2019年12月2日

日本拠点開設50周年グローバルな資産運用会社
フィデリティが考える「日本と投資」のこれから

フィデリティ投信株式会社

PROFILE

  • フィデリティ投信、およびフィデリティ証券代表取締役社長  デレック・ヤング氏

    フィデリティ投信、およびフィデリティ証券代表取締役社長  デレック・ヤング氏 KPMG他、連邦準備制度理事会(FRB)に勤務した後、1996年に米国フィデリティ・インベスメンツ(FMR)に入社。2009年から2011年までグローバル・アセット・アロケーション・グループで最高投資責任者(CIO)を務めた。2011年からインスティテューショナル・アセット・マネジメント(FIAM)の副会長を務め、FIAMではアセット・マネジメント部門の傘下のインベストメント・クライアント・ストラテジーの責任者も務めている。2019年1月より現職。1986年トロイ大学で理学士号を取得。1991年ヴァンダービルト大学で経営学修士号(MBA)を取得。CFA協会認定証券アナリストの資格保有

日本初*1 の外資系資産運用会社として1969年に拠点を開設したフィデリティ投信が、今年で設立50周年を迎えた。東京にある外資系資産運用会社の中で屈指の規模を誇る日本株式調査チームと投資チームを擁し、堅実な金融商品と質の高いサービスで日本の投資家から信頼も得てきたパイオニア企業。その半世紀に渡る歩みを支えてきたものは何だったのか。ここでは同社の代表取締役社長であるデレック・ヤング氏にインタビュー。50周年という節目を迎えた感想、企業の今とこれから、そして日本の投資の活性化に対する思いなどを伺った。世間で「年金2000万円問題」が大きく話題になり、日本でも将来の資産形成に興味を抱く人が増える中、「フィデリティ」は次の50年をどのように歩もうとしているのだろうか。

企業の半世紀を支えたのは「最強のリサーチ力」

ーーまず初めに、フィデリティの日本における現在までの歩みについて簡単にお聞かせ下さい。

まず、フィデリティ投信の親会社であるフィデリティ・インターナショナルは、1946年米国ボストンで創業された「フィデリティ・インベスメンツ」の国際投資部門として1969年にスタートし、1980年に米国の組織から独立。東京はフィデリティが設立した初めての海外拠点でもあり、現在はフィデリティ・インターナショナルの傘下となっています。日本においては、フィデリティ投信が機関投資家、ホールセール、企業型DC(確定拠出年金)、フィデリティ証券が個人投資家、という4つの顧客層に対して、投資管理や運用を行う総合金融企業に発展しました。

ーーフィデリティ投信の事業の特徴を教えてください。

資産運用ビジネスにおいては、我々は日本の外資系では公募投信において最大の純資産を有する、業界全体においても国内トップ10に入る企業です。特に15年以上の運用実績を誇る「US・リート」と「USハイ・イールド」という2つの商品は、国内の投資信託で2番目と3番目に大きいアクティブファンド*として知られており、当社の旗艦商品です。
また、グループ会社を通じて1998年から個人投資家向け商品の販売を始め、こちらも短期間のうちに強化を進め、投資信託の取り扱いにおいては、オンラインブローカーでは日本で4番目の外資系証券会社として認知されるまでになりました。

ーー御社は日本初の外資系運用会社として、他社に先んじて日本で初めてドル建て日本株ファンドを設定、日本の投資家へ外国株式ファンドを提供したのち、外資系運用会社として初めてのドル建て日本株ファンドを設定するなど、日本と世界の投資市場とを結びつける役割も果たされてきました。そうした中でフィデリティ投信の資産運用会社としての強みはどこにあるとお考えでしょうか。

まず第一に挙げられるのは、創業者であるエドワード・ジョンソン2世が開発した「ボトムアップ・アプローチ」に基づく徹底的なリサーチ力です。私自身もボストンのオフィスに22年務め、ポートフォリオマネージャーとして幾つもの企業のリサーチに携わってきましたが、財務状況や将来成長力などの調査・分析にかけては、世界トップクラスだろうという自信を持っています。日本株を担当するアナリストの数は外資系運用会社の中で最多。フィデリティ投信という会社を知っていただく際には、まず彼らのリサーチ力に着目していただきたいと思っています。
ーーそのリサーチ力の源はどんなところにあるのでしょう。

私たちのアナリストは、フィデリティ・インターナショナルを背景とした国際的な投資家ネットワークの中で働けるという利点があります。それによって世界のマーケットがどのように動いているか、世界の産業がどう変化しているか、そしてそれらが世界の中でどのように作用しているかといったことを敏感に察知できるのです。お客様からお預かりした資産を正しく運用するのは我々の義務です。そして、そのためには専門性の高いアナリストによる緻密なリサーチが欠かせません。2018年に弊社のアナリストは世界で日本を含め12,500社以上の企業を訪問しており、日本だけでも2,000回以上の面談をしました。そうしたリサーチをベースとした運用のサイクルが上手くいっているからこそ、お客様の信頼を獲得できていると感じています。

ーー今年は御社にとって日本法人設立50周年というメモリアルイヤーです。50年という歳月の中には世界的な金融危機も何度かあったわけですが、それらを越えて日本市場で勝ち抜いてきた要因はどこにあるとお考えでしょうか。また、この50年という歴史の重みをどのように感じていますか。

この度、日本拠点開設50周年を迎えられたことに誇りを感じています。半世紀という時間の中には様々な経済サイクルがありましたし、日本のマーケットにも様々な動きが起こりました。そうした中で、日本の投資家の方々から長く信頼を得ていることが何よりも嬉しいです。また、機関投資家へも日本法人立ち上げ当初から長い時間をかけて信頼を獲得してきました。今では世界最大の年金ファンドであるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめ、極めて規模の大きい投資家からも運用を任される立場になっています。50年という節目を機にここまでの歩みを振り返ると、地道に得てきた信頼の大きさが企業の価値を成長させてくれたと改めて感じさせられます。

日本の投資市場の活性化に必要なものは

ーー50年前と今を比べれば、政治的にも経済的にも日本の国際的なプレゼンスは大きく向上しましたが、資本市場においてはこの50年でどんなシフトチェンジが起こったと見ていますか。

言うまでもなく50年の中で日本の市場は大きく変わってきました。もちろんお客様が求めるものも変わってきています。特に大きいのは長寿社会に伴う変化です。これに対しては、我々としても考え方やサポートのあり方を根本的に変えていく必要があります。また、50年の中では投資環境も変わり、今では貯蓄をしても低金利が当たり前。そうした中では、限られた資産でどうやってお金を増やすかというニーズが生まれています。我々としては、ぜひ旗艦ファンドのような商品を通じて、皆さんの資産形成のお手伝いしていきたいと考えています。

ーー個人投資家に目を向けた時に、例えばアメリカの投資家と比較して日本の投資家にはどんな印象を抱かれていますか。

日本の個人投資家は保守的という印象ですね。個人金融資産のうち、全体の半分以上が預金に入っていて、さらに年金や保険を含めると8割の資産が投資にまわされていないのが今の日本の現実です。それに対して、アメリカでは6割の個人金融資産が確定拠出年金として運用に回されていて、個人投資家はそれ以外にも様々な商品に投資しています。例えば、退職の準備にしても、退職日などを期日に設定したターゲット・デート・ファンドというものを活用し、長期的な視点に立って備えを行っています。確定拠出年金を始めると、リスクの許容範囲や何に投資すべきかなど運用について自ら考える必要があるので、自然と投資の教育を受けることになる。短期的な投資ですぐにお金を生むことを目的にするのではなく、長期的な投資でバランスよくリスクをとりながらリターンを得るという感覚が多くの人に身に付いていますね。

ーー日本の投資市場を活性化するためのキーワードを挙げるとすると?

金融教育ですね。「もっと業界全体が教育を行っていくべき」というのは私が理事を務める投資信託協会でも共通課題に挙がっています。確かな知識を持てば、投資に対して自信が持てますから。これについては投資を身近なものにするために、貯蓄者が投資家に変わるような、より戦略的な取り組みが必要と考えています。当社はすでに退職に関する投資教育を2007年から専門機関「フィデリティ退職・投資教育研究所」を立ち上げて投資家の教育レベル向上に努めていますが、今後も貯蓄だけではなく投資を行う方々を増やす取り組みを強化していきます。

新しい50年も「クライアントファースト」の姿勢を貫く

ーー日本のニーズに対して、これから強化・拡充していきたい商品やサービスがあれば教えてください。

日本はまだまだ果てしない可能性を秘めています。フィデリティとしては、グローバルですでに高い評価を得ている優れたファンドを投入する計画があります。ESG(環境・社会・企業統治)投資にも力を入れていきます。また、チャンスを感じているのは、先ほど挙げた確定拠出年金です。日本でもいろいろなところで名前を聞くようになった確定拠出年金ですが、日本の企業年金全体に占める確定拠出年金の割合はたったの5%程度です。それに対して、我々はこの領域で既に外資の中では日本のリーディングカンパニーの位置におり、日本の企業が採用している確定拠出年金のプランのうち、およそ半分以上に弊社の商品が採用されています。先にも話したように、確定拠出年金を始めると投資について考える機会が増えるので、これが広まれば日本人の投資に対する姿勢が変わる可能性すら秘めています。

ーー最後に、日本拠点開設50周年、そしてその先の未来に向けて、フィデリティ投信はどんな将来像を描いていきたいとお考えでしょうか。

フィデリティは日本に拠点を設立してから50年に渡って「クライアントファースト」の姿勢を貫いてきました。とてもシンプルなことですが、お客様のニーズを満たすこと、お客様の期待に応えることは今後も変わりません。私たちにとってのパートナーはお客様です。そして、フィデリティ投信が日本のマーケットに対して何ができるのか、皆さんにとってベストなものは何なのか、サービスの提供を通じて、これからもそうしたことを考えながら良きパートナーシップを築かせていただきたいです。今後も個人投資家の方々にとっても機関投資家の方々にとっても、お客様のベストパートナーであり続け、皆さまのソリューションプロバイダーとして、次の50年も業界をリードし続けたいと思っています。
*:取材(2019年10月30日)時点
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