重労働、長時間労働から働き手を解放したい!TSUNAGUTEが描く、物流業界の誰もが働きやすい未来とは?

株式会社 TSUNAGUTE

コロナ禍を経て、物流が社会インフラとして大切なことが改めて顕著になった。しかし、業界では深刻な人手不足が叫ばれている。重労働、長時間労働など、業界を取り巻くイメージは、新規就労者の前で高い壁になっている。この労働環境を改善するべく、期待が高まっているのが業務のIT化だ。とはいえ、紙文化が強く根付く物流業界。他業界と比べて、その進捗がなかなか見られないのがもどかしくもある。
今回は、こうした古い慣習からの脱却を目指し、業界のIT化を推進する、株式会社TSUNAGUTE代表 春木屋悠人社長と、同社サービスを導入する企業の現場担当者に、それぞれの立場から見た物流業界の課題、TSUNAGUTEのサービスを通して感じるITの可能性、期待する展望について話を伺った。
●画面前方:株式会社TSUNAGUTE 代表取締役社長 春木屋悠人氏
●画面左上:株式会社丸総 開発事業部 課長 竹迫駿介氏
●画面左下:北海道ロジサービス株式会社 物流管理部 物流管理グループ グループ長 冨木暢氏
●画面右下:大塚倉庫株式会社 首都圏中央センター センター長 宅川秀和氏

物流業界のいま。それぞれが直面する「人手不足」という荒波

――物流業界は「人手不足」という深刻な課題に直面していますが、まずは人手不足を引き起こしている、その背景をお聞かせください。

春木屋氏 
人手不足は、10年近く前からの課題です。ご存じのとおり、日本の労働人口は右肩下がりで推移し、働き手は減少しています。そのなかで物流業界は、労働環境として過酷なイメージを持たれており、“若い世代が敬遠しがちな業種”の1つに数えられています。特に深刻なのは、ドライバー不足です。ボストンコンサルティングの調査によると、日本の物流トラックドライバーの労働力は、2027年には需要の25%にあたる、24万人が不足する(※)と言われています。

また、物流業界は社会経済情勢の動向に影響を受けやすく、新型コロナウイルスが猛威を奮う今も大きなうねりの中にいます。物流はテレワークを行うことができません。荷物は人手を介して運ぶしか方法はなく、感染リスクにさらされる中で働かなければならない状況です。これが如実に表れたのが緊急事態宣言のときです。学校が休校になり、お子さんを持つパート社員の方の出社がままならなくなりました。結果、内勤の方も現場に出て、日々の物流をさばくことに翻弄されました。

これらを踏まえ、業界を挙げて人材の拡充に努め、いかに持続可能な物流をつくっていくのか――。国もその機運をとらえ、「ホワイト物流推進運動」を2019年から始めています。日本は、物流業界の生産性向上と働き方改革に、本気で取り組まなければならない、ギリギリのところに立たされています。
――今日は、荷主、流通、荷受けを担う各社のご担当者にも参加いただいています。それぞれどういったときに人手不足を実感されているのでしょうか。

宅川氏 
私ども大塚倉庫は、大塚ホールディングスの主要事業会社として、グループ各社をはじめとするメーカー物流(工場~卸まで)を担っている会社です。物流業界では「勘と経験」による作業が未だ多く、当社ではITを活用した倉庫運営にシフトし、「誰でもできる化」を実現することで、若手を始め不慣れな人でも働ける仕組みを構築してきました。しかし物流は「入庫(他社)~保管(自社)~出庫(他社)」という外部企業との連携が必ず必要なため、当社だけでは改善できないことも多く、結果、長時間労働等が発生しています。業界全体の標準化・平準化が図れない限り、人手不足の課題はなかなか解消されないのではないかと感じています。

竹迫氏 
丸総は運送業を営んでおり、大塚倉庫さんをはじめとする物流拠点から配送の依頼を受け、トラックの手配や配車、納品先への運送を請け負っています。ドライバー不足について言及すると、一つは労働基準法の厳格化による労働時間の短縮が要因として挙げられます。大型自動車免許を取得してドライバーになったら稼げる、というイメージは過去のもので、現在は労働環境に変わりはないものの、稼働時間が削がれることに比例して出来高が下がり、給与は低水準で反映されています。つまり、「トラックドライバー=稼げない仕事」へと変わり、なり手が現れなくなっているのです。

もう一つ、業界独自の縦割り文化も影響しているのではないでしょうか。たとえば、お客様の倉庫への格納、パレットへの積み替えまでがドライバーの役割、もっというとドライバーによるサービスとしてみなされている傾向があり、これらの常態化もまたドライバー職は重労働というイメージの定着につながっていると感じています。

冨木氏
私の所属する北海道ロジサービスは、「コープさっぽろ」の関連会社です。江別にあるセンターで荷物を受け取り、そこから北海道一円のコープ会員様に向け、商品をお届けすることをミッションとしています。物流業界は昔で言う、「3K(キツイ、汚い、危険)」のようなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。その結果、他業種と比べて就職先に選ばれる頻度や確率が低いのかな、と。こうしたイメージをデジタルの力で払拭し、業務を仕組み化、標準化できれば、人手不足解消への活路は開けるのではないか、と考えています。

物流業界で働く人を、デジタルの力で解放したい

――皆さんから数々の課題が挙がってきました。これらの解消を目指し、現在、TSUNAGUTEは、伝票運用効率化サービス『telesa-delivery(テレサ・デリバリー)』、入出荷予約受付サービス『telesa-reserve(テレサ・リザーブ)』を展開。この二つのサービスを切り口に、業界に風穴を開けてくれるのではないか、と期待されています。春木屋社長としては、物流業界をどう改革しようと考えているのでしょうか。サービス誕生の経緯とあわせてお聞かせください。

春木屋氏 
当社は、日本パレットレンタル株式会社(以下、JPR)の子会社となります。同社は社名のとおり、『パレット』と呼ばれる荷役台をはじめとした物流容器のレンタル・販売等を手がけています。
かつて荷物は人が肩に担いで運び、その重労働さゆえに体を壊してしまうなど、生活にも影響を与える時代がありました。これを目の当たりにしたJPRは、パレットの普及に努めることで物流の機械化を進め、働く人を重労働から解放してきました。

そんなJPRが次に目を向けたのが、伝票処理です。たとえば、大塚倉庫さんでは年間400万~500万枚にも上る伝票のすべてを人の手で処理していた、と聞きます。この伝票がデジタルに置き換わると、手入力をしていた処理時間から解放されることはもちろん、お届け先を五十音順や住所順に一覧化できるようになるため、関連業務をスムーズに行うことができます。また、対応する人の経験値もさほど必要としなくなるかもしれません。

TSUNAGUTEは、パレットの普及で人々を重労働から解放したように、伝票処理に携わる人の負荷を取り除きたい。そんな想いからサービスを展開しています。

根強く残る紙文化。電子化で現場はどう変わる?

――続いて、現場の皆さんは紙文化が根強く残っていることに、どのような印象をお持ちでしょうか。各社が導入されています、TSUNAGUTE社の伝票運用効率化サービス『telesa-delivery』が、業務にもたらした変化についても聞かせてください。
宅川氏
伝票が紙の場合、まずドライバーから現場作業員へ手渡して伝票と商品の照合、そして現場作業員から事務員へ手渡してその伝票の内容をパソコンへ入力して伝票を保管。物量が多くなればなるほど、伝票が増えるため、処理作業にかかる時間が大幅に増えます。TSUNAGUTEのサービスを導入することで、このような一連の無駄な作業がなくなり、事務員の働き方改革にも繋がっています。また非接触で行うことができるため、当社社員をはじめドライバーさんの健康にも貢献できると考えています。

竹迫氏
当社では、一枚の紙伝票に最低でも6名が携わっており、納品完了までのタッチ数は22回にも及びます。すべての情報が伝票で伝達されるため、伝票を確認しないと作業を進められないのが現状でした。

――それだけタッチポイントがあると、コロナ禍のいまは感染リスクも気になりますね。その点、電子伝票に変わることの効果は感じていますか。

竹迫氏 
そうですね。伝票によるやり取りから、スマートフォンの画面に電子サインをする方法に変わりましたので、非接触になった点はリスクの回避につながっていると感じます。このほかの電子化の利点を挙げると、荷物に先行してデータが届くので作業を前倒しできる、当社のような運送会社も配送状況を確認できることが挙げられます。

――冨木さんの会社は、まもなくTSUNAGUTEのサービスを本格導入すると伺っています。紙から電子に変えるきっかけは、どのようなことだったのでしょうか。

冨木氏
紙伝票の課題として感じていたことは大きく2つあります。1つは、仕事の標準化が進まないことです。伝票の取扱いに慣れている人とそうでない人では、処理スピードも、次の人に渡す段取りも違います。経験をよりどころとするのではなく、入社間もない人でも同じ業務で同じ結果を残せる仕組みの導入はいち早く進めたいと考えていました。もう1つは、伝票の保管スペースを必要とすることです。新型コロナウイルスの影響で物量が増えており、保管スペースを縮小してストックヤードを少しでも多く確保したいと思っています。こうした点もサービスの導入でクリアしたいと思っていました。

TSUNAGUTEのサービスは、システムも操作しやすく、現場への落とし込みが容易なぶん、順応し、運用するという面もスムーズにいくと考えています。その結果、人手が補われ、いままで100人必要だったことが70人で済むようになるかもしれません。もしくは、省人化につながり人手不足解消の手立てとなることも考えられると思います。何よりシステムの導入によって自分たちの仕事がどれだけ楽になるのか、どういった未来を想像できるようになるのかといった期待を社員に持たせられる点は大きいです。その辺りを踏まえ、現場として今後どういう企業を目指していくのかを、考えるチャンスをいただいたような気がしています。

テクノロジーが切り拓く、物流の未来とは

――最後に、物流業界にITの導入が進むなか、働き方がどのように変化していくことを期待されているのか、それぞれお聞かせください。

宅川氏
個社だけではなく、サプライチェーンに関わる全てのステークホルダーの情報が、データ連携されることで、物流業界全体の仕事のやり方が変わり、出社しないといけないことが「当たり前」である物流業界も、これからの時代に沿った働き方ができることを期待します。

竹迫氏 
宅川さんがおっしゃることに賛同しています。出荷元、我々のような運送会社、そして納品先がデータでつながることで、ムリ・ムラ・ムダがようやく見えてくるのではないでしょうか。いま、人手不足と言っていますが、トラック1台の積載効率や納品先での待機時間をデータで見たとき、果たしてそう言えるのか。こうした不透明な部分が、データによって可視化されることで、効率良い仕事が実現すると思っています。TSUNAGUTEさんには、各社それぞれがデータというビルをどんどん高くしていくところに連絡通路をかけるような、そういう役割を担っていただきたいです。

冨木氏
紙からデータに移行されることで、この先いろいろなシステムの連動が可能になっていくと思われます。その結果、これまで別々の作業とみなされていたことが、一連の作業としてつながり、作業時間が圧縮され、ドライバーの待機時間も削減され、ドライバーが所属する会社の作業効率も向上していくのではないでしょうか。
コロナ禍で言いますと、物が留め置かれる時間が長いほど感染リスクは高まるとされていますが、効率化によって時間短縮できれば、その価値を商品に反映することも可能になると思っています。
――では、春木屋さん、皆さんの話をお聞きになっての所感を、これからの展望とあわせてお聞かせください。

春木屋氏 
皆さまが現場をどう変えていくのか、働く人たちにとって良い環境とは何かを日頃から真剣に考えられていることが、ひしひしと伝わりました。
皆さまの想いを叶えていくうえで、TSUNAGUTEの仕組みは一過性のものかもしれません。10年20年先にはドローン輸送や自動運転、ロボットの稼働で無人倉庫も実現するでしょう。ただ、私たちは、いま直面している「人手不足」という大きな波をまず乗り越えなければなりません。こうしたなか、皆さまとお会いでき、1歩進められることが日本の未来を良い方向に進め、皆さまのお仕事と会社の利益にとりましても貢献していくものと考えています。

現状、TSUNAGUTEは、各社がシステム化されている情報と情報を有機的につなげるパイプラインとして、現実の問題として起きている伝票からサービスを着手しています。当然そこで終わるつもりはなく、先々は検品の省力化、効率的な配送ルートの組み立てなど、あらゆる問題の解決を目指していきます。

今日のお話を通し、紙文化の弊害が露わになりました。とはいえ、当社は紙=悪、としたいわけではありません。紙の文化に慣れ親しみ、その先に動こうとしない考え方に変革を起こしたいと思い、事業を展開しています。これからも、今日お集まりいただいた皆さまをはじめとする各社様とともに事例を生み出し、デジタルの持つ可能性を物流業界に向け、広くお示ししていきたいと思っています。


――社会インフラとして、大きな役割を持つ物流業界。その巨大さゆえ、さまざまな課題が山積されていることが今回明らかとなった。待ったなしの変革が、まさに求められているが、これらの気づきは変革を生み出すための大きなチャンスでもある。課題の一つひとつが取り払われた先には、『モノを流す』という業界の本質が、より研ぎ澄まされているはずだ。

物流を、より強固に、よりシームレスに。先駆者たちの挑戦は続いていく。



※日本の物流トラックドライバーの労働力は2027年に需要分の25%が不足。96万人分の労働力需要に対し、24万人分が不足と推計。 BCG調査(https://www.bcg.com/ja-jp/press/japan-press-release-27october2017-logistics)

2020年12月21日

株式会社 TSUNAGUTE

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