自立型人事が会社を強くする。Geppoが目指す個と組織が共に輝く未来

ヒューマンキャピタルテクノロジー

「優秀な人を採用するために企業は時間も予算もかけています。にもかかわらず、採用後のケアが不十分で、問題が発生してから、「何故、早く言ってくれなかったのか・・・」と後悔することが多い。我々はそういった人事労務課題に直面する企業に一石を投じたい」。そう話すのは、株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー 代表取締役 満田修治氏。株式会社リクルートホールディングスと株式会社サイバーエージェントの合弁会社として2017年7月に設立された同社は、従業員コンディション変化発見ツール「Geppo(ゲッポウ)」を提供する、HRTech(※1)の注目企業だ。

Geppoは、月に1度、たった三つの質問に従業員が答えるだけで、一人ひとりのコンディションを見える化できるサービスである。従業員の不調を兆しの段階で察知できるため、人事担当者は問題を水際で防ぐことができる。

働き方の多様化が進み、環境変化が激しい昨今、個人のパフォーマンスは組織の成長に直結している。その傾向は、今後ますます顕著になるだろう。次代の到来を前に、ヒューマンキャピタルテクノロジーが担う役割とは、Geppoを介し同社が実現したい未来とは。満田氏に話を伺った。

※1 HR(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語
株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー 代表取締役 満田修治氏
株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー 代表取締役 満田修治氏

従業員の定着を望みながらも、関わり方が不十分。そんな企業にご利用頂きたい

Geppo(ゲッポウ)は、マネジメントの課題を解決できる非常に良いツールと、満田氏は自信を見せる。社員のヘルプを見逃さずに済み、マネジメントで悩む企業や管理職の一助にもなると話す背景には、満田氏が過去に味わった苦いマネジメント経験があった。

「これまで経営に携わってきた会社は、いずれも中堅規模。従業員50人程度のときは、全員の顔と名前が一致し、コミュニケーションも密に取れるのですが、70人、100人と増えるにつれ、それがままならなくなっていきました。そうなると従業員のなかにもメンタルヘルスに不調をきたす者が現れるようになった。そのたびに不調に気づけなかった自分を責めたりもしました。従業員の健康管理を含め、現場はマネジャー層に任せていましたが、スキルも業務量も人それぞれ。現場とのコミュニケーションにもおのずと差が出て、必ずしも良い解決に結びつかない。そういった経験を重ねてきましたので、Geppoは画期的なサービスとして私の目に映りました。Geppoがあれば、当時の何人かの従業員を救えていたのではと、つい考えてしまいます」
ときに露見する、マネジメントの課題。人に依拠せざるを得ないことも一つの要因だが、従来の診断ツールにも課題があり、また採用だけではなく、定着支援までを一気通貫して行うことが人事としてより重要になってくると満田氏は話す。

「今月辞職願いを提出する人を把握していますか?」、「今月体調不良で休職に入る人を把握していますか?」、「明日にも労働条件のことで労基署に行ってしまう従業員を把握していますか?」こんな質問を経営者に投げかけた際に、以前の私も含め、把握できていると答えることができる経営者は少ないと思います。組織規模が大きくなればなおのことです。従来の組織サーベイでも従業員満足度や組織の課題は調査できますが、従業員のコンディションを測るには不十分です。それに、年に1度の実施では問題の発見は難しい。症状も組織単位でしか現れないので、個人の問題に気づいたときには、既に打つ手なしということが起こりうるのです。ハラスメントなどの悩ましい問題が起きて初めて対応するという企業は、いまも多いのでないでしょうか。どの企業も採用には力を入れていますが、定着支援に採用と同等の力を入れている企業はまれです。せっかく優秀な人が採用できたのに、問題が起きては去っていく。この現状を企業はどう捉えているのでしょう」

フォーカスするのは、あくまでも個人

何度と繰り返される、この不毛なサイクル。そこから脱却して強い組織をつくるために、ヒューマンキャピタルテクノロジーが開発したのが、サイバーエージェントで運用されてきたツールにリクルートのノウハウを詰め込んだGeppoである。
Geppo管理画面では、回答内容のサマリーを確認できる
Geppo管理画面では、回答内容のサマリーを確認できる
「企業と従業員が常にバランスの取れた関係でいるためには、企業が従業員の抱える問題に早い段階で気づき、対処することが必要です。このGeppoには、それらを担保できる機能が備わっている。組織サーベイが人間ドックなら、Geppoは毎日の検温なのです」

Geppoを活用すれば、自身のコンディションを正しく伝えること、職場課題や自身がパフォーマンスを上げるうえでの阻害要因などを経営や人事に伝えていくことが可能となる。従業員からすれば経営や人事は遠く感じ、相談や面談などを自ら切り出すのはなかなか難しい。しかしGeppoがあれば、月1回のレポートで素直に伝えることもできる。人事は経営とのあいだに立つ役割となり、課題発生すれば、人事部主導で自立的に解決していく。人事で解決できないことは経営者を巻き込み解決していく。
従業員が回答するアンケート画面。コンディションをクリックするだけよい。
従業員が回答するアンケート画面。コンディションをクリックするだけよい。
加えて、Geppoは、急速に広がりつつある多様な働き方を見据えたサービスでもあると、満田氏は胸を張る。

「これからの時代、事業は変わらなくとも、そこに属する構成員は常に流動しているのが普通の状態になっていくでしょう。そういった環境に従来の組織診断を当てはめても測定は難しい。変わっていくことが当たり前になるのであれば、測定する粒度は小さい方が良い。小さければ、打つ手も早く返せる――というのが当社の思想であり、Geppo​のコンセプトでもあるのです」

これからの企業に必要なこととは

では、個人がより高いレベルで仕事に向かうために企業が取るべきアクションとは何だろう。

「それは、企業と従業員の信頼関係の強化です。一昔前までは「従業員満足度」として語られていましたが、多様な働き方が浸透してきた昨今、従業員満足度を上げていくだけでは十分ではありません。満足度は、給与や福利厚生がもたらすものと考えられおり、大企業にはこれらを担保できる土壌があるぶん相対的に離職者が少ない。そのため、これまでのビジネスモデルのままでも会社は存続が可能かもしれない。しかし、世界的な視点で見ると、これからの企業に必要なのは、やりがいの提供や、ビジョン実現を阻む組織的な障害の排除、会社の未来に対する希望など、企業と従業員の間にある新しい信頼関係の構築だと考えています。これらを満たすべく企業が従業員にベクトルを向けることは、今後ますます必要になるでしょう。この時流とGeppoは、まさに合致している。これから更に、社員を大切にする会社、社員に投資する会社こそが生き残っていくと当社は考えています」
Geppoを導入すれば、自社でも自立した個が育ち、その集合体が強い組織をつくっていくのではないか。そう考える企業は、一定数存在するはずだ。しかし、その一方で、そんなに上手くいくのかという半ば諦めの声も聞こえてきそうだが……

「導入企業の従業員回答率はローンチ以来、90%を超えています。経営が適切であれば、経営者は届いた従業員の声を反映させようと考えるものです。それによってパフォーマンスを向上する阻害要因が取り除かれれば、個は更にパフォーマンスを高めることができる。それは企業の競争力になり、ゆくゆくはその会社にとって普遍的に大事なことにもなる。さらにその先は、日本の活力につながっているはずです。Geppoを使えば、個と組織が共に輝く明るい未来が描けることを、我々は発信していきたいと思っています」

注目を集めつつあるHRTech。目標は、人事部の格を上げること

そう力強く話す満田氏に、ヒューマンキャピタルテクノロジーが目指す未来について尋ねたところ、業界のポテンシャルを感じられる、ワクワクしたメッセージが返ってきた。

「HRTechは現在、FinTech(※2)のようにホットなマーケットになりつつあり、優秀な人材の流入も始まっています。この流れが顕著になれば、日本の人材マーケットは、より良くなっていくことでしょう。その旗手役を当社が担っていきたい。ですので、今後もポジティブなニュースをどんどん発信していきたいですね。そして、この取り組みを人事の格を上げることにつなげていきたいと思っています。たとえば採用や広報は、花形職種に見られていると思うのですが、裏方的な労務の仕事にはなかなかスポットが当たらない。でも、労務に注目の集まる企業は、間違いなく強い会社なのです。いまは「人事が強い」=「採用が強い」という意味に捉えられていますが、今後は人事が誰よりも従業員のことを分かっているということが生み出す「従業員の定着率の高さ」という視点も含まれると良いな、と。その裏側を支えるツールとしてGeppoを役立ててもらえるのなら、本望ですね。Geppoが、学生や求職者が企業を測る指標の一つになれるよう、存在感をますます強めていきたいと思っています」
Geppoは、働き方がドラスティックに変化を始めた現代に、生まれるべくして生まれたサービスだ。そう、日本の人事は変わりつつある。しかし、そこに人が介在することは、これからもきっと変わらないだろう。変わるものと変わらないものが混在するなか、これからの人事はどうあるべきなのか。その答えは、マーケティングとテクノロジーの融合ではないか、というのはインタビューを通して感じたことだ。社員一人ひとりを知ること、その情報を補完するツールを持つことで人事の真価が発揮できるのなら、日本の未来はきっと明るい。 Geppoには企業を新しいステージにいざなう伝道師役を、ぜひ期待したい。

※2 Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。ファイナンス・テクノロジーの略。

従業員コンディション変化発見ツール「Geppo(ゲッポウ)」
詳細はこちら⇒Geppo(ゲッポウ)

2018年3月23日

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