ジュエリー業界を変える新技術とそのビジネスモデルとは‐発想力と技術力で世界トップを目指す‐ 

株式会社クロスフォー

PROFILE

  • 株式会社クロスフォー 代表取締役社長 土橋秀位(どばし ひでたか)

    株式会社クロスフォー 代表取締役社長 土橋秀位(どばし ひでたか) 1954年生まれ、山梨県身延町出身。東海大学海洋学部卒業後、1979年米国宝石学協会入学。帰国後1980年土橋宝石貿易創業。1987年シバド設立。1999年クロスフォーカットを発明し、2002年に社名を変更。2010年にダンシングストーン®を発明し2013年に特許取得。2017年本社を甲府市国母に移転。同年7月にジャスダック上場。

妻の一言がきっかけで生まれた、「困りごとを解決」する新商品

――EZ Claspとはどんな商品ですか?

EZ Claspはブレスレットやネックレスに使用する留め金具です。従来だと”引き輪”といって、横からフックを差し込むタイプの金具がほとんどなので、ブレスレットを片手で付けるのに手間取ったり、爪が長い方やネイルをしている方は付けにくかったりしました。しかし、弊社が開発したEZ Claspは、輪を上下から挟む形なので片手でも付けやすく、爪を傷める心配もありません。見た目の美しさにもこだわり、どんなデザインも邪魔しないシンプルな形状が特徴です。(※末尾に参考動画URLを記載)

――恐らく多くの方が「ブレスレットやネックレスの金具は留めにくい」と感じていた中、これは画期的ですね。EZ Clasp開発の背景を教えてください。

きっかけは、私の妻の何気ない一言でした。妻はジュエリーが好きですが、ブレスレットだけは付けていませんでした。何故かと聞いたら「ブレスレットは片手で留めにくいから」と。確かに、どんなに素敵なブレスレットでも留めにくくては使ってもらえないですし、これは世界中の人が同じように困っているのではないか、と気付いたのです。

そこから、「誰でも簡単に、片手で付けられる綺麗な金具」の開発に着手し、2019年6月に完成、発表しました。付けやすいのはもちろん、輪を上下で挟むダブルロックなので紛失しにくく、引っ張っても外れない丈夫な構造です。目立たないデザインなので、シンプルなネックレスなどにも違和感なく使用できます。開発のきっかけをくれた妻には感謝していますね。

世界中のブランドとコラボレーションを目指す、海外戦略

――EZ Claspは発表されたのが2019年6月、商品化が同年10月でこれから徐々に商品が増えていくそうですが、メーカー企業の反応はいかがですか?

有難いことに国内のみならず、インドやアメリカの大手ブランドなど海外各国の企業様からもご注文いただいています。アメリカやアジア圏など、安くて軽くお洒落なものが好まれる地域では特に好調です。日本のジュエリー・アクセサリー小売市場規模は約9,000億円ですが、2020年の海外市場は日本の約60倍、およそ50兆円になると言われているので、今後大きな伸びが期待できます。受注件数の増加を見越して、タイの工場と提携して生産体制を整えています。これまでの経験を活かすことで、世界中のお客様の困りごとを解決できて、良い形でビジネスに結びつくのではと考えています。

――EZ Claspは、今後どのように展開させていきますか?

EZ Clasp自体に装飾を施したものを開発しています。例えば、蝶々やてんとう虫、ミツバチなどの可愛らしいモチーフを付けることで、留め金具もアクセサリーとして楽しむことができます。ネックレスなら装飾の一部として溶け込みますし、ペンダントならEZ Claspをポイントとすることで、一見留め金具がないアクセサリーにもできます。簡単に装着できて、且つ今までにない新しいファッションを実現できるでしょう。OEMでさまざまな企業様のご要望に応じて、製作販売を進めていきます。
EZ Claspはあくまでもジュエリーやアクセサリーの脇役なので、ファストファッションブランドでも高級ブランドでも、必要であれば是非多くの企業様に使っていただきたいですね。
――EZ Claspを用いた商品ラインナップを作り、自社でブランド化する可能性もありますか?

いいえ、他社ブランドと競合してしまうので、弊社はあくまでも素材やノウハウを提供する側に立ちます。「自ら敵を作って戦う」という考え方ではなく、逆に「敵に塩を送る」ではありませんが、良い素材を作り多くの企業様とコラボレーションして、Win-Winの関係を築くのが理想です。弊社の素材や商品化のアイデア、ノウハウをお渡しし、各企業様のブランド強化にご活用いただきたいです。この施策にEZ Claspは非常に役立つでしょうから、世界中のブランドとコラボレーションができれば、ジュエリー・アクセサリー業界全体の底上げにもなると思います。

クロスフォーのユニークな発想力、その原点とは

――競合を作らずに自社のノウハウを売ってビジネスを広げる、という発想の原点はどこから来ているのでしょうか。

弊社の主力商品「クロスフォーカット」での経験からです。クロスフォーカットを発明した当時、ブランドの立ち上げに挑戦しましたが、この時に「これは他ブランドを敵にまわす行為」だと気付いたのです。世界の名だたるブランドに真っ向から戦いを挑むのではなく、クロスフォーカットの石を仕入れてもらい、商品を作ってもらうことで、他ブランドと共生するという道を選びました。

――その後発明した「ダンシングストーン®」でロイヤリティビジネスを確立されたのですね。

国内では完成品の製造販売とOEMを行なっています。対して、海外では製造ノウハウと部品の供給を行なっており、ノウハウに対する特許料をロイヤリティとして支払っていただくビジネスモデルになっています。これにより世界中のお客様がダンシングストーン®を製造できるようになり、開始から約9年経った今では弊社の主力事業となっています。
――EZ Claspにおいて、ロイヤリティビジネスはどれ程の伸び代が期待できますか?

EZ Claspはダンシングストーン®以上に可能性を秘めています。ダンシングストーン®は舞台で例えるなら役者であり、他の役者(ブランド)と仲間且つライバルでもあります。それに対して、EZ Claspは裏方です。裏方は敵味方関係なく仲間を支えますし、何より舞台は裏方がいないと成立しません。世界中の役者に、役に立つ裏方として採用していただけたら、活躍の場がどんどん広がり、巨大な市場を獲得できるでしょう。

ダンシングストーン®で弊社と契約していただいた約240社にEZ Claspを使ってもらえれば、世界で市場を大きくシェアできて、そのアクセサリーが売れるほどEZ Claspの需要もどんどん増えます。EZ Claspが普及して一般的なものになれば、更にシェアを広げられるでしょう。

――クロスフォーはこれまでも「クロスフォーカット」や「ダンシングストーン®」で特許を取得していますが、御社の開発力や発想力の秘訣は何でしょう?

新しい物を作るには、二つの考え方があります。一つは「全くないものを創造する」、もう一つは「不都合の改善」です。EZ Claspは後者にあたります。この二つの考え方を基軸に困り事が解決できれば、世界中の方に受け入れられると思います。

日々、私自身がこのような感性で物事を考えるよう心がけていますが、社員にも気付く力と自分で考えて発想する力を磨いてもらえるよう、弊社では「改善提案書」を取り入れています。「社内の掃除をこう工夫したら」とか「EZ Claspをこんなデザインにしたら」など、どんなアイデアでも気軽に出せるシステムです。従業員であれば誰でも参加できます。毎週提案内容を発表しており、該当者には報奨金を進呈しています。先述した「EZ Clasp自体に装飾を施す」というのも、実はこの改善提案書から生まれたのですよ。

これまでのノウハウを基に、世界シェアNo.1を目指す

――御社はアイデアをカタチにする力も優れていると感じますが、その源はどこにあるのでしょう?

私が日々社員に伝えている「Never give up」のマインドでしょうか。何か一つのことをやり遂げるのに、諦めずにただ我慢するのではなく、「日々努力を惜しまず、自分を信じて徹底してやり続けよう」という意味を込めています。アイデアや優れた商品はある日突然湧き出るものではありません。エジソンも言っていましたが、1%のひらめきと99%の努力、そして夢を持つことで成功します。夢があれば、途中で心が折れそうになっても諦めずに保つことができます。

そしてもう一つ大切なのが、「売り逃げはしない」です。作って売って終わりではなく、売れ行きの原因や改善点をはっきりさせ、お客様と一緒になって物作り、ひいては未来を作っていこうという考え方です。二人三脚の努力から信頼関係が生まれ、信用を積み重ねていけると思います。長いお付き合いを見据えていますから、いい加減な物は作れません。

――2017年にはジャスダック上場を果たしましたが、ここに至るまでさまざまな道のりがあったと思います。

土橋宝石貿易として創業してから約40年、好景気やバブル崩壊などを乗り越え、世界中を飛び回りながら、さまざまな学びを経て今に至ります。良い時も悪い時も経験したので、多少のことでは動じなくなりました。「何とかなるだろう」という精神です。

ちなみにクロスフォーの社名は1999年に発明した「クロスフォーカット」から来ていますが、由来は「cross for you」=「愛をあなたに」です。企業の利益とは、「たくさんの”ありがとう”が、お金として還元されるもの」だと考えています。つまり、どれだけ困り事を解決できたかに繋がります。”ありがとう”が世界中に広がれば、皆が幸せになれるのではないでしょうか。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

2019年10月には、時計バンドやメガネフレームの製造・販売を行なっている上場会社の日本精密株式会社と業務提携をしました。1年以内に共同開発商品の発売を目指しています。今後は、ダンシングストーン®、テニスチェーン、EZ Claspの3つを柱に、今まで培ったノウハウを以って、業界No.1を目指します。ジュエリー金具の世界市場は約2,000億円と言われていますが、2024年には世界シェア10%の200億円、2034年にはシェア80%を獲るつもりで、皆様の日頃の支えに感謝しながら邁進していきます。
参考 「EZ Clasp とは?」
https://news-tv.jp/_ct/16959406
参考:「第8回ガールズジュエリーEXPO東京」出展情報(2020年1月20日出展)
https://newscast.jp/news/553260

2020年1月10日

株式会社クロスフォー

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