲットも見せるシチュエーションも違うため、よりマーケティング視点が重要になってきます。掛け合わせる要素次第ですが、そこには大きな可能性があります。

自分の組織をつくりたい。フリーランスから一転、起業家に

―ここからは、西村さんご自身にフォーカスを当てながら、ロントラ設立までの働き方や当時抱えていた思いをひも解きます。西村さんは、25歳のときに出版社からテレビ番組制作会社に転職、その後、フリーランスを経て起業されています。まずは、フリーランスになったきっかけからお聞かせください。

 

制作会社には3年勤務しました。地上波のゴールデン番組を担当するなど、早くから貴重な経験をさせてもらいましたが、自分の成長を感じられるようになるにつれ、今度は自分の力を試したくなりました。関心の強かったドキュメンタリー番組を含め、色々な分野に挑戦したいと考えたことが、大きな理由です。

 

フリーランス時代は、比較的、自由に仕事と向き合えました。たとえば、数週間、数か月かけて行う海外ロケも、他の調整さえつけば、そこに全力投入できる。興味ある仕事にしっかり反応できる点は、一番のやりがいでした。

 

―しかし、やりがいのあったフリーランスから一転、会社設立へと舵を切るうえではどんな心境の変化があったのでしょうか。

 

フリーランスの働き方は楽しいし、仕事が増えるとそのまま収入に反映されるので高揚感も得やすい。反面、どうしても相手に合わせる姿勢が染み付いてしまうと感じました。受け身のままでなく、発信する側に回らない限り、真のクリエイターとは言えないと考えたことが、自分のチームを持とうと決断するきっかけになりました。

 

会社設立後は、仕事も順調に推移しました。もともとのフィールドであるテレビ番組制作事業を柱にしつつ、CM制作やイベント運営も徐々に手がけるようになり、業務量に応じて社員も増えていきました。2016年からは新規にVR映像事業をスタートしたというのは、先ほどのお話しのとおりです。

 

「なりたい自分になる」クリエイターを憧れの職業に

TV番組をはじめとする映像制作とVR制作による地方創生、それぞれの事業は、今後どのように伸ばそうとお考えですか。中長期のビジョンもあわせてお聞かせください。

 

現在は、8:2で番組制作の比重が大きいものの、VRは参入して3年目。伸びしろは十分あると考えています。両方を同時に伸ばしながら、ゆくゆくは、5:5にしていきたいですね。

 

次にビジョンですが、今いるメンバーをそれぞれの領域のトップランナーを目指せる人材に育てたいと考えています。当社は、社員の「なりたい自分になる」という思いをバックアップしています。まず目標を設定して、その目標をクリアするための計画を一緒に立てる。その先に社の将来があると考えるからです。

 

―個人の頑張りが、会社の成績につながるという意識ですね。

 

働くみんなには、やはりいい思いをしてもらいたいと思います。乗り越えた先にある自己成長を感じてもらいたい。ここでの僕の役目はコーチングだと考えています。

 

―「なりたい自分になる」というロントラが大切にされている考えをお聞きしましたが、西村さんの、なりたい自分とはどんなイメージでしょうか。

 

人は難しい課題を乗り越えた経験が多いほど、自分に自信が持てるようになると思います。勝算をもち、チャレンジし続けるリーダーが理想です。それは社員に対する思いにもつながりますが、クリエイターがワクワクできる環境をつくるのが役割なので。

真の意味で、地方課題と向き合う。ロントラのあくなき挑戦

―岐阜県や、れんけいこうち広域都市圏(高知県)とのUIJターンの取り組み、伊勢志摩国立公園を舞台にした環境省のインバウンドプロジェクトなど、スタートから2年余りで、ロントラの手がけるプロジェクトは急速な広がりを見せています。今後の事業の方向性を改めて聞かせてください。

 

おかげさまで地方自治体の仕事は増えつつありますが、プロジェクトの終着点まで責任の持てる取り組みへと昇華させていく必要を感じています。コンテンツはおもしろかった、イベントやセミナーも満員になった…で終わってはいけない。

 

実際に何人が移住したのか、人口が何人増加したのかと最終的な数値を検証してこそ、地方創生事業の意義があります。そこまで関与できるプロジェクトを提案できるよう、実績を重ねているところです。ですから、現在はコンテンツ制作会社と名乗っていますが、ゆくゆくは動画を使ったプロモーションのコンサルタントになっていくことが、当社の望ましい姿です。

 

さらには、プロジェクトを一度きりのものにするのではなく、持続可能な仕組みにしていきたい。そうなって初めて社会課題の解決につながると考えています。その上で、当社の有するVR技術は現在、地域に人を呼び込む糸口として求められることが多いのですが、5Gの時代には、地方から世界に向けて発信することも担っていきたいですね。人口減少という側面からは、地方が弱者のように思われがちですが、日本の地方には他国が持ち合わせていない魅力をたくさん有していますので。

 

そのための手段も、動画のみにとらわれることない柔軟な視点で考え、挑戦し、地方発信で日本を元気にしていく。クリエイターにできることはたくさんあると考えています。ロントラに、大きな可能性を感じていただけると嬉しいです。

Leaders Item

メモ書き用、サイン用、修正用と、ペンを細かく使い分けていると話す、西村氏。家族や知人からの贈りものが多いそうだが、使用頻度が最も高いのは、自ら買い求めたLAMYのカラフルな万年筆。「気に入った色を手に取ると、テンションが上がる」という言葉のとおり、自らを鼓舞し、気持ちを高めるうえで欠かせないアイテムのようだ。

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BUSINESS

事業内容

〇ムービークリエイティブ
・TV番組、CMの企画制作、VR・Webムービーの企画制作と広告配信
〇コミュニケーションプランニング
・デジタルと連携したイベント企画などの戦略立案・制作運営
〇マネジメントキャスティング
・クリエイターのマネジメント、著名人やタレント、モデルのキャスティング

COMPANY

会社情報

所在地:東京都渋谷区恵比寿3-7-17 M2ビル1F
設立:2011年2月
資本金:10,000,000円

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