コダワリが詰まったスムージー「froosh」が、発展途上国の経済的成長を助ける訳とは

froosh

海外のことわざで「朝の果物は金」というものがある。意味は、果物は朝の食事に取り入れる方が良いといったものだ。集中力や代謝を上げる効果、そして食欲改善などの好影響を受ける事ができる。しかし、忙しい朝から果物をむいて食べるというのも現実的には、難しいものがある。今回インタビューさせて頂いた「froosh」は、日常生活において時間的な制約が多い現代人に向けたスムージーを作るブレンダン・ハリスCEOだ。生の果物を食べている様なスムージーの生産背景には、ブレンダン氏の考える「発展途上国の貧困解決」といった強い意志があった。

生の果実をそのまま摂取出来る、新鮮さがギュッと詰まったスムージー

――「froosh」のスムージーはどの様な商品ですか?

「果実分100%のユニークでオリジナリティのあるスムージーです。元々スウェーデンにある会社で、特に北欧四か国で積極的に事業を展開しています。日本において、ジュースやスムージーというのは濃縮還元のものが殆どですが、市場においてはじめてのストレートに果実が入っているスムージーだと自負しています。」(ブレンダン氏)

――濃縮還元でないというのはスゴイですね。

「はい、濃縮還元はコストや運搬面において効果は高いです。その為、市場に出ているほとんどのスムージー・ジュースは濃縮還元となっています。(パッケージ裏面の原材料名に濃縮果汁と書いてある場合は、濃縮還元である。frooshはストレートと表記されている。)できる限り、普通に果物を摂取する場合と同じ様なカロリー・飲みごたえとしています。だから保存料も無添加です。」(ブレンダン氏)

――確かに日本の飲料は、美味しく見せる為に無駄な着色料が入っていたりしますよね。

「froosh 」のパッケージデザインで『ulgy but lovable(意訳:ちょっと見た目は悪いけれども私は大好き)』というのがあります。9GAGというサイトにこのパッケージ画像が投稿され、『貴方って顔が悪いけれども、私は好きだよ』という意味で爆発的に拡散したこともありました。こうした、誠実なスムージーを作るというブランドメッセージに共感してくれる人も多いようです。」(ブレンダン氏)

――先ほどスウェーデンの会社とお伺いしましたが、どの位シェアがあるのですか?

「frooshの市場のシェアは70%です。スウェーデンにおいては25社ぐらいのスムージーブランドがあるのですが、我々の会社が一番知られています。普通の人は1週間に2~3本ぐらい飲みますが、多い人だと毎日飲みますね。スウェーデンでは朝ごはんとお昼ご飯の間の時間帯に食べるご飯をMellanmal と呼ぶのですが、小腹がすいた時間帯やおやつなどでよく飲んでいただいています。」(ブレンダン氏)

――なぜスウェーデンでそこまで愛されているのですか?

「先ほどお伝えした混じりっ気がない点や、社会貢献がある企業であるという点です。そして何より美味しいからだと考えています。」(ブレンダン氏)

――多くの人に評価されているんですね。

「どの味も、多くの人に愛されている様です。ブランド名を隠した試飲会(ブラインドテスト)でも常に高評価を頂いています。」(ブレンダン氏)

今回、4種全てのスムージーを飲ませて頂いた。飲みやすさもさることながら、一口目でわかる果物へのコダワリ。粘度についてもドロドロしすぎておらず、のどごしも非常に日本人好みだと思った。濃縮系やシロップで誤魔化しているスムージーとは全く違うパーフェクトな味わいだ。

コストがかかってもより良いものを追求する

――普段あまりスムージーを飲む事がないのですが、非常に飲みやすいですね。

「スムージーに最適な果物を色々な国から集めてきています。使っているフルーツの半分はヨーロッパの農園からです。イチゴやラズベリー、グレープなどは質が高い物が数多く生産されているので。トロピカルフルーツなどは、アジアや発展途上国の畑から直接買い付けています。具体的にはタイやインドネシア・グアテマラ・ペルー……。」(ブレンダン氏)

――国数でいうとどれぐらいですか?

「それこそ100以上の国が関わってスムージーができています。例えば、マンゴー&オレンジ味には、3種類のマンゴーが入っています。」(ブレンダン氏)

――複数のマンゴーがはいっているのですね。

「日本のスーパーなどでもマンゴーの取り扱いがあると思いますが、ほとんどの場合1種類だけです。でもマンゴー自体の品種は数百種類もあって、その中から厳選してfrooshにあうモノだけを選んでいます。スーパーにある1種類というのは、値段やスーパー利用者に合わせたものです。でもfrooshは複数ブレンドした方が、より味が良くなるとわかっているため、質の良いものを選んで混ぜ合わせています。」(ブレンダン氏)

――複数品種となるとコストが増えませんか?

「もちろん1種類のみの方が1か所からの輸入となる為、コストを下げる事が出来ます。でも最上位のスムージーというコンセプトがあり、ユーザーもそれを好んでくれている為、妥協しません。」(ブレンダン氏)

――frooshは保存料が入っていないのに、非常に長期間保存可能ですね。どの位なんですか?

「生産日から1年間は賞味期限が切れません。」(ブレンダン氏)

――1年!非常に長いですね。

「はい。巷のスムージーは、紙やプラスチック性なモノが多いと思いますが同じ様に売ろうとするとすぐに賞味期限が切れてしまいます。ガラス以外の器に入れると①雑菌が繁殖しやすい②空気に触れて酸化してしまうという問題があるからです。」(ブレンダン氏)

――プラスチックも空気に触れるのですか?密閉されている様に見えますが。

「プラスチックで密閉されていても、空気というのは長い時間をかけて通過してしまうんです。佐藤さん、林檎を切った後放置するとどうなるかわかりますか?」(ブレンダン氏)

――茶色になってシワシワしてきます。

「そうです。色が変わります。それだけでなく、果物本来の美味しさも落ちてしまいます。そうした酸化を防ぐために他製品では保存料が入っています。ガラス瓶であれば、空気と全く触れさせないで大丈夫なので。また、瓶であれば煮沸消毒で完全に滅菌する事が出来る為、長期間保存しても味が劣化しません。」(ブレンダン氏)
――環境面でもガラスは非常に良いですよね。

「はい。プラスチックなどに比べてリサイクル率が高い事もガラス瓶を選んだ理由でした。海洋生物に与えるプラスチックの影響などを考慮すると、容易には選ぶことはできません。スウェーデンでは97%のガラス瓶がリサイクルされていますし、もし誤って海などに落ちても長期間で砂に変化します。そうしたサステナビリティを考えると、コストがかかってもガラス瓶が相応しいと考えています。また、2年前の日本参入のタイミングでは瓶ごと輸入していました。今年より、瓶詰め作業のみ兵庫県の姫路にて実施しています。」(ブレンダン氏)

会社のポリシー『Fruit on a mission』とは

「こうした、コストよりもよいものを追い求めるのは『Fruit on a mission(フルーツ オン ア ミッション)』という会社のアイデンティティがあるからなんです。」(ブレンダン氏)

――Fruit on a missionですか。どの様なものなのですか?

「発展途上国支援というと欧米や日本などは、金銭的な支援が基本となっています。その背景には、国家戦略として財政的な支援を行っているという背景ももちろんあります。その額は膨大で、アフリカに対しては2兆ドル以上の財政支援を行っています。しかし残念なことに金銭を渡すだけでは、どこかで搾取されたり、兵器に使われてしまったりしています。その結果、財政支援への依存体質となり、より貧しい国へと変動してしまっています。」(ブレンダン氏)

――財政支援がダメというと、どの様な支援が良いのでしょうか?

「貿易としてのアプローチです。フルーツ農園ができれば、一緒に仕事をすることで農園は外貨を得る事が出来ます。農園のコミュニティが豊かになってくれば農園専用の病院や飲み水、発電機、学校など自分達の為の設備投資を行う事ができます。」(ブレンダン氏)

――なるほど。Fruit on a missionというのは、貿易を通じた途上国支援なんですね。

「アフリカにおいては、まだまだフルーツというのは小さなマーケットです。だが、世界的に見れば、フルーツのニーズは高く存在します。熱帯で取れるフルーツと同じ様に、同じ品質のものを世界に輸出するお手伝いができたらと思っています。」(ブレンダン氏)

――素晴らしい考えです。具体的な支援内容などお伺いできますか?

「フルーツ農園プログラムとして支援を行っています。一例としては、マラウイ共和国でのマンゴー栽培支援です。昨年農園を訪問したタイミングで付近を視察した時には、野生のマンゴーが沢山生えていました。」(ブレンダン氏)

――そのマンゴーを出荷するということですね。

「いえ。そのマンゴーは残念ながら美味しくないんです。地元の人からはドードーマンゴーと悪口を言われるぐらい味が悪いです。そこで私たちが、インドから最高品質の苗木を持って来て、地元の農園の樹に接ぎ木しました。(幹に切り込みを入れて、味の良い果物などを育てる方法)苗木を植えて木になるまでには時間がかかりますが、この接ぎ木の方法であれば1年半あればデリシャスなインド種のマンゴーを育てる事ができます。」(ブレンダン氏)
――何人ぐらいがこのプロジェクトに参加しているんですか?

「それこそ、地元の農園全てを訪問しました。結果5,000人を超える人が美味しいマンゴーを作るプロジェクトに関わってくれています。役に立たない不味い木が、おカネを得るキャッシュマシーンとして成長しました。」(ブレンダン氏)

――金銭支援にはない、画期的な支援ですね。

「私たちの会社は、まだまだ小さな例しか作れていません。ですが、他にも活用できる優れた事例だと考えています。その事例を多くの人に知ってもらうために会社には政治部門を用意しています。」(ブレンダン氏)

――政治部門!それは他社にはない特別な部門ですね。

「大学やカンファレンスなどで、会社のミッションや、事例などを多くの人に語る部署です。毎日の様に色々な大学に出向いたり、海外での講演活動などを行っています。会社の創設者として会社を大きくしていくのと同じくらい、会社の倫理を広く多くの人に伝えていきたいと思っています。日本にも何度か講演をしており、東京大学や立命館アジア太平洋大学などでもミッションを伝えさせて頂きました。」(ブレンダン氏)

――このミッションを伝える為に社員に対して、特別な研修があると伺ったのですが。

「基本的に、わが社に入社するとフルーツ農園での研修プログラムに参加してもらいます。実際にバナナを育てる為に穴を掘ったり、収穫のお手伝いなどをして、フルーツはどうやって育っているのかを知ると共に、発展途上国や農園のリアルな姿を体験してもらいます。」(ブレンダン氏)

――リアルな姿というと、結構大変そうですね。

「デスクワークが基本のビジネスマンからすると、キツイ体験だと思います。食事は美味しくない。地べたに布を敷いてねる。水道もトイレも整っていない。きつすぎて、手伝い中に寝てしまう人が出た位です。」(ブレンダン氏)

――そこまでキツイ研修を実施する理由は何でなんですか?

「実際の農園を体験する事で、自分達の作っているものがどういった人達の協力によって成り立っているか理解できる様になります。この研修を経て、たくましくなると共にフルーツによってこの人達の生活を支えることに対して誇りを持つことができます。」(ブレンダン氏)

日本マーケットに向けて

――frooshが日本をターゲットとする理由は何ですか?

「大都市に住む人達というのは、時間がなく忙しくしている人が非常に多いです。果物などをジュースにしたいと思っても、手間を考えて避ける人が多いのではないでしょうか?」

――確かに、ジューサーって買って後悔する家電ランキングで1位になる事がおおいですものね。

「体にいいものは摂らなければいけない。でも時間がない。この悩みは、frooshが良く飲まれる欧米と同じです。手軽に無添加で美味しいスムージーが飲める環境を用意したいと考えています。また、日本人は世界の中でも味にこだわりがある民族とも伺っています。他のスムージーとの違いを飲んだらわかっていただけるという自信があります。」(ブレンダン氏)

――知ってもらうために、何かキャンペーンは実施されますか?

「やはり、色々な人達に飲んでもらうキャンペーンを行う予定です。『一目ぼれ』、もとい『ひとのみぼれ』をしてもらいたいです。スウェーデンは、frooshを知ってもらうために10万本のサンプリングキャンペーンを行ったので、日本でも同じ本数を提供したいと考えています。」(ブレンダン氏)

――最後に、frooshをこれから飲みたいと考えている人にコメントを頂けますか?

「frooshは、こだわりぬかれた唯一無二のスムージーです。今まで、果物を取りたいと考えていた人や、低品質の廉価品で代用していた人にこそ選んでもらいたい一品です。社会的な活動を実施している事を含め、frooshの事に興味を持って一度手に取って頂けたら違いがわかると思います。」(ブレンダン氏)

――ありがとうございました。

2017年5月26日

BRAND TIMES
企業のストーリーをカタチに