誰よりベンチャー経営者の悩みを知る男が手がける、新時代のIR支援のかたち

株式会社IRTV

代表取締役 / 金 成柱

最初は小さかった事業がうまくいき、もっと成長させていきたいと望むようになる。株式上場を目指し、その中でもわずかな企業が晴れて上場を実現する。それから経営者は、はじめて本気で企業価値の向上を真剣に考え始める。しかし、世間にまだ知られてない“上場したベンチャー企業”が、どうすれば自社の魅力を多くの投資家に知ってもらうことができるのか?

ベクトルグループの連結子会社である「IRTV(アイアールティービー)」は、同グループが持つインターネット時代に対応したPRのノウハウと、数多くのIR支援実績をもって企業の価値を広く伝えるオンライン型のIR支援を行っている。主な取引先は上場準備中の企業や新興上場企業、つまり成長中のベンチャー企業だ。

IRTV代表取締役の金成柱さんは、学生時代からベンチャー企業の世界に関わり、ベンチャー企業の経営者の課題や悩みを知り尽くす人物。そんな金さんだから作り出すことができた、新しいかたちのIR支援事業とは何か?話を聞いた。

PROFILE

代表プロフィール

1983年 三重県生まれ。大学在学中にインターンで参加した株式会社幕末(現・イシン株式会社)に入社。営業から取締役を経て、2011年に同社代表取締役に就任。2015年、自身でBtoBコンサルティング会社を設立。2017年、コンサルティング先だった株式会社IRTVの代表取締役に就任。2021年の株式上場を目指しチャレンジを続けている。趣味はサッカー、ゴルフ。

インターネット時代に対応したIR支援とは?

―IRTVの事業について教えてください。


金:大きく分けて2つあります。上場準備中の企業に向けたサービスと、新興上場企業向けのサービスです。前者は、株式上場を目指すベンチャー企業に向けた「会員制IPOコンサルティングサービス」です。
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毎月、上場企業の経営者を迎えた勉強会を行ったり、IPO周辺の情報提供、上場準備に伴うさまざまな課題を解決に向けてアドバイスしたり、時には一緒に動いたり。サービス開始から1年が経った現在では、会員が27社あり、そのうちの1社は今年7月にマザーズ上場を果たしました。


もちろん、会員ではない企業にもサービスの提供は行っています。たとえば、上場する際に東京証券取引所に提出する書類、あるいは上場承認がおりたあとに機関投資家への説明用資料を作成するといったさまざまな書類の制作代行も行っています。ほかにも、上場に向けたIR観点でつくるコーポレートサイトのリニューアルですとか、その会社のことをわかりやすく説明する動画の制作も行っています。ここ近年は、新規上場する企業のうち約20%の企業に対してなにかしらのご支援を行っています。


後者の新興上場企業向けのサービスでは、インターネットメディアと動画を活用したオンライン型のIR支援事業が主になります。


―オンライン型のIR支援事業とは?


金:旧来のIR支援事業はオフライン型がほとんどでした。オフライン型というのは、たとえば主に証券会社に一定数の個人投資家を集客してもらい、会社説明会のようなかたちで行うもの。あるいは、集合型の展示会のようなイベントに出展するパターン。もちろんそれもこれまでは一つの手法として良かったのですが、
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今は投資の取引が急速にオンラインへ移行しています。国内最大のネット証券会社であるSBI証券の口座数は、400万以上に達していて、その預かり資産合計は10兆円を超えています。第二位の楽天証券では260万口座を突破しています。主要証券会社の合算で、オンライン口座の新規開設数は、毎月10万~20万と言われています。一方で店舗型の対面証券の新規開設はその10分の1とも言われています。


今後のメインストリームがどうなってくるのか火を見るより明らかです。オンラインでの投資の取引がより活発になるにつれて、自然と投資先の情報収集もオンラインで行われるようになります。そのような投資家のニーズの変化に合わせて、我々はオンライン型のIR支援事業を行っています。この20年間で、色んなマーケットでオフラインからオンライン化へ移行がすすんだように、IRのマーケットでもこの流れが来ます。


―なぜ、上場したばかりの企業はIR支援が必要なのでしょう?


金:上場したばかりの多くの上場ベンチャー企業の時価総額はおおよそ100-500億円で、知名度も決して高いわけではありません。上場したての頃は、一時的に“フレッシュ銘柄”として資金の流入はありますが、それもおおよそ1年ほどたてば落ち着きます。そして次の“フレッシュ銘柄”にまた資金が向かいます。その過程で、しっかりと自社の存在を認知させることをはじめ、成長性を理解してもらうことを戦略的に仕掛けていくことが重要です。


上場企業は市場全体で約3700社もあります。投資家側の立場にたつと、すべての上場企業に投資する権利、自由がある中で、当然ですがより成長しそうな企業、儲かりそうな企業に投資をします。自ら積極的な情報発信をしなければ、そもそも投資家にその存在さえ知ってもらうことはできないのです。


―そうしたIR支援事業を行っている企業はほかにもありますが、投資家に伝える力において、IRTVならではの強みとは?


金:今は多くの投資家がオンラインで株式情報を得るようになったと説明しましたが、同時に次から次へと簡単に銘柄をチェックできるようにもなりました。そうなってくると、上場企業側は自ら積極的に投資家にアピールしていくことが重要になってきます。当社は、国内最大級の株式投資情報メディア、ミンカブ・ジ・インフォノイド(以下、ミンカブ)が運営する「みんかぶ」や「株探」を活用した、独自の商品を開発しています。


当社が制作したIR関連の動画を、「みんかぶ」「株探」内のページに露出することができます。ミンカブはIRTVの株主でもあり、ミンカブとの共同商品として、この広告スペースを独占的に取り扱っています。合計月間ユニークユーザー数が600万を超える株式投資メディア上で、個人投資家に向けて動画広告配信を扱っているということです。

自分自身が投資家であり、経営者でもある

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―金さんはIRTVの前にはベンチャー経営者向けのメディアを運営する企業の代表を務めていたそうですが、ご自身も経営者だった経験が、現在の事業にも生かされているのでしょうか?


金:そうですね。IRの仕事に関していえば、私自身が21歳のときに株式投資をはじめたことが大きいです。それからずっと私自身が個人投資家として今日まで株式市場を日々見てきたことがとても大きいです。


―なぜ大学生で投資を?


金:大学では経営学部でした。正確に覚えてないんですが、“経済を学ぶには株式投資をすることが一番の勉強になる”と、当時の大学の先生か先輩に言われた気がします(笑)。それでやってみよう!と。インターネット証券を開設しました。


―その投資はうまくいったんですか?


金:うまくいったんですよ。なんとなく知っている銘柄を買おうと思っていて、楽天の株を買いました。というのも、同年2月にライブドアがフジテレビ株を買い占めた一件を思い出しました。この頃から株価のニュースも目に入るようになっていて、この一件でイメージを落としたのか、ライブドアの株は下がっていったんです。ですが、この騒動が収まるにつれて、結局ライブドア株の株価は戻ったんです。その過程を見ていた私は、当時楽天がTBSの買収を発表した直後、「これはライブドアと同じことが起こるかも」と思って買いました。


そしたら、まさにその通りになりました。結局その株価が倍になったんです。周りの友達は時給1000円でバイトしているのに、自分は株を買って、放って置いておいたら倍になった。「これはすごいぞ……」と衝撃を受けて、株式投資についてもっと知りたいと思うようになりました。もっともっと勉強しようと。経済そのものに益々に興味を持ちました。


そこから15年近くにわたって、大きな金額ではないですが、ずっと個人投資家を続けてきました。個人投資家の友人も何人もいます。上場企業のIR資料を読むことは今では趣味の一環になっています(笑)。だから、個人投資家が何を見てどう考え、どういう行動をとるのかよくわかるんです。そこはIRTVの事業にとても役立っていますね。


―しかし、それほど関心を持っていた投資の世界ではなく、大学卒業後はベンチャー企業に就職されています。


金:そうですね。実家が商売をしていることもあって、漠然とですが将来は自分で会社をやってみたいなと思っていました。また、当時はベンチャー企業のブームでした。巷では堀江貴文さんがホリエモンの愛称でメディアを賑わせ、 “ヒルズ族”というネーミングが出て世間ではベンチャー企業の注目が集まっていた頃です。学生ベンチャーも盛んでした。それで自分も大学在学中から何かしたいなと思って、社員数名とインターンシップ生しかいないベンチャー企業でインターンシップをすることになりました。その会社は私が大学を卒業する前の年に株式会社化したばかりで、当時4年生だった私は、午前中に授業、午後から出社みたいな感じで働いていました。卒業後はその流れでその会社に入社しました。2006年4月に入社し、2015年末まで10年所属していました。
―駆け出しのベンチャー企業に自身も飛び込んだんですね。


金:そうですね。当時数人だった会社が、私が辞めるころには50~60名ほどで、拠点も東京、大阪、シンガポールにありました。退職する前には、シリコンバレーにも現地法人を作っていました。思えば10年間、大変なことは多かったですが、毎年会社も自分も成長していくことが実感できて、仕事がすごく面白かったですね。経営者向けのメディアをつくっていたので、それぞれステージの違う経営者に4000人近くお会いすることができました。とても貴重な経験をさせてもらいました。


―金さん自身もベンチャー企業が成長していく真っ只中にいらっしゃったわけですね。4000人とは凄い数ですね。


金:数多くのベンチャー企業の栄枯盛衰を見ることができたのも、とても大きな学びとなりました。ベンチャー企業がどのタイミングでどういった課題にぶつかり、成長していくためには何が必要か。逆に、どんどん成長していくベンチャーはなぜそうなっていて、IPOまでできる企業は何が違うのかも、たくさんのケースを見聞きすることができました。

より成長するためにはすごい人のそばにいるべき

―そこからIRTVの代表になる経緯は?


金:もともとIRTVは親会社であるベクトルグループが2013年に買収した企業です。私が参画したきっかけは、ベクトルグループ代表の西江社長に声をかけて頂いたからです。西江社長は前の会社でのクライアントで、私が営業担当をしていました。それで退職の報告にうかがった際、西江さんは私がIRや株式投資にも詳しいことを知っていたので、運営を手伝ってほしいと言われていました。2015年の春でした。


しかし当時の私は、しばらくは自分のペースで仕事をしたいなと考えていました。この10年近くがむしゃらに働いていたのもあって。それで最初は個人コンサルタントとしてIRTVの顧問として関わり始めました。


IRTVも含め、当時20社近くの顧問先企業に対してコンサルティングをする日々で、時間にもお金にもかなり余裕が出てきて、働く時間も休む時間も自分の好きなように決められるようになっていました。ただ一方で、次第に物足りなさを感じるようになっていました。前の会社で感じたような、チーム一丸となって協力しながら、事業を通じて得られる高揚感のようなものが懐かしくなってきたんです。“このままでは自分の成長が止まってしまうかもしれない”という焦りも感じるようになりました。


一方、IRTVの仕事をするようになり、西江社長とご一緒する機会が増えました。その仕事ぶりを近くで見るようになると、とても学ぶことが多かったんです。西江社長はベクトルグループをここ約10年間の間、年率25%以上で売上・利益ともに成長させ続けています。過去に曲がりなりにも経営経験をしてきましたが、そこには自分の経験値だけではたどり着けない経営者としての経営手法、思考法がありました。


また、企業成長は経営者ひとりの力だけではなしえません。こうして成長を続けるベクトルという会社には、どんな屋台骨となる人がいて、どんな参謀がいて、どんな組織運営をしているのか、強く興味を持ち始めました。“経営者としてもう一皮自分を成長させたい”と強く思うようになり、2017年の春に、かねてから西江社長から打診頂いていたIRTVの社長を引き受けることにしたんです。


―実はIRTVの代表を引き受ける前に、飲食店の経営もされていたとか。


金:失敗しましたけどね(笑)。
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―何が失敗の原因だったと思われますか?


金:いい加減な気持ちでやっていたからですね。また、私が飲食業をよくわかってなかったことも大きいです。前職ではBtoBの法人営業がメインで、数十万円、数百万円の広告企画の提案をしていました。飲食店は店舗を構えて、基本待ちのスタイル。また、モノを仕入れて加工して販売するというモデル。数百円、数十円単位でコストを管理して利益を出していく志向がないとダメだなと。実際にやってみると、それがこんなに大変なのかって実感しましたね。

事業は自分ごとで考えないとダメ

―その失敗から教訓は得られましたか?


金:考え方が甘かったですね。当然のことですが、飲食業で生きていくつもりがないと、本気で取り組んでいる人には勝てないですよね。やっぱり、事業は自分ごとで考えないとダメだってことを学びました。私が上場ベンチャー企業のIR支援ができるのは、自分自身がベンチャー企業の経営者だったのと、個人投資家として10年以上前から株式市場に関心をもっていいたからです。


先ほど、IRTVでは上場準備中の企業をサポートする有料のサービスを行っていると話しました。このサービスを始めてまだ1年ほどですが、この期間に累計30社も会員になっていただいています。それは私がIPOを目指すベンチャー経営者がどんなことに悩んでいるのかよくわかるからです。


―ただ観察しているだけでなく、実践者でもあるから言葉に説得力が生まれるわけですね。


金:他社を支援するためには、自分の経営スタイルでしっかり結果を出さないといけないですからね。だから、他社の上場を支援するだけでなく、自分たちも将来は株式上場を目指します。これまでにないIRサービスもつくっていきます。同時に、IRだけの枠組みに捉われず業容も拡大していきたいと思っています。ベクトルグループでは子会社から上場企業を10社出すという目標を掲げています。IRTVもその一社になれるように、しっかりとやってきたいと思っています。
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BUSINESS

事業内容

・インターネットメディアと動画を活用したオンライン型IR支援業務
・IPO準備中企業向け会員制サロン「Next IPO Club」の企画・運営
・IRサイトCMSシステム「IR Direct」の運営

COMPANY

会社情報

社名  株式会社IRTV
設立  2013年11月30日
住所  東京都港区赤坂4-15-1 赤坂ガーデンシティ15F
資本金 3,259万円

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