サービス産業発展に向けて産学官が連携する取り組みとは?日本一のサービスを決める「日本サービス大賞」締め切り迫る!
2017年7月26日、都内ホテルで「サービス産業生産性協議会 10周年の集い」が行われ、各界の関係者約500名が集まる中、サービス産業生産性向上のための取り組みの重要性と、今後にかける期待などが改めて語られた。日本生産性本部会長で、サービス産業生産性協議会代表幹事の茂木友三郎氏は、次の10年に向けて新たな一歩を踏み出す決意を表明すると共に、「サービス価値共創宣言」を発表した。
日本生産性本部 会長・サービス産業生産性協議会 代表幹事 茂木友三郎氏
冒頭、会場に駆けつけた菅義偉内閣官房長官が挨拶。10年前、2007年にサービス産業を経済成長のエンジンにしたいという想いの中で立ち上がった「サービス産業生産性協議会(SPRING) ※」が、今日に至るまで、サービス品質の見える化や生産性向上、さらにはサービス産業全体の底上げなど、大きな成果をあげてきたことに敬意を称した。また今後、日本経済の好循環をしっかりと実現させていきたいと考えた時、「サービス産業でいかに効率的に底上げをしていくかは、極めて重要である」とコメント。「今日お集まりの皆さんと一緒に手を携えながら、生産性向上のために政府としても全力で取り組んで参ります。」と、今後の活動への期待と決意を述べた。
※サービス産業生産性協議会(SPRING):Service Productivity & Innovation for Growth
菅義偉内閣官房長官
産学官が連携してサービス産業改革を!「サービス産業生産性協議会」とは?
「サービス産業生産性協議会(SPRING)」は、サービス産業の生産性向上を実現するため、産学官が連携する共通のプラットフォームとしての役割を担っている。
サービス産業は多様であり、多くの分野に渡っているため、抱えている課題も様々である。例えば、業務プロセスの改善による効率性の追求、顧客満足度やホスピタリティなどの品質向上、サービス産業を支える優秀な人材の確保などが挙げられる。
このような課題解決のためには、様々な角度からの情報収集、有効な知識を共有するための「場づくり」、業界・企業の自主的な取組の支援などが必要であり、その一翼を担うのが「サービス産業生産性協議会(SPRING)」である。
「サービス産業生産性協議会(SPRING)」の事務局は、公益財団法人 日本生産性本部である。日本生産性本部は、企業、労働組合、学識者によって構成されている中立的な組織であり、産業人の育成やコンサルティングをはじめ、政策提言や調査・研究などの幅広い事業を通じて、生産性向上を実現し、日本経済の発展、国民生活の向上および国際社会への貢献に寄与している。例えば、日米のサービス産業生産性水準の比較についての調査研究の実施、流通・運輸サービス業における生産性向上のための提言を発表するなど、様々な角度からサービス産業に関わる活動を行っている。 産学官連携により、各方面から情報収集を行い、アウトプットすることができるのは「サービス産業生産性協議会(SPRING)」の強みの1つでもある。このような強みを活かしながら、日本のサービス産業のイノベーションと生産性の向上に取り組み、ダイナミックな成長を支援しているのだ。
優れたサービスを内閣総理大臣が表彰!日本一のサービスを決める「日本サービス大賞」
「サービス産業生産性協議会(SPRING)」の取り組みの1つに「日本サービス大賞」がある。これは「優れたサービスをつくりとどけるしくみ」を表彰し、成功事例を広く伝えることで日本のサービス産業を刺激していくという活動だ。もっとも優秀な取り組みは「内閣総理大臣賞」を受けることができる。
現在、第2回「日本サービス大賞」の応募を受付中。日本国内に活動拠点を持つ、サービス産業を行っている事業が対象となる。「日本サービス大賞」受賞により、従業員の士気向上や更なるイノベーションを促すことも期待できる。
■応募締切は 2017年8月31日(木)15時
詳細は、「日本サービス大賞」ホームページにて。
URL:
http://service-award.jp/
第1回日本サービス大賞・内閣総理大臣賞はクルーズトレイン「ななつ星in九州」
2015年に創設された「日本サービス大賞」。第1回目の内閣総理大臣賞を受賞したのは、クルーズトレイン「ななつ星in九州」だ。
【受賞ポイント】
●輸送事業から感動を呼ぶサービス事業へ大きく転換させた革新的な取り組み
●旅の楽しみは半年前から始まり、ツアーデスクが一人ひとりの感動の旅を演出
●地域の誇りとして愛され、クルーのサービスと沿線住民の歓迎が一体となって、今までにない感動体験を提供
Photo:Hirokazu Fukushima(frap Inc.)
受賞した九州旅客鉄道の唐池恒二会長は、今回のプロジェクトに手応えを感じており、「JR九州の社内の空気が変わりましたね。社員一人ひとりがななつ星を走らせている会社、そしてまたサービス大賞をもらった会社がこんなサービスでいいのかこんな仕事ぶりでいいのか、あるいはこんな経営成績でいいのかとみんな考えるようになりましてね、以前よりも一段ステップアップ、グレードアップした仕事をしてもらうようになりましたね。(「10周年の集い」インタビューより)」と、一時的な盛り上がりではなく、永続的な発展を目指す空気になったことを実感したという。まさに優れたサービスが、従業員のモチベーションと顧客の満足度、さらには地域活性化まで実現した最高の代表事例といえよう。
このように「日本サービス大賞」は、優れたサービス事例を全国に発信することで、サービス産業関係者を刺激し、さらなるサービス産業発展の一躍を担っているのだ。
九州旅客鉄道 会長 唐池恒二氏
次なる10年へ 「SPRING10周年 サービス価値共創宣言」を採択
「サービス産業生産性協議会(SPRING)」は、次なる10年を見据え、さらなる活動の推進を決意し、設立10周年の節目に、5項目の「サービス価値共創宣言」を発表した。
【サービス価値共創宣言】
■サービスの送り手と受け手で新たな価値の共創を
■科学的アプローチによる「仕組み」でイノベーションを
■サービス産業に「未来への投資」を
■「人材」こそサービス産業の価値の源泉
■地方創生を支えグローバルに展開するサービス産業へ
「サービス産業生産性協議会(SPRING)」は、この活動をリードし続け、日本におけるサービス産業のイノベーションを加速し、サービス産業の発展を支援していく。サービス産業の発展は日本経済への影響はもちろん、顧客やサービス産業に携わる人々にとっても良い影響を及ぼすだろう。今、「サービス産業生産性協議会(SPRING)」は発足から10年という新たな節目を迎え、次の10年を見据えた新たな一歩を踏み出した。