痴漢冤罪のピンチを弁護士が迅速に救出!冤罪経験者の体験談に見る保険加入の必要性とは?
2007年に公開された周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」の題材として、かつて世論に一石を投じた痴漢冤罪問題。その公開から10年を経た今年、痴漢を疑われた男性が線路上を逃走するというショッキングな事件が相次いでいることから、痴漢犯罪および痴漢冤罪への注目が再び高まっている。こうした中、そんな社会情勢を受けて前年比1.5倍近い契約者を獲得しているサービスが、ジャパン少額短期保険の提供する「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険」だ。今回は実際にこの保険を利用した経験者の声も交えつつ、同社の杉本尚士社長にサービス誕生のきっかけなどを伺った。
ジャパン少額短期保険の杉本尚士社長
前例のない「痴漢冤罪者を救う保険」を作ったきっかけとは?
杉本氏が社長を務めるジャパン少額短期保険は2007年の創業。社員数23名の保険業界では新興の企業で、賃貸物件居住者向けの家財保険が売上の約8割を占めている。そんな同社が2015年に「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険」という前例のない保険サービスをスタートさせたのは、同社も加盟する日本少額短期保険協会(以下、少短協会)が行った一般応募のコンテストがきっかけだった。
杉本氏「こういうリスクを助けるような保険がないかという考えは私も以前から持っていたんですが、そんな折に少短協会で一般の方から新しい保険のアイデアを募るコンテストがありまして、そこで痴漢冤罪の保険が佳作を受賞したんです。それを受けて、世の中にないこの保険を当社のようなベンチャー的な保険会社で作ってみたらどうだろうと考えたんです。」
「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険」のホームページ。ウェブから加入できる。
本商品は日々の生活で起こる事故に伴う弁護士費用や個人賠償責任に対する補償に加えて、「痴漢冤罪ヘルプコール」をはじめとした痴漢事件発生後48時間の弁護士相談料や接見費用を全額補償するという月額590円のインターネット保険だ。この「痴漢冤罪ヘルプコール」は、痴漢を疑われた際に弁護士が電話で無料対応、現場に伺うことが可能な距離なら駆けつけるというもの。仕組みはとても簡単で、契約者専用のウェブサイトにあるボタンをクリックするだけで全国各地の弁護士に一斉の緊急メールが送信され、対応可能な弁護士からメールの返信が届くという流れになっている。その後、メールを受けた契約者は事務所の所在地などを見ながら弁護士を選び、まずは電話で適切なサポートが受けられる。対応してくれる弁護士も痴漢事件に強い事務所を選んでいるという。
杉本氏「刑事事件は少々特殊なので、それに馴れた弁護士事務所に固定費をお支払いし、平日7~10時と17~24時の通勤ラッシュ時に当番制の対応をお願いしています。インターネットで全国から加入できる保険なので、全国対応できるようなネットワークを敷いています。」
「痴漢冤罪ヘルプコール」のメール送信画面。ガラケー所有者の利用も想定し、あえてアプリにはしていない。
何よりも「弁護士がサポートしてくれる」安心感
東京都在住の40代男性・大西さん(仮名・独身)は、実際にこの「痴漢冤罪ヘルプコール」に連絡して弁護士の助けを得て、事なきを得た経験を持つ。ある日の夕方、自宅へ帰ろうとして某鉄道を利用した際、痴漢を疑われて女性に訴えられたという大西さんが、当時の状況を克明に語ってくれた。
顔出し無しの条件で取材を受けてくれた大西さん(仮名)。
大西氏「まず、電車を降りようとした時に前にいた女性が僕を振り返って『触りましたよね?』って言ってきたんです。はじめはよく解らなくて僕は『えっ?』って言ったのを覚えています。僕はずっと両手を挙げていたので彼女の隣にいた男性にそれを確かめると『いや、僕は見てませんでした』って言われて…。すると彼女は『足で触ってきた』って言い直したんです。それから過呼吸になるくらい焦っていた彼女の身を案じつつ、電車も停まっていて周りの迷惑になりそうだったので僕の方から先に電車を降りました。」
予想外の出来事に驚いた大西さんだが、その時はまだ「話せばわかるだろうくらいに思っていた」という。だが、しかし…、
大西氏「それから駅員が来て『もう逃がさない』って雰囲気を感じた時に、これはヤバイなって思いました。するとだんだん駅員が増えてきて、これは危ない流れだなって思っていたところに警察官が来たんです。警察官はまず話を聞いておこうという態度でしたが、その時ふと、少し前に見たテレビ番組で、こういう時は『絶対にそのまま付いて行かずに、まずは現場にいて弁護士を呼ぶこと』と、ある有名弁護士が言っていたのを思い出したんです。」
大西さんがテレビで知ったように、確かに痴漢犯罪の場合、駅の事務所に連れて行かれると密室の中で簡単な取り調べが行われた末に警察署へ連れて行かれ、長ければ20日以上に渡って勾留されることもある。そこで彼が頼ったのは、数ヶ月前にウェブニュースで知って加入していたこの保険の「痴漢冤罪ヘルプコール」だった。
大西氏「クリックしたらすぐに弁護士の方と連絡が取れて、その弁護士さんからも『絶対ついて行ってはダメ。とにかくその場にいてください』と言われました。その後も電話を通話状態にしたまま、警察官にも私に代わって話をしてもらうなどしながら、30分くらいしたところで弁護士さんが駅に到着したんです。そこから私は改札の近くで待ち、弁護士さんが彼女にもいろいろと説明をしてくれて、最終的に『警察署には行かないけれど、近くの交番で話をする』ということになりました。」
その後、大西さんは弁護士に付き添われて交番に行き、微物検査と写真撮影に応じて事件発生から3時間ほどで解放されることになった。弁護士の迅速なサポートもあって現在までに被害届は出されていないが、女性に訴えられた直後はいろいろなことを考えて恐怖に震えたのは当然である。
大西氏「特に怖かったのが駅員さんの態度でした。やはりこういう時は女性の声の方が強いですから。はじめ駅員からは『とにかく事務所に来てください』って言われました。多勢に無勢じゃないですが、その時は私一人に対して駅員が2人、警察官が4人くらい来ていて、当然向こうは疑いの態度で来るわけですから…、今考えても恐ろしいです。正直な話、その時までこのヘルプコールの使い方もよく把握していなくて、すぐに連絡が来るとも思っていなかったんですが、クリックから1分くらいで連絡が来て、電話の向こうから弁護士の方が『いまどちらにいますか?僕もすぐに向かいますから』って言ってくれたことでとても安心ができました。」
同じ冤罪でも被害届提出前に無実を認めてもらうのと裁判で無実を勝ち取るのとでは大きく異なる。裁判ともなれば着手金から弁護費用に至るまで数百万単位の高額な弁護士費用が必要だ。大抵のケースの場合、示談を早く成立させて示談金を払った方が金銭面では安くつくというが、示談によって失う社会的信頼は金銭以上に凄まじいダメージであることは言うまでもない。ましてや裁判になって必ず無罪になるという補償もないのだ。大西さんの経験談からしても、事件発生後すぐに弁護士のサポートを受け、適切な対応をすることがいかに大切かが分かる。「刑事事件に馴れた弁護士の方々はスピードが命ということをよく解っていて、5分と15分の差がいかに大きいかをよく知っている。それなので我々からリクエストしなくても迅速な対応をしてくれる」と杉本氏は語る。
契約者の人生、家族や仕事を守るための保険でありたい
サービス提供を開始して約2年。頻発する痴漢関連の報道の影響もあってか、契約者数も順調に伸び続けている。実際にこの保険が冤罪対象者を救う一助になっていることを受けて、杉本氏はこれまで販売してきた保険とは違う使命感を感じているそうだ。
新しいサービスに手応えを感じる杉本社長
杉本氏「実際にやっていないという人が、被害者の意見や警察の誘導によって無実の罪を認めてしまったり、高い示談金を払ったり、または痴漢行為を認めなくても裁判で相当な時間を拘束されたりという事実もあります。そういう人たちをいかに早く救ってあげるかということがこの保険の使命のように感じています。保険会社というのは保険金を払うというのが大きな使命なんですが、今回の商品は契約者の方の人生、さらにはその方の家族や仕事を守る保険であると思っています。」
法務省の発表している犯罪白書によると、迷惑防止条例違反の痴漢事犯の検挙件数は全国で毎年3500件前後を推移。およそ1日に10件の痴漢が起こっていることになる。被害届の提出されていないものも含めると実際にはその10倍近い痴漢が起こっているともいわれ、それは痴漢犯罪が無くならない反面、痴漢冤罪に巻き込まれる可能性も残り続けるということを示している。そうした「もしも」の時のリスクヘッジとして、こうした保険が今後さらに注目を集めていくのは間違いないだろう。
ジャパン少額短期保険