セブン-イレブン(関西2府4県)が加盟、関西の3人に1人が持つ「Sポイント」の今後の成長戦略を聞く

阪急阪神ポイント

2016年4月、関西に新たなポイントサービスが誕生した。名称は「Sポイント」。日々の移動に欠かせない電車やバス、百貨店やスーパーでのショッピング、阪神甲子園球場での野球観戦など、生活のあらゆるシーンで「ためる」「つかえる」ことができるお得なサービスだ。

各社のポイントサービスが乱立する昨今。にもかかわらずSポイントは、スタートから2年で関西在住者の3人に1人以上が持つポイントにまで上り詰めた。その背景にはどんな戦略があったのか、株式会社阪急阪神ポイント代表取締役の生井昌樹・敷島孝司両氏に話を伺った。

阪急阪神グループならではの、関西に根ざしたポイントサービス

——まずはSポイント誕生の経緯を教えていただけますか。


生井氏「阪急阪神グループでは、約20種類のポイントカード・クレジットカードを約750万会員の皆さまに発行しています。従来のポイントサービスはカードごとにバラバラだったのですが、それらを2016年4月にSポイントに統合し、全グループの共通ポイントサービスとして再スタートさせました」


敷島氏「ポイントはお客さまが『ためて』『つかう』もの。利便性が何より重要です。閉鎖されたサービスより広範囲で利用できるサービスのほうがユーザーメリットは格段に増えますので、関西に住む会員の方の生活がより便利で楽しくなるよう、ポイント共通化に踏み切りました」
——ゼロからのサービス開始と比べると大きなアドバンテージはありますが、共通ポイントサービスとしては後発。リリースに際して不安に感じていたことはありますか?


生井氏「すでに会員基盤ができていましたのでサービス導入への心配はありませんでしたが、Sポイントという名称を認知してもらえるかという不安はありました。『阪急阪神』や『関西』といったわかりやすい単語を入れるという案も出ましたが、インパクトや浸透性を考えると1文字が理想。今後関西一円に広めていくために阪急阪神グループ外への導入が必須であることは、初期段階から念頭に置いていましたので、そういった意味でも新しい名称にすべきという結論に至りました。


SポイントのSには、関西のさまざまなScene(場面)で利用できるSpecial(特別)なポイントという意味があり、『Station』『Shopping』『Stadium』『Sightseeing』などの頭文字でもあります。使い方はひとつではなく、お客さまごとにSの意味が違ってもいい。そんな思いが込められています。現在は松岡修造さんをCMに起用し、プロモーションも強化しています」
株式会社阪急阪神ポイント代表取締役社長 生井昌樹氏
株式会社阪急阪神ポイント代表取締役社長 生井昌樹氏
——現在では、関西の3人に1人以上の方がSポイントを利用されているそうですが、2年でここまで会員数・流通量が増えた理由は?


敷島氏「阪急阪神グループは、交通からショッピング、エンターテイメントまでさまざまな業態を展開しています。サービスコンテンツ自体には絶対的な自信がありますし、Sポイントをためてつかえる規模感は関西最大級。Sポイントを始める際、各業態には単に仕組みに乗ってもらうのではなく、より良いサービスのあり方を一緒に詰めていきました。お客さまお一人おひとりにさまざまな使い方を楽しんでいただける選択肢の多さが、Sポイントの魅力だと考えています」


生井氏「現在、梅田にある商業施設の約7割でSポイントを利用できます。『梅田に行くならSポイント』というイメージがだいぶ浸透してきました。また、『出張ではいつも阪急阪神グループのホテルを利用し、Sポイントをためている』といった方も多くいらっしゃいます。関西在住の方々の間で、Sポイントをためる・つかう習慣が根づいてきている実感はありますね」


敷島氏「社員やまわりの人たちに聞いてみても、Sポイントホルダーが増えていることを実感します。世代の幅も以前より広がりました。また、ポイントの利用率も年々高まっています。一般的なクレジットカードやショッピングカードの利用率と比べると遥かに高い数字です。これは、お金を無駄にしない地域性もあるかもしれませんが、ポイントの使い道が多岐にわたるというSポイントならではの強みが活かされているからこそ。『使いこなしている』方が多いともいえます」
株式会社阪急阪神ポイント代表取締役 敷島孝司氏
株式会社阪急阪神ポイント代表取締役 敷島孝司氏

セブン-イレブンへの導入をはじめとする、今後の成長戦略

——2018年5月には、関西2府4県のセブン-イレブン約2,700店舗でもSポイントサービスが導入されました。グループ外との連携は当初から視野に入れていたとのことですが、グループ内での反発はありませんでしたか?


生井氏「統合前のポイントシステムは、主にグループ内販促という位置づけでした。テナントはポイント付与分を負担する代わりに、自分の店舗の販促としてポイントシステムを活用できる。そのため、負担したポイントがグループ外へ出ていってしまうと損をするのでは?という声はいくつか上がっていました。ただ、Sポイントがグループ内外の関西一円で使えるようになることで、Sポイント自体の価値は高まります。『価値あるポイントサービスがつかえるお店』になることのほうが広い視野で見たときにはメリットですから、その意義を理解してもらうようにしていました」


敷島氏「やったことのないことに抵抗を感じる人は一定数います。しかし、共通ポイントがこれだけ世の中に浸透している今、グループの枠を超えたサービスでなければなかなか受け入れられません。実際にセブン-イレブンに導入し、グループ内におけるSポイントのコンセプトへの理解は高まってきていると思います」
——今後はどのような企業にSポイントサービスの導入を行っていきたいですか?


生井氏「消費者として利用しうる業態は網羅していきたい。ドラッグストアやガソリンスタンドなど、グループに足りない業態はまだまだあります。そうすることで、お客さまの生活を全面的に支えるサービスに進化させていきたいと思います」


——Sポイントが目指す「最高のサービス」とは?


敷島氏「ポイントサービスはあくまでも、消費者と事業者をつなぐ媒介的な存在。さまざまなシーンでいかにつかってもらうかを模索し続け、関西での生活の中で欠かせないプラットフォームになれたらと思います。ポイントサービスは今後どんどんバーチャルマネー化していくでしょう。物販にとどまらず投資や各種サービスなど、利用シーンはさらに拡大していくはずです。Sポイントのあり方も、時代の流れに柔軟に対応させていきたいと考えています」

Sポイントを持っていると、どんないいことがある?

——Sポイントをためる・つかうことで、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?


生井氏「Sポイントは、毎日の通勤・通学、ショッピング、レジャーなど、関西圏で暮らしているだけで気軽にためることができます。最近では阪急や阪神の駅ナカ・駅チカの店舗にも導入され、ますます身近なサービスになっています。たまったポイントは1ポイント=1円としてすぐにつかえますし、つかわずにためてプレミアムな景品と交換することも可能。阪神タイガースの観戦チケット、阪神甲子園球場のボックスシート席『Sポイントボックス』、ホテル阪急インターナショナルのスイートルーム宿泊など、関西ならではの魅力的でお得な景品交換もできるようにしています。


阪急阪神グループが発行するカードは、もともとは百貨店やホテルなどの会員制カードからスタートしたという成り立ちがあるため、その施設を使うためだけにカードをお持ちのお客さまも多くいらっしゃいます。Sポイント誕生により、その施設はもちろん、他施設でも広くカードを使えるようになりましたので、これまで利用していなかった施設を利用してみるといった動機づけにもなればと思っています」
——最後に、Sポイントがユーザーの生活に提供できる「付加価値」とはどんなものか、教えてください。


敷島氏「Sポイントの特長は、日常生活はもちろん非日常までも網羅している点。『せっかくポイントがあるから百貨店で買い物をしてみよう』『ちょっとぜいたくな旅行をしてみよう』といったように、お客さまに新しい出会いや体験を提供し、人生を彩るお手伝いができるサービスだと思っています。ポイントをためる・つかう以上の価値を、お一人おひとりが見つけて体感してくださることが、Sポイントサービスの理想の形です」
生井氏「阪急阪神グループは、京阪神地区を地盤に100年以上事業を続けてきました。阪急阪神沿線は関西の『住みたい街』のランキングで上位を占めているエリアで、そのような理想の街をつくってきたという自負が私たちにはあります。今回のSポイントサービスは、グループ内の鉄道系グループと百貨店系グループがタッグを組み、互いの強みを活かしながら進めている一大プロジェクト。京阪神地区はもちろん関西全域において、地域の方々の暮らしをより豊かにしていく。私たちが目指すその理想の入り口に、Sポイントはあるのです」

2018年7月3日

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