世の中の“わくわく”をつくる。AbemaTV躍進を支える広報の面白さ

サイバーエージェント

2016年春のサービス開始からわずか1年半で2000万ダウンロードを突破し、2017年は「亀田興毅に勝ったら1000万円」「72時間ホンネテレビ」など地上波では実現が難しいであろう斬新な企画を成功させて、怒涛の勢いで世間に広く浸透しているAbemaTV。そんな前例のないインターネットテレビ局を広報として裏から支えるのがサイバーエージェント社の宣伝本部だ。今回は、このメディア統括本部の一員で入社11年目の山﨑眞由子氏に、AbemaTVの広報とPRの仕事内容とその魅力について話を伺った。
株式会社サイバーエージェント メディア統括本部 山﨑眞由子氏
株式会社サイバーエージェント メディア統括本部 山﨑眞由子氏

待っていても視聴者は増えない。アプリをインストールさせるための興味喚起から、広報の仕事は始まっている

2007年にサイバーエージェントに入社した山﨑氏は、同社の主力サービスであるアメーバピグやアメーバブログなどでプロデューサーを経験。その後、社内スタートアップの広報を半年ほど担当した後、2016年3月から社内の50以上の事業を横断して広報・PRを行う宣伝本部のメディア広報に配属。現在は主にAbemaTVの広報を担当。山崎氏はまず、AbemaTVと地上波放送との決定的な違いを次のように述べる。

山﨑氏「自宅にあるテレビをつければですぐ見ることができる地上波放送とは違って、AbemaTVはまずユーザーに興味を持ってもらい、アプリをスマホにインストールし、立ち上げてもらえないと始まらないサービスです」

そうしたこともあって広報としてAbemaTVの発展に貢献するためには、従来の広報のイメージよりもアグレッシブな姿勢が求められている。

山﨑氏「私たちの仕事は、リリースをひとつ出せば視聴者数が10増えてくれるわけではありません。制作チームと一緒になって、視聴者により興味を持ってもらえるように、 少しでも話題を生み出せるように、企画の段階から切り口を相談したりアイディアを議論するなど、番組作りにも積極的に関わって意見しコミットしています」

つまり“コンテンツありき”で進めていくような広報では無いということだ。

研ぎ澄まされた情報発信のために、番組制作にまで及ぶPR戦略

山﨑氏「出来上がったものをもらってから広報、PRするのはいろいろと制限が出てしまうので、大きな番組ほど早くからPR戦略のストーリーを立てるべく、制作陣とブレストを重ねていますね」

番組への期待値を最大限に高めて、制作陣のつくるコンテンツをユーザーに届ける盛り上げ役を担っているといえる。

山﨑氏「もちろん見てもらうことがゴールですが、番組の放送日までにどのくらい世間の熱量を上げておけるかが私たちの使命です」
なお、AbemaTVの番組づくり、打ち出しにおいては「不必要な忖度はしない」という。

山﨑氏「必要以上の忖度の中で番組の広報・PRを進めていくと、おもしろい番組が縮小した打ち出しになってしまうので、“とがっている”番組はその良さを活かした形で世間に発信していきたいと思っています」

昨年11月の「72時間ホンネテレビ」や、大晦日に放送された「朝青龍押し出したら1000万円」も、その姿勢で取り組んだという。

山﨑氏「「朝青龍押し出したら1000万円」では、元横綱の朝青龍さんが最後の相撲をとるという企画の中で、様々な挑戦者の出演について、決定次第、矢継ぎ早にニュースを出していくという形で、世間の注目度、熱量を最大限高めていけるよう制作陣と何度も会議を重ねてきました」

いうまでもなく、その効果は放送発表から大晦日にかけてのメディアの騒がれ方からも明らかだろう。このようなステップを経て生まれる切り口が研ぎ澄まされた情報発信を、サイバーエージェントでは“鮮やかな広報”と呼んでいる。宣伝本部ではひとつでも多くの“鮮やかな広報”を実現し、広報の立場から社内の各事業を伸ばしていくことを大きなビジョンに掲げている。

AbemaTVが大切にしているのは世間の“ざわつき”

もちろん細かなKPIを置いているが、サイバーエージェントではそれだけがゴールではない。

山﨑氏「AbemaTVは現在視聴者数を伸ばすフェーズです。いろいろな方からテレビの視聴率と比較した番組の評価指標などを聞かれますが、一般的な視聴率のような数値だけで番組を評価ができないのもインターネットテレビ局の特性です」

それゆえに視聴者数やその動向を細かくチェックしているのは当然としながら、メディア広報として併せて大切にしているのは「話題の総量」だと話す。
山﨑氏「世間の注目度合いや盛り上がり、話題の総量がどのくらいなのかは常にウォッチしています。例えば、ヤフトピに上がった記事本数や、ソーシャル上でどのぐらい話題になっているかなど」

番組のコアターゲットに合わせて、ネットニュースだけでなく、SNS、新聞、雑誌と幅広いメディアを読み取り、世間の“ざわつき”をリサーチすることも仕事の1つだ。

山﨑氏「数だけではなく、コンテンツのどの部分が話題になっているのかをチェックしたり、ニュース記事やソーシャルの投稿をきっかけにどのような切り口で話題にされているかを確認したりなど、記事の質やそこから派生するざわつきまで細かく見ています」

そうして世間の反響を見ることは、広報という仕事の真の面白さにも直結している。

山﨑氏「自分たちの出したリリースがSNSで騒がれている、新聞や雑誌でAbemaTVが取り上げていただけたり、取材をしたいとご連絡をいただける、そういう自分たちが仕掛けたものが事象や結果になってみえているというのが、この仕事のやりがいですね」

思いっきりチャレンジできる。提案を受け入れてくれる環境は貴重

広報としてプロフェショナルな結果を出すためには、戦略を立てるだけではなく、戦略に基づいて日々の細かな広報業務をおろそかにせず、地道に行うことが大切だ。

山﨑氏「メディア広報では市場や業界に対しての広報と、視聴者に成り得る層に向けたユーザー向け広報の両方を行っています。前者は例えば、社長の藤田や制作部長や編成局長のインタビューを最適なメディアに対して提案したり、プロダクトの機能、新しい事業展開の発表などのプレスリリースを配信するような業務を行っています。後者は、AbemaTVで放送している番組の特性や魅力を、どのメディアで、どのターゲット向けに、どのように伝えていくのがいいのかということを考えながらメディア向けの情報発信やPR施策を行っています」
また、日々の業務の中で一人ひとりに大きな裁量が与えられているサイバーエージェント。自由な提案が受け入れられる社風もこの仕事の大きな魅力という。また、PR会社などに一切アウトソーシングせず、自らが主体となって動かしていくのも現在のポジションの面白さだと山﨑氏は語る。
山﨑氏「クライアントワークと違って自社のサービスを広報・PRする仕事なので、お客様の意向ではなく、自分たちの中で正解を追い求めて一つ一つ実行します。宣伝本部のチームで仕事をする感覚が強く、提案したもの、各分野のプロフェッショナルなメンバーと一緒に精度を高めていくという空気がありますね。アイディアを出しながらディスカッションしていいものを目指していくという環境があることは、とても魅力的だと感じています。私たちはPR会社にお願いはせず、自分たちで戦略を立て、企画、制作、実行をするので、広報の本当の面白さに触れることができます。自分が狙った通りの、世の中をわくわくさせられた広報ができたときは、本当に嬉しいですね」

別のセクションからメディア広報へ移って約2年。新しいチャレンジでの一番の気づきとは

山﨑氏「広報というのはどこまでやっても終わりがない仕事。それゆえに番組の制作にも関わることができ、広い裁量の中でできることは無限にあると感じます。AbemaTVの広報は、PR戦略を立てるところから始まり、プランの企画と実行、効果測定、次なるステップの策定まで、すべてを自分たちで行っています。ここまで幅広いPR業務に関われるのは、AbemaTV広報ならではの楽しさです。また、そうした仕事を通じて統合型マーケティングの思考が身につけられるのは、自分自身の成長につながっていると感じています」
まさに今の時代の先端を進む企業であるサイバーエージェント。より広い裁量を与えられたAbemaTVの広報・PRの仕事はとてもやりがいに満ちたものだろう。

2018年3月16日

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