
1兆円企業実現のためのエコシステムを作る
クルーズ株式会社
代表取締役社長 / 小渕 宏二
創業以来、17年連続で黒字経営を続けているクルーズ株式会社が2018年5月10日をもって、全ての事業を子会社化し、グループ経営への移行を決定した。さらに、「インターネットの時代を動かす凄い100人を創る」ことをミッションに掲げ、 その実現のために「CROOZ永久進化構想」を発表した。この構想にかける想いを代表取締役社長の小渕宏二氏に聞いた。
PROFILE
代表プロフィール
1974年生まれ。IBM関連会社のセールスマンを経て2001年にクルーズ株式会社を創業。検索エンジン、ブログ、ネット広告、ソーシャルゲームなど、インターネットを軸に様々な事業を展開しながら創業来17期連続で黒字経営を続ける。現在はネット通販事業「SHOPLIST.com by CROOZ」を中心に複数の事業を展開するグループの代表を務める。
ホテルマンからトップセールスマンに
幼い頃から自分で早く稼げるようになりたいと思っていました。高校生の頃にホテルでアルバイトをして人に喜んで貰える仕事にやりがいを感じたので、ホテルの専門学校に進みました。2年間学んでホテルに就職しましたが、思い描いていた環境とはほど遠い職場でした。今は違うでしょうが、当時のホテル業界は年功序列社会で上司が正しいという風潮の環境だったのです。ある日、お客様に対するサービスの姿勢に関して、どうしても許せないことがあって先輩に注意したらそれっきり接客の場から外されたので、ここでは自分が思うサービスを提供できないと思い退職しました。
その後、自分を正しく評価してもらうには営業職が適していると考えIBMの関連会社に転職しました。本来なら大卒でないと営業職での採用は難しい会社でしたが、私を誘ってくれた当時の横浜支店長が上層部に掛け合ってくださったお陰で特別に中途入社できました。その方のためにも頑張らなくてはと思い必死で仕事をしました。デスクトップからオフコンまで、ハードも売ったし、ソフトやシステムの提案も行い、同期入社の中ではトップの成績を残せました。支店長には「時間を無駄にしない!お客さまのために何ができるのかを常に考えろ!」など、営業マンとして大切なことをたくさん学ばせていただきました。
5年ほどインターネットによるビジネス拡大のノウハウをお客さまに提案していたので、自分でもこれからはインターネットの時代が来ると予感していました。すでにPCによるインターネットが普及し始めていましたし、モバイルでのネットサービスにも大きな可能性があると思って、BtoCビジネスの企画を会社に提案しました。でも当時はまだネットのBtoCのビジネスが確立されていなかったし、そもそも「モバイルってなに?」という時代でしたから受け入れてはもらえませんでした。50回ほど企画書を提出しましたけど成果は上がらず、退職し自分でやることを決意します。
その後、自分を正しく評価してもらうには営業職が適していると考えIBMの関連会社に転職しました。本来なら大卒でないと営業職での採用は難しい会社でしたが、私を誘ってくれた当時の横浜支店長が上層部に掛け合ってくださったお陰で特別に中途入社できました。その方のためにも頑張らなくてはと思い必死で仕事をしました。デスクトップからオフコンまで、ハードも売ったし、ソフトやシステムの提案も行い、同期入社の中ではトップの成績を残せました。支店長には「時間を無駄にしない!お客さまのために何ができるのかを常に考えろ!」など、営業マンとして大切なことをたくさん学ばせていただきました。
5年ほどインターネットによるビジネス拡大のノウハウをお客さまに提案していたので、自分でもこれからはインターネットの時代が来ると予感していました。すでにPCによるインターネットが普及し始めていましたし、モバイルでのネットサービスにも大きな可能性があると思って、BtoCビジネスの企画を会社に提案しました。でも当時はまだネットのBtoCのビジネスが確立されていなかったし、そもそも「モバイルってなに?」という時代でしたから受け入れてはもらえませんでした。50回ほど企画書を提出しましたけど成果は上がらず、退職し自分でやることを決意します。
やりたいことと、できることは違う。
2001年にウェブドゥジャパン(当時)を立ち上げました。私と、2人の友人で100万円ずつ出して設立資金は300万円。知り合いの社長のオフィスの隅を借りての創業です。営業能力には自信がありましたが、会社をはじめたばかりの無名の人間が営業に行ってもなかなか相手にされません。IBMの看板があったからこそ、順調に営業できていたんだと痛感させられました。起業家として本音ではモバイルサービスをやりたかったのですが、上手くいきませんでした。やりたいことと、できることは違う。やりたい事業が、儲かる事業でもないんです。
数々の失敗もしました。資金繰りも苦しくなったので、まず今、自分たちが持っている力で儲かる事業を展開しようと決断しました。企業に出向して、その企業の名刺とメールアドレスで営業を行う受託代行を始めます。当時、インターネットを理解している営業マンは少なかったので、それなりの成果を収めました。でも、足元を見られましたね。私がどんなに売り上げても給料は20万円。その悔しさをバネに新しいビジネスモデルを模索し続けました。
数々の失敗もしました。資金繰りも苦しくなったので、まず今、自分たちが持っている力で儲かる事業を展開しようと決断しました。企業に出向して、その企業の名刺とメールアドレスで営業を行う受託代行を始めます。当時、インターネットを理解している営業マンは少なかったので、それなりの成果を収めました。でも、足元を見られましたね。私がどんなに売り上げても給料は20万円。その悔しさをバネに新しいビジネスモデルを模索し続けました。
躍進のきっかけとなったのは2002年の5月。当時パチンコ御三家と言われるような有力メーカーのうち2社からモバイルコンテンツの制作を受注できたことが大きいです。売上の部分も安定し、2社の受注をきっかけにモバイルコンテンツ制作のノウハウも蓄積されていきました。でも受注仕事なので“切られたら”終わり。自社のオリジナルコンテンツで勝負できるプロバイダーとしての事業を目指していたので、受注仕事で得たお金を開発費に回し、そこで蓄積したノウハウを応用する方法を考えました。試行錯誤の繰り返しです。
ファストファッションに特化して急拡大した
その頃、自社サービスとして展開していたモバイル検索エンジンを普及させるために、1日4,000人近い女性がホームページを作っていたので、女性用のブログコンテンツを作りました。このブログが女性の支持を受け、月間700万人の女性のユニークユーザーを獲得します。そしてこのブログの愛用者たちが自社のモバイルのEコマースに移行してくれました。
コンテンツを他社に提供して広告代をいただくより、自分たちでEコマースを提供した方が儲かると分かったので、本格的に事業展開しました。はじめは服からカニ、コスメ、ダイエット食品まで扱っていたのですが、CTR(クリック率)が思ったほど伸びなかったので、最も売れていた「服」に特化しようと、2012年にリニューアルしたのがSHOPLISTです。ファッションサイトはたくさんありますが、属性が絞れているのがSHOPLISTの強みでしょうか。20代から30代前半で「手頃な値段で、より多くのファッションアイテムを楽しみたい」という女性にターゲットを絞っています。
何でもありではなく、これだったら全て揃っているというサイトを目指しています。商品をより早くお届けするため、相模原に巨大な物流倉庫も作りました。
コンテンツを他社に提供して広告代をいただくより、自分たちでEコマースを提供した方が儲かると分かったので、本格的に事業展開しました。はじめは服からカニ、コスメ、ダイエット食品まで扱っていたのですが、CTR(クリック率)が思ったほど伸びなかったので、最も売れていた「服」に特化しようと、2012年にリニューアルしたのがSHOPLISTです。ファッションサイトはたくさんありますが、属性が絞れているのがSHOPLISTの強みでしょうか。20代から30代前半で「手頃な値段で、より多くのファッションアイテムを楽しみたい」という女性にターゲットを絞っています。
何でもありではなく、これだったら全て揃っているというサイトを目指しています。商品をより早くお届けするため、相模原に巨大な物流倉庫も作りました。
「CROOZ永久進化構想」が次世代の起業家を生む
クルーズは創業からの17年、移り変わりの激しいIT業界でメイン事業を5回以上変えながら、営業利益赤字を出さずに生き抜いてきました。創業当時からのメンバーもたくさん残ってくれています。同時期に起業した中で既に淘汰された企業が少なくないなか、我々が生き残り、なおかつ成長を続けられている理由は主に二つだと思っています。
・常に新しい事業を手がけてきたこと
・新しい世代のリーダーが育ったこと
事業を拡大させるため、私は可能性のあるブルーオーシャン(未開拓市場)を嗅ぎ分けて参入する指示を出します。でも、現場は部下に任せ、彼らが頑張って新規事業を次々と成功させてくれました。その結果、また新たな事業に投資ができ、優秀な人材が多く育ってきたのです。人・モノ・お金、この3つが上手く流れた結果、今のクルーズがあります。
この流れをさらに加速させ、ミッションである「インターネットの時代を動かす凄い100人を創る」を実現し、クルーズを1兆円企業へと成長させるために、全ての事業を子会社化してグループ経営に移行すると共に「CROOZ永久進化構想」をそれらを実現する手段として打ち出しました。この構想は、次世代の事業と経営者の誕生と成長、永遠のベンチャースピードを手に入れるための仕組みです。
「凄い100人を創る」ためには、優秀な経営者に外部から参画してもらう、あるいは我々で育てて事業を展開してもらえるようなサイクルを構築しなければなりません。その軸となるのは、他のグループ経営やホールディングスカンパニーとは異なり、圧倒的な「インセンティブ」を支給することです。たとえば、グループ入りから5~6年経過した時点で売上100億円ほどの事業になったとすると、ざっと二桁億円ほどのインセンティブを経営者にお渡しする、という規模感です。
また、クルーズがこれまでIT業界で培ってきたノウハウや知的財産、有形・無形の資産も提供します。一社で事業展開するよりもクルーズの構想に参加してもらった方が成功の確率が高い、メリットも大きいと納得してもらいたいのです。2018年9月時点で27社が参加しています。目標は100億円の事業を創出する企業100社を作ること。実現すれば時価総額1兆円のクルーズグループになります。
・常に新しい事業を手がけてきたこと
・新しい世代のリーダーが育ったこと
事業を拡大させるため、私は可能性のあるブルーオーシャン(未開拓市場)を嗅ぎ分けて参入する指示を出します。でも、現場は部下に任せ、彼らが頑張って新規事業を次々と成功させてくれました。その結果、また新たな事業に投資ができ、優秀な人材が多く育ってきたのです。人・モノ・お金、この3つが上手く流れた結果、今のクルーズがあります。
この流れをさらに加速させ、ミッションである「インターネットの時代を動かす凄い100人を創る」を実現し、クルーズを1兆円企業へと成長させるために、全ての事業を子会社化してグループ経営に移行すると共に「CROOZ永久進化構想」をそれらを実現する手段として打ち出しました。この構想は、次世代の事業と経営者の誕生と成長、永遠のベンチャースピードを手に入れるための仕組みです。
「凄い100人を創る」ためには、優秀な経営者に外部から参画してもらう、あるいは我々で育てて事業を展開してもらえるようなサイクルを構築しなければなりません。その軸となるのは、他のグループ経営やホールディングスカンパニーとは異なり、圧倒的な「インセンティブ」を支給することです。たとえば、グループ入りから5~6年経過した時点で売上100億円ほどの事業になったとすると、ざっと二桁億円ほどのインセンティブを経営者にお渡しする、という規模感です。
また、クルーズがこれまでIT業界で培ってきたノウハウや知的財産、有形・無形の資産も提供します。一社で事業展開するよりもクルーズの構想に参加してもらった方が成功の確率が高い、メリットも大きいと納得してもらいたいのです。2018年9月時点で27社が参加しています。目標は100億円の事業を創出する企業100社を作ること。実現すれば時価総額1兆円のクルーズグループになります。
自分のために頑張れば、社会貢献もできる
「CROOZ永久進化構想」では私が前面に立とうとは思っていません。「俺が、俺が。」の発想では無く、クルーズというプラットホームを使って、新しい時代を創出するリーダーをより多く輩出することを心がけています。みんなが活躍できる環境を創るのが私の仕事。今まで自分一人がやってきた仕事を大勢で分担できれば、その方がいいですよね。もちろん、私自身が判断すべきジャッジの境界線は引いています。我が社には創業してから10年以上一緒に働いてくれているプロフェッショナルが多勢いるので、彼らのサポートもあって適切な経営判断ができます。
私は起業してから、やりたいことよりもやらなければいけないことを優先させてきました。行き当たりばったりとも言える経営ですが、たくさんの事業を手がければ多くの人材に巡り会えるし、彼らが活躍できる場を提供するのが楽しかったんです。私がエコシステムを作って、働く人たちが成長してくれる姿を見るのが嬉しかったし、それが私の目指す経営だと気付きました。これからはもう一歩踏み込み、「CROOZ永久進化構想」によって時代を切り拓く経営者たちを鼓舞するのが私の仕事だと思っています。
私は起業してから、やりたいことよりもやらなければいけないことを優先させてきました。行き当たりばったりとも言える経営ですが、たくさんの事業を手がければ多くの人材に巡り会えるし、彼らが活躍できる場を提供するのが楽しかったんです。私がエコシステムを作って、働く人たちが成長してくれる姿を見るのが嬉しかったし、それが私の目指す経営だと気付きました。これからはもう一歩踏み込み、「CROOZ永久進化構想」によって時代を切り拓く経営者たちを鼓舞するのが私の仕事だと思っています。
日本には400万以上の企業がありますが、売上、または時価総額が1兆円に達しているのは約130社しかありせん。創業者でこの数字を達成した人となるとさらに少ないでしょう。私はそこを目指したい。それはクルーズが産み出した商品やサービスを多くのユーザーが利用してくれている証でもありますから、結果的に世の中の役に立つのではないでしょうか。「世の中のため!」と声高に叫ぶだけでなく、自分たちも豊かになって、名誉も誇りも手に入れようと思った方が頑張れるし、その結果として世の中にも貢献できるのではないかと思っています。
Leaders Item
趣味はゴルフとスキューバダイビング、そして温泉めぐり。誕生日にグループ企業の経営者たちから贈られたゴルフボールには各自の目標、スローガンが記されている。絶対に失くせないので、パターの練習用に使っている。
掲載日:2019年1月28日
BUSINESS
事業内容
純粋持株会社として当社グループの経営戦略の立案、及び子会社への投資、経営目標の立案・実行の支援
COMPANY
会社情報
所在地:東京都港区六本木六丁目10番1号六本木ヒルズ森タワー
設立:2001年5月24日
資本金:4億5,455万円 (平成30年6月末)
HP:https://crooz.co.jp/