「患者様が輝いていく姿がやりがい」 Dr.佐本が「マウスピース矯正」にかける想い
人はどれくらい見た目で判断されているのか?第一印象は0.1秒で決まると言われています。中でも口元は会話をする上で視線が注がれやすく、特に笑った際に視線が集中することも明らかになっています。※1
しかし、この口元が要因となって自分では望んでいない印象を相手に持たれてしまうことも。特に歯並びに悩みを抱えている方の中には、口を大きく開けて笑うことを躊躇されることもあるようです。
そこで、今回はそんな印象に影響を与える歯並びの悩みについて、幅広い歯列矯正の症例を手掛けられてきた、歯学博士・日本矯正歯科学会矯正認定医である青山アール矯正歯科の佐本 博院長にお話を伺いました。
青山アール矯正歯科 佐本 博院長
マウスピース矯正という新たな選択肢
――歯並びが悪いとどのような影響があるのでしょうか?
佐本先生「見た目の印象に影響を与えることはもちろん、健康的な側面でも歯ブラシが届きにくく磨き残しが多くなります。結果的に虫歯や歯周病を引き起こしやすくなり、将来的に歯を失ってしまうことにもつながりかねません。」
――それで歯並びを整えるわけですね。
「そうですね。歯並びは舌と頬の内側で支えられているだけの不安定な存在です。様々な要因によって歯は動くことがあるので、意図的な力を加えて歯を正しい位置に配置することが必要となります。」
――歯並びの治療方法にはどういったものがあるのでしょうか?
「一般的に知られているのは、歯にワイヤーを固定して歯を移動するマルチブラケット矯正装置があります。」
――ワイヤーには個人的に抵抗があるのですが…
「そうですね、そういったお悩みを持って歯列矯正に踏み出せなかったという方がたくさんいらっしゃいます。目立たちにくい歯列矯正の方法のひとつに、着脱可能なマウスピースを使用した治療法があります。」
――マルチブラケット矯正との違いを教えてください。また、治療の流れはどうなるのでしょうか?
「まず、治療期間ついては大きな差はないように感じます。そもそもマウスピースは見た目のストレスがないので、ブラケット矯正と比べて治療期間を意識することが軽減されるように思います。また、マウスピース矯正装置は器具が口の内側に擦れたりしない分、痛みが少ないかもしれません。そして何より“取り外しができる”ことが最大の相違点で、マウスピース矯正の場合は患者様が自由に装置を取り外すことができる為、精神的な負担が軽減されているように感じます。但し決められた時間装着しないと、治療が遅れてしまう場合があるので、患者様ご自身に主体的に治療に臨んでいただく必要があります。治療フローに関しては、カウンセリングや精密検査を経て治療計画を作成します。治療開始から完了までの歯の状態を3Dで描き、経過ごとに少しずつ歯が移動していく様子を患者様と一緒にモニターで確認しながらご説明します。治療計画にご納得頂けたら、患者様に合ったマウスピースを完全オーダーメイドで作成し治療を開始します。」
――治療の過程や完了時のイメージが事前に確認できるのですか
「はい。米国式のアライナー治療法のシステムで、治療開始から完了時のイメージをご確認いただけます。この治療計画を元に、1~2週間おきにつけ替えるマウスピースを作成します。このシステムによって世界中で400万以上の治療が行われている為、世界各国の治療例がビッグデータとして集められており、それがまた新たな治療計画に役立てられます。」
――「歯列矯正」と言うと歯を抜いて動かすというイメージがあるのですが…
佐本先生「もちろん歯並びの状態にはよりますが、必ずしも抜歯が必要になるわけではありません。親知らずを除いた上下28本の歯が揃っている状態が本来のあるべき姿なので、抜歯をして数を変えることなく、自然のまま綺麗な状態に戻したいという気持ちがあります。マウスピースであれば歯に面で力をかけることができるので、中々難しいとされていた歯を奥に移動させたり、歯列の幅を拡げるといった力のかけかたができるようになりました。これによって歯が動く為のスペースができ、抜歯を伴わない治療の一助となっています。」
子どもの頃から志した矯正医への道
――先生ご自身のことを伺いたいと思うのですが、矯正医を志すきっかけなどはあったのでしょうか?
「祖父や、父も歯科医だったのでその影響は大きいと思います。ですが、歯科医をやるなら歯列矯正に関わりたいなと思ったのは小学生時代に矯正相談に行ったことがきっかけです。私自身、子どもの頃は歯並びが良くなく、歯列矯正を薦められ父の知り合いの専門医のもとに伺いました。その際、治療例として見せていただいた患者さんの変化に衝撃を受けました。
その歯列矯正の経過を見ると、治療が進むごとに歯並びだけでなく、顔つきまで変わって何だか治療を受けた方が 嬉しそうにしている。当時のその衝撃がきっかけとなり、大学入学時や進路を決めるうえで歯列矯正の道を選びました。」
着脱可能なマウスピース
――以前はマルチブラケット矯正も手掛けられており、今はマウスピース専門の歯列矯正を手掛けられているということでしたが何かきっかけがあったのでしょうか?
「2005年頃にマウスピースによる治療法が日本に入ってきました。その存在を知ってすぐにこれが未来のスタンダードになる可能性を感じました。長年研究を続けている矯正学の観点からも興味がありました。マルチブラケットでの治療法というのは、沢山の症例や研究結果がある程度成熟されており、その分安定性はあります。ですが、マウスピースでの治療については、今まででは出来なかった新たな治療が可能になるのではないかと思い、取り入れる事を決めました。」
――マウスピース矯正の手腕が認められ国際的な賞をとられているようですが、どのようなものなのですか?
「マウスピース矯正装置を開発している米国のアライン社が主催する賞で世界28か国からノミネートされたケースの中から最も優れた治療を行われたケースが選ばれます。日頃の治療の成果が評価され、その最優秀賞に選出していただきました。」
――何故、先生はそこまで歯列矯正に情熱をお持ちなんですか?
「長年取り組んでいる中で、一番面白いと思うのはやはり、歯並びが綺麗になることでその人が治療前とは別人のように輝いてくるという点です。やはり矯正医を続けていると、その素敵な変化を患者さんと共に目の当たりにすることができます。そういった方々は、何故か同時に自分の人生を切り開く力のようなものを手に入れられるように感じます。また、歯列矯正というものは歯科治療の根本的な土台だと考えています。虫歯や歯周病など、何か治療をしようと思ってもその土台である歯並びが悪いと次々とトラブルが出てきてしまうので、まずは歯並びを治療し口の中を正常な状態に保ち続けることが第一歩だと考えます。」
――患者さんが治療を受けることによる変化にはどの様なものがありましたか?
「特殊な例かもしれませんが、テレビで活躍されるようになったり、希望の職業に就いたり、世界的なスポーツ大会に出場して上位に輝いたりと、歯並びの問題を克服することで、ポジティブな結果を出されるといったお話を伺う機会が多くあります。そうした変化に立ち会えるからこそ、私も情熱を持ち続けながら、挑戦し続けることができるのだと思います。」
マウスピース矯正治療とは?
――では、実際に1日どれくらいの時間装着する必要があるのでしょうか?
「目安として1日20時間は装着して欲しいとお伝えしています。この話を聞くと『仕事があってそんなにできない!』と思われる方もいるかもしれませんが、マウスピースは透過性のある医療用のプラスティックでできており目立ちにくく、普段の生活に極力支障が出ないようにつくられています。」
――仕事中にも使えそうですね
「はい。実際に皆さん職場で普通に使用されています。食事の際に外す事も出来る為、清掃性が高くにおいや食べかすのひっかかりを気にすることなく清潔な状態で治療に挑むことができます。また、つけていても家族や友人には気づかれるかもしれませんが、さほど頻繁に会わないような人には気が付かれないかもしれません。」
――歯列矯正に適した年齢などあるのでしょうか?
「成長期であると比較的歯が動きやすいというのはありますが、特に年齢制限はないです。歯列矯正というのは体にメスを入れるような治療ではないので体力という面でも問題はありませんし、高齢の方が矯正治療をしたいと思ったタイミングで始められても問題ありません。」
――最後に、歯列矯正をしようか悩んでいる方に一言お願いいたします。 「皆様が想像していた歯列矯正からはだいぶ進化して、ストレスや負担を極力減らして矯正することができるようになってきています。見た目の面でも、社会人になってから人目を気にせず治療できます。400万件を越える世界中の治療実績から得た膨大なデータを元に、歯並びの治療ができるチャンスが今だと思います。まずは、悩まないで、新しい自分に出会うチャンスだと思って第一歩を踏み出してみてください。」
――ありがとうございました。
出典 ※1 トビー・テクノロジー株式会社によるアイトラッキング調査(2015年)
歯並びスマイル