はたらく人のワクワクをクリエイトする

株式会社あしたのチーム

代表取締役会長 / 髙橋 恭介

アベノミクスによって有効求人倍率が飛躍的に上昇した現在、中小・ベンチャー企業の経営者が優秀な人材を確保し、育成するためには時代に即した人事評価制度を取り入れなければならない。それは雇う側、働く側の双方が納得でき、ウィン・ウィンの関係を築ける制度だ。この制度の構築にいち早く着目し、人事評価産業を創り出そうとしている株式会社あしたのチームの創業者で、代表取締役会長である髙橋恭介氏に話を聞いた。

PROFILE

代表プロフィール

1974年、千葉県松戸市生まれ。千葉県立船橋高校出身、東洋大学経営学部卒業後、興銀リース株式会社に入社。リース営業と財務を経験する。2002年、創業間もないベンチャー企業であったプリモ・ジャパン株式会社に入社。副社長として人事業務に携わり、当時数十名だった同社を500人規模にまで成長させ、ブライダルジュエリー業界シェア1位に飛躍させた。同社での経験を生かし、2008年、リーマン・ショックの直後に株式会社あしたのチームを設立、代表取締役に就任する。現在、国内47全都道府県に営業拠点、台湾・シンガポール・上海・香港に現地法人を設立するまでに事業を拡大。1500社を超える中小・ベンチャー企業に対して人事評価制度の構築・クラウド型運用支援サービスを提供している。給与コンサルタントとして数々のセミナーの講師も務める。2018年6月より代表取締役会長に就任。

2人の父親から教えられた、生きる覚悟。

 (2654)

幼い頃に両親が離婚し、私は母の再婚相手に育てられました。養父は小さな印刷会社に勤めるサラリーマンで、決して裕福な家庭ではありませんでした。実父はリフォーム会社の創業社長として成功し、派手な生活を送っていたようです。


物心ついてからたまに会ったときには、贅沢な食事をご馳走してくれ、過分な小遣いももらいました。私は2人の父親を見比べ、いつかは自分も経営者になって自分と家族を幸せにしたいと考えるようになっていました。


もちろん、黙々と働き一度決めたことはどんな困難があっても守り通す養父の意志の強さから学んだこともたくさんありました。実父と養父、正反対な2人の生きざまを見て育ったことで、私はより多角的に物事を捉えるという、経営者に不可欠な能力を手に入れたのだと思っています。実は養父もその後、印刷会社を創業して生涯を終えました。私は2人の起業家の子供なのですね。

会社員時代に知った、人事評価の古さと怖さ

 (2657)

大学卒業後は興銀リース(株)に入社し、将来の起業を見据えてリース営業や財務への経験を積んでいきました。休日も返上し、公私共に会社に捧げて働き、同期入社約20人の中で誰よりも成果を出しました。ファイナンシャルプランナーの資格も取得しました。しかしそれでも、さほど成果を上げていない同期と給料はほぼ一緒だったのです。


私が入社して間も無く、欧米型の成果主義を見本とした人事評価制度がスタートしました。でも、評価と報酬を連動させるには至らず、効果を発揮することは出来ませんでした。


その後、創業間もないブライダルジュエリーの企画販売を行うベンチャー企業に転職しました。幸い、社長に評価され仕事も順調で給与も上がりました。その一方、社長の気分次第で給与を半額にされてしまう社員もいました。今の時代なら裁判沙汰になりかねない問題ですが、オーナーの裁量次第で給料が激減してしまうベンチャーの恐さを知りました。安心して働ける環境ではないですよね。


その後、会社は体制も変わり、プリモ・ジャパンと社名も変えました。私は副社長として人事業務に携わり、社員数十名だった会社を500人規模にまで成長させました。ただ、離職率の高さが悩みの種でもありました。


そこで全社員の給与を一律10,000円上げたのです。社員の士気も高まるだろうと期待したのですが、私の予想に反し、社員たちから相当な不満が噴出したのです。それは、個人として実績を挙げている優秀な社員たちからの声でした。社会保険料も含め6,000万円以上もの予算を費やしたにも関わらず、優秀な人たちのモチベーションを下げてしまう結果になったのです。「私は成果を残しているのに、給与はみんなと同じ金額しか上がらない。正当に評価されているとは思えない」そう反論した多くの社員が辞めてしまいました。


この失敗に学んだ私は社員全員が納得できる正しい人事評価制度を確立する必要性を痛感し、何のために仕事をするのかという動機付けを、人事評価制度を運用することで社員個々に備え付けていったのです。その結果、業績は大きく伸び、継続的な黒字体質を築き上げることができました。同時に、本来あるべき人事評価制度のノウハウを自分自身に備えることになったのでした。


興銀リースで経験した大手の旧態然とした人事評価制度。
ベンチャーで知った、社長が何でも決めてしまう怖さ。
プリモ・ジャパンで行った新しい人事評価制度の構築。


この3つの立場を経験したことで、日本には人事評価産業が必要だと確信しました。

リーマン・ショックと東日本大震災、荒波に沈みかけた船出

 (2660)

自宅マンションの一室で起業したのが2008年の9月25日。ただ当時の私にとって起業は手段ではなく、目的でした。日本には人事評価産業が必要だという確信はあったものの、具体的に何をするのかも決めず、とりあえず過去の経験から「人材紹介」「インターネット関連事業」を定款にしました。


しかし、起業の10日前にリーマン・ショックが起こったことで日本の雇用市場は過去最悪というほどに冷え込んでしまいました。インターネットを使った、農業や介護の求人サイトを立ち上げたり、人事評価制度のクラウドサービスを発注したりもしましたが、売り上げはそれ程伸びずに赤字続き。業績が上向きかけた時期もありましたが、東日本大震災が発生。状況はさらに悪化し、倒産を考える日々でした。

アベノミクスが追い風に

東日本大震災の年に、投資をしてくださる方が現れ資金繰りの目処が立ったので、「株式会社あしたのチーム」と社名を変えて再スタートを切りました。そして大きな転機となったのが、2012年12月に発足した第二次安倍内閣が打ち出したアベノミクスでした。その効果は翌年には現れ、経済指標が軒並み改善傾向を示し始めたのです。


有効求人倍率もアップしたため、買い手市場から売り手市場に変化していきました。そのため企業、特に中小・ベンチャーは、人材確保、雇用環境の改善、離職率の低下などに真摯に取り組む必要を感じ始めたのです。弊社に追い風が吹き始めました。


企業からの問い合わせが増えて成約数も上がり、売上は急速に伸びていきました。このチャンスを逃さないために、私はそれまで継続してきた人材紹介業をやめ、業務内容を人事評価サービスに集中させる決断を下します。このとき、今日の「(株)あしたのチーム」が真のスタートを切ったと言えるでしょう。

目標を設定し、道標を示し、伴走者となる

人事評価の分野に参入している多くの競合他社はフルオーダー型のシステムを導入していますが、弊社はセミオーダー型を採用しています。人事評価制度を納品して終わりではなく、その制度を運用ベースに乗せるために人事評価業務のワークフローを一元管理できるクラウドシステムを作り上げ、お客さまに広く提供しているのです。独自のシステムを活用し、全社員の目標設定に始まるPDCAを回していきながら、人事評価制度の運用サポートを行えるよう、常にお客さまに寄り添えるよう努力しています。


制度や運用の仕方に汎用性が無いと判断したら、即座に改善しクラウドに反映させることで、クラウドの精度も上がっていきます。重要なのは制度の構築ではなく、運用によって社内に浸透させ、社員の人材育成や能力開発につなげること。我々はそのために目標を設定し、道標を示し、伴走者となるよう心がけています。その結果として、当社の社員はお客さまから全面的に信頼され、大きなやりがいを感じているのだと自負しています。

「あしたのチーム」という社名に込めた思い

尊敬する経営者は前職でお世話になった、プリモ・ジャパン社長の澤野直樹氏ですね。小売業の経験が無かった私に顧客、従業員への向き方を教えてくださいました。ティールやホラクラシーなど、性善説に基づいた組織のあり方、経営を実践されており、経営者として大きな影響を受けています。


リクルートの創業者である、江副浩正氏も尊敬する経営者のお一人です。リクルートの組織のあり方は、あしたのチームが目指す一つの目標になっています。「あしたのチーム」という社名は、スタジオジブリの「“の”の法則」に倣った部分もあります。『風の谷のナウシカ』『千と千尋の神隠し』のように、タイトルに「の」が入れば大ヒットになるという法則です。また上意下達の古い会社組織ではなく、性善説を基礎に、自由度の高い健全なチームになるための会社作りをサポートしていきたいという願いもあります。


中小・ベンチャー企業の社長さんは大企業の社長以上に即断即決が求められているので、少しでも早く、あすにでも結果を出すチームでありたいという思いもあります。3年後には社名の認知度を50%にしたいですね。
 (2668)

人を幸せにし、日本を元気にする人事評価制度

今、人事評価制度という業種コードは存在しません。認知度が低いのです。私は10年かけてでも人事評価産業を創りたい。まだ世の中に存在しないものを産み出したいのです。頑張って働いたのに正しく評価されない環境で人は本当の実力を発揮することができるでしょうか。日本のホワイトカラーの生産性が低いことの一因はここにあるのです。人事評価制度がないところに人の幸せはありません。経営者にとっても優秀な人材に長く働いてもらうためには人事評価制度が必要なのです。中小・ベンチャー企業が元気になり、社長や社員が幸せになるための環境作りをしていきたいですね。


「はたらく人のワクワクをクリエイトする」


そんなチームとして成長していきたいと願っています。
SHARE: Twitter Facebook Line

BUSINESS

事業内容

◎人事評価クラウド型運用おせっかい
「ゼッタイ!評価®」
◎あしたの人事評価クラウド
「コンピテンシークラウド®」
◎教育・研修事業
「あしたの履歴書」
◎その他人事関連事業

COMPANY

会社情報

設立日:2008年9月25日
代表者:代表取締役会長 髙橋 恭介
    代表取締役社長CEO 赤羽 博行
資本金:4億1010万円
本社:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 11F