ビジュアライゼーション先進企業バルコが提案する、ニューノーマル時代のオフィスのあり方
新型コロナウイルスは、我々の働き方に大きな変化をもたらした。現在は、リモートワークとオフィスワークが混在する“ハイブリッド型オフィス”が、多くの企業にとって主流になりつつある。オンライン会議ツールはもはや、コミュニケーションを図るのに欠かせない存在だ。しかし、会議をただオンライン化するだけで満足してはいないだろうか?ニューノーマルの入口に立ついまこそ、会議のあり方だけではなく、コミュニケーションのあり方を改めて問い、オフィスにどのような機能と情報を取り入れるべきか考察する必要がありそうだ。
今回はベルギーに本社を置き、企業のビジュアライゼーション(情報の可視化)とコラボレーションソリューションを手がける、バルコ株式会社 代表取締役社長 加藤浩典氏に、ニューノーマル時代のオフィスの展望について伺った。
オンライン会議におけるコミュニケーションの限界
これまでコミュニケーションといえば、ファーストコンタクトはメール、次に電話を介した会話、そしてFace to Faceによる対話という3つの段階があった。しかし、コロナ禍に入って以降、Face to Faceの対話の多くがオンライン会議に置き換わった。相手と対峙するときは画面越しが常となり、対面によるリアルなコミュニケーションへのハードルは上がったままだ。いままで非日常だった業務スタイルが、今やスタンダードになりつつある。
加藤氏
「こうしたオフィス環境の移行は、日本企業の多くが新しい変化として受容しているのではないでしょうか。各企業はさまざまな実体験と検証をもとに、オンラインとオンサイト、またはバーチャル同士のコミュニケーションのあり方を社内事情に適合させ、いかに仕事を効率よく回していくのかを模索している状況にある、と考えます」
そう話しはじめた加藤氏は、会議には大きく2つの目的があると言う。1つは、情報伝達を目的とする、「一方通行型会議」だ。こうした会議の場合、伝達事項はネットワークを介すことで一斉配信できるため、伝達対象者が多ければ多いほど効率が良くなる、とそのメリットを語る。ちなみに、これは顧客やパートナーに商材の単純な仕様やスペックを紹介するような場面にも当てはまるそうだ。
一方、新たな事業アイデアを生み出すような「創造型会議」の場合、オンライン上のコミュニケーションだけでは成果を上げるのは難しい、と加藤氏は言葉をつなぐ。
加藤氏
「創造型会議は、参加者同士のディスカッションを通じて、新しい何かを生み出すことに比重を置いています。しかし、オンライン会議では、全員の意見を聞き取り、まとめていくことはなかなか大変です。なぜなら、会議に臨む温度感が参加者によって異なる、参加者の表情や声のトーンといった感情の機微が画面越しだと読み取りづらい、製品を手に取れないなどの弊害があるからです。これは会社の方向性に重要な影響を及ぼす経営会議などでも、同じことが言えるでしょう。
もう1つ、私の経験からお話ししますと、製品のデモンストレーションにおいても顧客の心をつかむところまで持っていくには、あまりにも難易度が高いと感じています。弊社の場合、画面の美しさ、操作性、他社との優位性などは、やはり実物を体験いただくに勝るものはありません。こうした部分に関してはオンラインの限界を感じています」
※バルコ本社のショールーム
これら以外にも、課題は業種ごとに種々存在することだろう。ただ、これからの会議には、その目的を見極め、オンラインとリアルをうまく使い分けていくことが重要、と加藤氏。しかし、創造型会議のすべてをリアル開催に戻すことのままならない実情が、コロナ禍の企業を取り巻くジレンマでもある。上述の課題を解決に結びつける糸口はあるのだろうか。
双方向の会議を実現する、プロダクトの活用法
そこで加藤氏が提案するのは、インタラクティブなコミュニケーションを可能とするテクノロジーの活用だ。たとえば、参加者の持つ情報を簡便かつスムーズに共有できるワイヤレスコンファレンスツールは、Web会議でのオンライン参加者とオフライン参加者を結合し、闊達なディスカッションを生み出す手立てとなる。結果、オンサイトとリモートからの参加者が混在するハイブリッド環境下でも全員参加型の会議が実現できるというのだ。
加藤氏
「ビジュアライゼーションとは、多様化する情報を可視化し、多くの人にわかりやすく伝達する手段を指します。情報の可視化は、言葉で100説明する以上の効果を持っており、見る人の理解を深めるだけでなく、時に感動すら与えます。画像や動画をはじめとするあらゆる情報は、この時代、スマートフォンがあれば自由に持ち歩くこともできます。これらをクオリティの高い映像と音響によって、オンライン、オフライン、オンサイト問わず、必要と思い立ったときに即時共有できる環境は、これからの創造型会議に欠かせないものになりつつあります」
※ワイヤレスコンファレンスシステム「ClickShare CX」で実現するハイブリッドミーティングルーム
そして、こうしたプロダクトを会議室のみならず、オフィスのあらゆるところに配備した『ハイブリッド型ワークプレイス』の実現が、これからのオフィスの目指すべき形の一つ、と加藤氏は提言する。
加藤氏
「実際のところ、大型のマルチスクリーンやLEDのビデオウォールが設置された、マルチパーパスルームと呼ばれるスペースを導入する企業が増えています。こうしたディスプレイは少し前なら、サイネージやショールームに用いることが主流でしたが、最近では社員トレーニングや顧客向け研修、製品発表会など社内外のイベントに幅広く活用されています。
たとえば、とある外資系当社顧客のオフィスでは、十数面を数えるディスプレイで構成された大画面を社員トレーニングに活用することで、人材育成に役立てています。映像の美しさはさることながら、画面の多面化により、動画と静止画の組み合わせ、2つの異なる情報、2者以上の対談、遠隔地同士の接続など、プログラムに応じ効果的なビジュアライゼーションが可能なので、プレゼンテーター主導によるものとはまったく異なるクオリティの高い会議が実現できるのです。
また体感をより重視したプレゼンテーションが必要な場所には、VRの活用も考えられるでしょう。対象物があたかもそこにあるかのように、3次元のビジュアライゼーションをデザインできますので、ショールームなどにおける疑似体験の場を設けることで、より効果的なビジュアルプレゼンテーションが可能になります」
オフィスが変わり、会議が変われば、会社も働く人も良くなる
オフィスがビジュアライゼーションを重視した環境に変わり、会議スタイルも変わる先には、企業や社員にどういう変革が生まれ、ひいては社会にどういう影響をもたらすのだろうか。この問いに対する、加藤氏の回答はこうだ。
加藤氏
「一方通行で意見も言えない会議は出席していても面白くありません。せめて一言くらいは発言したいですし、自分がよい資料を持っていれば周囲と共有したいと思うのは、自然なことでしょう。ワイヤレスプレゼンテーションツールの活用によって、全員参加型の会議が実現します。すると、参加者に当事者意識が芽生え、モチベーションが上がり、会議をもっと有意義にしようと全員が考えるようになります。更にオンライン会議との組み合わせによって、名実ともにハイブリッド型ワークプレイスへとオフィスが変革されます。その先には、会社全体の生産性の向上、従業員満足度の向上があり、『働き方改革』がますます推進されると考えています」
こうした変化を起こすことが、バルコの社会貢献にもつながる、と加藤氏。最後にバルコの展望を以下のように語ってくれた。
加藤氏
「日本の会議時間は海外と比べて長いという調査結果もあり、生産性の低さが指摘されています。こうした状況を我々が提供するビジュアライゼーションとコラボレーションソリューションで改善していきたいと思います。大きな会議室のみならず、打ち合わせブース、ハドルスペース、オフィスのエントランスやイベントスペースといったあらゆる場所に、我々のディスプレイとプレゼンテーションシステムが置かれ、シームレスかつインタラクティブなコミュニケーションがあらゆる企業で実現することが、バルコの目指す世界です。
私たちは、社員の出社する目的がいままでとは変わっていることに気づかなければなりません。そのうえでオフィスのあり方や目的を再定義し、ハイブリッドな働き方を加速させ、オフィスの価値を高めることは、大きな意味を成すと考えます。そのために、お客様から学びつつ、お客様の目的に適ったプランを示していくことが、バルコの大きなミッションです。ハイブリッド型ワークプレイスの実現に意欲を見せる企業様を、力強くサポートできる存在を目指していきたいですね」
※大型高輝度LEDディスプレイを活用したオフィスロビー
オンラインに、より適合するオフィスのあり方を日本中が模索している。双方向型の会議が即時に実現でき、目的に対し確かな成果を出せるオフィスをいかに実現していくのか。この課題に1つの解を示したのが、バルコの提唱するビジュアライゼーションを活用したハイブリッド型ワークプレイスだ。
あなたの会社がニューノーマルのオフィスを思案したとき、グローバルで認められているバルコの実績とプロダクトは、大きな助けとなるはずだ。
バルコが提供するハイブリッドワークプレイス向け製品
オンライン、オフラインの会議を安全かつ効率的にする「ClickShare コンファレンス CXシリーズ」
「ClickShare CXシリーズ(for remote meeting)」は、リモート会議を想定したもので、ディスプレイと複数のPC間の接続を無線化するだけでなく、リモート会議で使用するカメラ、マイク、スピーカーフォン、サウンドバーなどのUSB機器とワイヤレスで接続するルームドック機能と、利用者が手元で操作できる専用ボタンで構成されている。専用ボタンをPCに挿すことで、ClickShare CXシリーズ本体に接続されたUSB機器をワイヤレスで操作できるようになり、ワンクリックでリモート会議を開始できる。
信頼性を継承しながら低コストを実現した大型LEDディスプレイ「LED XTシリーズ」
バルコは、中国のLEDメーカーUniluminと戦略的パートナーシップを締結し、高輝度LEDのXTシリーズを販売している。XTシリーズはアスペクト比16:9の1枚27インチのLEDタイルで、0.9~2.5mmの5種類のピクセルピッチから選択できる。特徴は、27インチのLEDタイルを任意に組み合わせて小規模から大規模まで自在に構成可能な点にある。シームコンペンセーション機能と呼ぶ、カメラを用いて継ぎ目のずれを検出して電気的に補正する機能により、複数のLEDタイルがシームレスな1枚のパネルのように表現できる。
ベゼルレスで高い一体感を実現したLCDディスプレイ「UniSee」
55インチのタイル式LCDビデオウォールプラットフォーム「UniSee」は、ベゼルレスの設計により、接続しているLCDタイルの間がほとんど目立たない、シームレスなLCDビデオウォールを実現している。800cd/m²に加え、「NoGapテクノロジー」によって、画質とともに設置精度や保守のしやすさ、信頼性も高めている。
PROFILE
バルコ株式会社 代表取締役社長 加藤浩典
ソニーで20年間、業務用及び民生機器の映像音響製品に関わり、国内外の販売とマーケティングに従事し、その経験を活かして、ローランドの業務用AVの全世界営業責任者、劇場やコンサートでトップクラスのd&b audiotechnik日本法人の代表を務める。2018年4月より現職のバルコ株式会社代表取締役社長に就任。
バルコ