工場勤務からスタートした26歳経営者が仕掛けた!人生の選択肢を広げるビジネススクールとは?
高校卒業と同時に地元岩手県を離れ、川崎市内の工場に就職した当時は、社会にも自分にも夢や期待の持てない無気力な少年だった。それが7年後のいまは、若者の挑戦を応援するビジネススクールの運営、飲食店やオーダーメイドスーツ店の経営など多角的な事業を展開する若き経営者である。
株式会社Historia 代表取締役社長 高橋平吉。夢をつかみ、名実とも確かなポジションを得た彼の次の夢は、若者が未来に希望を持てる世の中を創り出すこと。その挑戦のさなかにある高橋氏の人物像やビジョンに迫った。
ゲームで遊ぶことよりも学ぶことに目覚めた瞬間。19歳、夢への奮起
人とは、ある出来事を境にガラリと変われるものだ。工場で働いていた19歳の高橋少年にとってのそれは、5歳年上の経営者との出会いだった。
「地方から出てきたばかりの僕は当時、人との交流を求めていろいろなイベントに顔を出していました。その日、招待されていたのはホームパーティー。会場である豪華なタワーマンションの一室に足を踏み入れた途端、『タワーマンションに住みたい』という気持ちが湧いてきました。そして、このマンションの持ち主こそが、パーティーの主催者でもある先輩経営者でした。この方は人としての魅力にもあふれており、周囲の誰からも慕われ頼りにされており、まさに自分の理想とする姿でした。この方との出会いは、それまでなんとなく生きていた僕を一気に変えてくれたのです」
『あの人みたいになりたい』
この強烈なあこがれが、翌日からの高橋氏を大きく変えることになった。
「ゲームをする時間があるのなら勉強しよう、寝る時間を少し削って人に会いに行こう、というように、必要と思うこと以外やらなくなりました。むしろ必要と思えることは、感情に相反しても自分に課す。この習慣はいまも根づいています」
諦められない夢が、どん底からの再起を支えてくれた
無味乾燥な日々と決別し、人生を本気で変えようと歩み始めた高橋氏は、その後、工場勤めを辞め、20歳でビジネスの世界へ。とはいえ、とんとん拍子に進まない現実を幾度も突きつけられる。
「失敗はたくさんしました。預託取引で騙され、20歳にして500万円の借金を背負い、当時は途方に暮れましたが、それでも19歳のときに描いたタワーマンションに住むという夢は絶対に諦めたくなかった。自分に夢を与えてくれた場所であることはもちろん、この夢をつかむことで、夢を与えられた側から与える側になりたいと思っていたからです。この気持ちが揺るがなかったことが、どん底に落ちてもまた上を目指せる原動力になりました。『諦めないことが成功のコツ』とよく言われますが、僕は『諦められない夢を持つことが成功のコツ』だと思っています」
なお、20歳での失敗を機に、高橋氏はビジネスの基礎を学ぶべく、ビジネススクールの門をくぐる。これが、いまにつながる道筋をつくることになった。
「ここで学んだ営業スキルを武器に、ITスクールの営業を始めたところ、2ヶ月目にはトップセールスマンになれました。すると、社内外から『営業の仕方を教えてほしい』と、声がかかり始めたのです。このころには念願のタワーマンションに住めるようにもなり、『自ら幸せをつかんだ』と実感するようになりました。この幸福感はやがて、『夢を持てば、夢をつかむための努力ができるようになることを人に伝えていきたい』という想いへと変わりました。そこで、自分の想いを実現する場をつくろうと決意したことが、起業のきっかけになりました。22歳のときです」
結果と実践を旨とする、日本一挑戦を応援するビジネススクール
こうして生まれたのが、日本一挑戦を応援する社会人向けビジネススクール「Entre Place Academy(以下、EPA)」である。現在、東京、大阪を中心に展開。20代半ばの若年層を中心とする全国1,000人以上の受講生に向け、経営者・起業家である講師陣が教鞭をとる。他のビジネススクールにはないEPAの強みを、高橋氏は「結果」と「実践」の二語で表す。
「私たちは、知識よりも知恵を、講座よりも行動を大事にしながら、目標をどのように達成していくのか、その手法や考え方を現実的に伝える教育を行っています。自らの変化を明らかに感じられることをゴールに設定しているため、受講生には「勉強会に参加して、知識をただ蓄えるだけでは意味がない」と常に話しています。
この勉強会では毎回、受講生が2週間後の目標を設定しますが、達成できなかった場合には、どうすれば改善できるのかを行動ベースで考えるように促しています。こうした早いサイクルで行動変容や価値観の転換を促すことが、平均1~1.5年で起業独立する受講生の輩出につながっています」
ここまでの話から、すでにビジネスで結果を出している人や起業家、起業を目指している人など、明確なビジョンを持っていなければ、カリキュラムについていけないのではないかと感じる人もいるだろう。しかし、EPAには入校時点では、ビジネス初心者をはじめ、将来が漠然としている人、将来不安から受講を決める人なども約6割いるそうだ。
「実際、『最初は不安があったものの、学ぶにつれ自信がついてきた』という受講生の声は多いですね。また、『自分の仕事とポジティブに向き合えるようになった』『稼げるようになった』という声も聞こえています。大きな目標はまだ掲げられなくとも、まずは自ら行動を生み出すための原点をつかむ場としても活用していただきたいです。
僕自身がビジネスでたくさん失敗をしてきたので、EPAでは当時の僕が『こういうビジネススクールがあったらいいな』と思っていたことをすべて実現したいと思っています」
このほか、EPAの特徴は下記の通りである。
■受講者の都合に合わせて効率的に学べる体系的かつ多彩なカリキュラム
勉強会への参加のほか、勉強会の様子を録画した動画コンテンツや勉強会の内容を網羅した資料を併用しながら、自分のペースで学ぶことができる。Zoomを利用したリモート授業も実施しており、地方在住者や時間の都合がつけられない人、コロナ禍で外出を控えたいという人が学べる環境を整えている。
■誰も置き去りにしない、多様なサポート体制
勉強会実施中や終了後のリアルなコミュニケーションはもとより、公式LINEや電話を使った1対1によるきめ細やかなサポート体制を構築。
■女性限定コミュニティによる、密度と確度の高い学びの提供
講師陣に女性経営者を揃え、女性限定の講座も定期開催。ビジネスのリアルを届けている。現在の男女比率は、ほぼ5:5までに。
そして、母体である株式会社Historiaが経営する飲食店やアパレルサービスなどの事業に受講生が参画でき、ビジネスの経験を積めるスキームを構築している点も、EPAの大きな特徴といってよいだろう。
「昨年、西新宿にオープンした飲食店『ピザ&クラフトビール 夢の橋』は、店長以下スタッフをEPAで募りました。オーナーは僕ですが、店長にはお金や人の管理を任せています。いまの店長は23歳。最年長は27歳の副店長です。年齢が若くても店舗経営ができることを証明したいと思い、ここは20代だけで運営しています。
今年はエステサロンのオープンも控えています。女性受講生を中心に美容系ビジネスに関心を示す人が多く、その受け皿としても機能させたいと考えています」
また、高橋氏はEPAの女性受講生の活躍事例も紹介してくれた。
「受講当時の彼女は、整体院チェーン勤務でお店の集客広告の企画や制作を任されていました。EPAで培ったWebライティングのスキルを実務で試したところ、お店の集客率が上がり、売上も全国の支店を押さえ上位に連なるようになったそうです。その後、彼女は独立。EPAで学んだ営業スキルも強みにしながら、現在はWeb集客に関するコンサルタント業を営んでいます」
このほかにも、不動産業や金融業で独立する受講生は多く、最近は講師やコンサルタントを目指す人も増えているという。
EPAで人生の選択肢を広げる学びをつかんでほしい
開校以来、多くの起業独立者を輩出、見通しの立たないコロナ禍のいまは受講生数も増加傾向にあるという実績と現状を踏まえ、高橋氏は今後に向け、大きく二つの展望を掲げている。
「一つは、コンテンツの改良改善です。コロナ禍において動画コンテンツ視聴者も増えているので、リモート視聴でもより分かりやすく、そして実践に繋がっていくなど、コンテンツの質を高めていきたいと考えています。もう一つは、受講生に対する出資です。事業の実現を伴走しながら支えつつ、その夢を現実的に応援したい。リアル『マネーの虎』のようなことにも取り組んでいきたいですね」
学びと支援の拡充にさらなる意欲を見せる高橋氏だが、EPAから巣立ち活躍する人を次々と生み出すその先の社会はどうあってほしいと考えているのだろうか。この問いに対し、高橋氏は「誰もが自分の選んだ道を最善とし、前向きに人生を歩む社会」とよどみなく答える。
「実はEPAで学んだ全員に起業家を目指してほしいと思ってはいません。ただ、目の前にあるたった一つの進路を仕方なく選ぶのではなく、10個20個ある選択肢のなかから自分にとっての最善を選べる人がたくさんいる世の中であってほしい。もう一つ挙げるならば、言い訳をしない世の中を実現していきたいです。年齢や性別や学歴、自分の性格を言い訳にして挑戦もせず諦めている人、夢を持とうとしない人はたくさんいます。7年前の自分もまさにそうでした。でも、そこから僕は変わることができた。そんな自分だからこそ、伝えられることがあると思っています。一人でも多くの人にEPAの学びに触れ、人生の選択肢は無限にあることに気づいてもらいたいですし、夢や目標をつかみ切る経験をしてほしいと願っています」
ここまで思いの丈を熱く語ってくれた高橋氏。「何を得たのかではなく、何を残したのかが大切」と志を立てる高橋氏がずばり残したいものとは――
「やはり教育です。人生の最後にしたいことを挙げるとすれば、僕は講演会なんですよね。なぜなら自分の想いや考え方を伝え残していきたいからです。僕の言葉によって一人でも多くの人が夢に向かって邁進するようになるのなら、こんなに嬉しいことはありません。そして、僕の経験や生き様を再現できる仕組みや教育を残したい。これが僕の理想です」
自身も20代でありながら、常に新しい世代の挑戦を応援し続ける高橋氏。そんな高橋氏の初著書が近日出版予定だ。高橋氏の生き様がジリジリと伝わる熱量に溢れた一冊に仕上がっている。
「常識にとらわれている人が多い世の中だからこそ、常識を超える人であり続けたい」。インタビュー中、何度も繰り返したこの言葉とともに攻めの人生を謳歌する高橋氏の姿は、次代を紡ぐ若手リーダーとして、夢半ばの若者の道標として、多くの人の目に映っていることだろう。
PROFILE
株式会社Historia 代表取締役社長 高橋平吉
岩手出身。高校卒業後、神奈川の工場に勤務。
その頃は夢もやりたい事もなく常に無難な人生を歩んできた。19歳の時に出会った起業家に感化され、起業やビジネスに興味を持つ。諦めず夢を追いかけ、約3年間の工場勤務を経て、21歳で独立を果たし、22歳で株式会社Historiaを設立することに成功。
25歳で西新宿の飲食店のオーナーとなり、現在は数々の経営や実業に取り組んでいる。
株式会社Historia