200種類を超える驚きの有効成分!「アロエ」の機能性がいま再注目される理由とは

森永乳業

今やスーパー・コンビニで買えない場所はないと言える、森永アロエヨーグルト。一世を風靡したナタデココブーム。それが下火になった頃に、体のなかからキレイになれるというコンセプトのもと、“食べるコスメ”として開発された。現在はアロエを習慣的に食べられる食品として、森永乳業の主力商品の一つとなっている。アロエの食感に特徴があり、健康を気にする人にとってなくてはならない商品となりつつある。

そんな定番となったアロエは、古く日本へ伝わってきている植物ではあるものの、その効果について専門的に研究している事例が決して多くなかった。そんな中、森永乳業ではアロエの持つ機能性について10年以上前から研究を開始。2017年からは「アロエのチカラ」というキャッチコピーとともに、その機能性を広く発信する試みもスタートした。今回は研究を担当している森永乳業株式会社 素材応用研究所 機能素材開発部 三澤 江里子さん、マーケティングを担当するリテール事業部 DYマーケティンググループ 片岡 由依さんに話を伺った。

森永アロエヨーグルトの歴史

男女問わず多くの人が『アロエ』という植物を食べるきっかけとなった森永アロエヨーグルト。ヨーグルトカテゴリーにおいては、フルーツヨーグルトに分類されその中でも2連タイプはNo.1のシェアを誇る商品だ。なぜここまで長い間愛される商品となったのかなど、マーケティングを担当するリテール事業部 DYマーケティンググループ 片岡 由依さんが、森永アロエヨーグルトの歴史について語る。

片岡「『アロエ』というのは古くから世界中で様々な用途に活用されてきた植物です。日本でもその歴史は古く、例えば家庭でも栽培されているキダチアロエは、640年代に、日本でも薬として利用されたという記録が残っているようです。ただ、森永アロエヨーグルトが発売される以前は、食用としてアロエが用いられるケースは少なく、民間療法の中で火傷に対して塗り薬として使われたり、美容製品の素材として利用されたりするのが一般的でした。」

今では多くの人が健康機能食材として認識しているアロエ。当時はまだまだ一般的ではなかったこの「食べるアロエ」を広めるきっかけになったのが、まさに「森永アロエヨーグルト」だった。

片岡「当時森永乳業では新機軸のヨーグルトを開発する目的で、様々な食材との組み合わせを検討していました。タピオカやこんにゃくなどの多様な食品を材料として、試行錯誤を繰り返す中、最終的に白羽の矢が立てられたのが『アロエ』だったのです。ビタミン、ミネラルなどの成分をバランスよく含む自然素材として、一部のナチュラル志向の方々に支持されていたアロエを取り入れ、ヨーグルトの開発が進められました。
森永アロエヨーグルトに使用しているのは「アロエベラ」という品種のアロエです。他のアロエに比べて、柔らかい葉肉(葉っぱの中身)の部分が厚くしっかりとした食感があるのが特徴で、味にもクセがなく、食べていて楽しい。そんなヨーグルトとの相性もよい素材でした。」
1994年12月10日、こうして誕生した森永アロエヨーグルトは、健康を気にする人達やキレイについて積極的に考える人にむけて“素肌とカラダのために”というキャチフレーズとともに打ち出された。近年では年間1億食を超えて出荷(※カップ数換算)されており、私たちの生活に欠かせない定番ヨーグルトとして浸透している本商品だったが、発売当初は受け入れられるか不安な点があったという。

片岡「家庭で栽培されているキダチアロエのちょっと苦い味のイメージもあってか、流通の最初の反応は良い物ばかりではありませんでした。ただ、そうしたネガティブな反応に反し、森永アロエヨーグルトは多くのお客様からに手にとって頂く商品になりました。
というのも、 流行に敏感な女性たちが、他にはない商品として興味を持って手に取ってもらったところ、苦みがなく意外とおいしいと評価をしていただき、次第に口コミでそのおいしさが広がっていったからです。その美味しさや食べやすさから継続して購入していただく事へと繋がっていきました。
市場の分類では、森永アロエヨーグルトはフルーツヨーグルトカテゴリーに属し、2連タイプは現在カテゴリー内のシェアNo.1の商品です。ですが、実はお客様からは「フルーツヨーグルト」としては認識されておらず、独自のカテゴリーを築いている商品でもあります。ヨーグルトに関するグループインタビューなどを行い各種商品についてヒアリングすると、「プレーン」「フルーツ」という分類分けをしても、「フルーツ」カテゴリーには入れられない事が多いです。むしろ「森永アロエヨーグルトは『アロエ』カテゴリーでしょ」とお客様が一つのカテゴリーとして認識する程、ブランディングに成功した商品と言えます。」

そうして定番商品として確固たる地位を得た「森永アロエヨーグルト」。定番となってからも、細かい所の進化は怠っていない。

片岡「パッケージデザインを含めブランドについては、常に新しい形を模索しています。最新のパッケージでは、アロエベラのキューブがよりはっきりわかる様に、パッケージのロゴをダイヤ形に変更しています。また、数年前からフタ部分の改良を行なっており、ヨーグルトがこびり付かない様に特殊な撥水加工を施しています。これによってふたを開けた時のヨーグルトの飛び散りも防げるようになりました。
もちろん、商品ラインナップも増強しており無脂肪ヨーグルトを使った「森永アロエヨーグルト 脂肪0(ゼロ)」や、食感をより沢山愉しみたい男性に向けた大きさ3倍のアロエを入れた「森永大粒アロエ&ヨーグルト」などを展開しています。また、「森永アロエヨーグルト」に、季節ごとに異なるフルーツを加えた期間限定商品のシリーズも用意しています。」

研究所でアロエの研究を開始

日本において「森永アロエヨーグルト」の誕生を機に、食べる健康機能食材としてその地位を確立したアロエ。古くは6000年前から活用されて来たと言われる植物だが、その効果について、科学的に解明されはじめたのは近年になってのこと。
その研究内容も外用での皮膚への作用に関するものが多く、食品として「どの成分がどう働いて健康に良い」という研究はあまり多くなかった。
森永乳業が2004年から取り組む「食べるアロエ」研究。その研究開始のきっかけや、森永乳業が発見し、特許も取得したアロエの成分について、どの様に解析していったかを、三澤 江里子さんが語る。

三澤「実は当社のアロエ研究のキッカケは、当時の社長のアメリカ出張でした。強い日差しが降りそそぐ砂漠の中、たくさんのサボテンのような植物が生えている。その中で、なぜか特定の植物にだけ鳥がつつきに来るのです。砂漠の様な過酷な環境において、なぜか選ばれるその植物には“特別な効能”があるのではないか?との逸話とともに、その植物の飲料が、日本に持ち帰られました。その後、その植物は「サボテン」ではなく、『アロエ』という事が判明。動物や現地の文化から学ぶ形で、アロエという植物の独自性についてより興味を持つ事になりました。
研究テーマとして、食べることによる『アロエ』の機能性について検討することは決まりましたが、具体的な研究分野の選定については非常に難航しました。というのも、皮膚に塗ってその効果を調べている論文は1950年頃から発表されていましたが、食べてその効果を検証するという論文は殆ど見当たりませんでした。そうした状況で、経口摂取による糖尿病患者の血糖値改善効果に関する学術論文が突破口の一つになり、その改善効果にはどのような成分が関与しているのかを特定し、作用メカニズムを解明すべく研究を開始しました。」

『アロエ』を研究テーマとする事は決定したとはいえ、有効成分の特定は非常に手間と時間がかかる作業。研究としてまとまるまでのプロセスは、並大抵の努力では乗り越えられないものだった。

三澤「アロエの透明な葉肉部分に、活性成分があることはわかっていましたが、アロエは現在確認されているだけでも200以上の有効成分が含まれているといわれる植物。具体的にどの成分が効果を示しているのかを明らかにするためには、成分を特定する必要がありました。トン単位の大量のアロエベラを用いて、長期間にわたる成分の分離抽出作業を続けていましたが、研究成果が出るまでのプレッシャーは大きかったです。研究を開始してから3年後の2006年、実際に有効性を持つ成分「アロエステロール」を特定できた時は、嬉しい気持ち以上にやっと見つかったという気持ちでいっぱいでした。成分が特定された結果、科学的根拠に基づいて「アロエ」の様々な機能を検証できるようになりました。
200以上の有効成分が含まれているアロエ。当社では引き続きアロエ研究に力を入れています。様々な機能や作用機構がわかってきていますが、残念ながら、現段階では特許取得の関係でお伝えできないことも多いのです。」

お客様に身近なアロエの機能性を伝えていく目的も

定番ヨーグルトブランドとして確固たる地位を築き上げた「森永アロエヨーグルト」。会社をあげた研究において、材料である『アロエ』の機能についての様々なメカニズムもわかりつつある。
そうした中で、森永乳業での新たな活動が開始された。それは、今年より開始された「アロエのチカラ」をテーマとするコミュニケーションだ。ブランドサイトやパッケージ、様々なツールを使って「アロエのチカラ」をテーマに、アロエの機能性を伝えてゆく。

片岡「今年から、商品のパッケージに“カラダにアロエのチカラ”というあたらしいコピーを配置し、全体的によりアロエの健康機能性を感じていただきやすいようにリニューアルを図っています。従来は“キレイつづくおいしさ”という美容要素の強い表現や、“アロエ噛むズトゥルー”といった食感の楽しさを伝える表現などを用いてきたのですが、改めてシンプルにアロエの機能性を打ち出す方向に舵を切っています。
また、新たな取り組みとして『アロエのチカラマガジン』として、歳時ごとに注目したいアロエの様々な機能性にフォーカスを当てた、ニュースレターの発行を開始しました。第1回は、古くは6000年前にさかのぼるアロエ活用の歴史や、アロエ研究者へのインタビューを実施。第2回は、5月病・6月病の時期にあわせてアロエの脳機能的な実験結果をご紹介しました。「なんとなくカラダによさそうなもの」として認識されている、アロエのより具体的な機能や成分についてより多くのお客様に知ってもらいたい目的で、本マガジンの発行を開始しました。健康食品に関する関係者の人達や研究者からも興味を持たれる様な研究内容や、時期に合わせて転載される様な独自の切り口でアロエを紹介しており、少しずつ反響が得られるようになってきました。」

古くは紀元前のエジプトから防腐剤や美容目的、そして万能薬として利用されて来た神秘の植物「アロエ」。6000年以上に及ぶその活用の歴史の中で、「食べる健康素材」としてその価値を広く浸透させたのは、他ならぬ「森永アロエヨーグルト」存在と言っても過言ではない。その「森永アロエヨーグルト」の歴史は、商品開発・研究が両軸となって弛まぬ研鑽を重ねてきた「食べるアロエ」進化の歴史でもある。

三澤「今後は、アロエのメカニズム的な部分について、より詳細を研究したいと考えています。数ある効能の中でも、アロエの肌への機能や体脂肪への影響などに力を入れて研究していく予定です。アロエを食べることにより、有効成分が体内に取り込まれ、血流によって全身に届けられることで、身体全体に好影響を与えていると考えています。」

片岡「マーケティングにおいては、研究成果やその時の時世に合わせて、より美味しいアロエヨーグルトを提供できる事を常に目標としています。さらに魅力的なブランドにしていくためには、アロエそのものの健康感や美味しさなどを着目してお客様に伝えていく必要があると考えています。」
期間限定『映画「メアリと魔女の花」コラボパッケージ』(8月下旬頃まで)
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森永乳業の研究により、「アロエは体に良い」から「科学的根拠に基づくアロエのチカラ」がわかってきた。体の変化に悩んでいる人や日々健康に気遣う人に向けて、マーケティング・研究両面でブラッシュアップしていく姿勢は、長く愛される商品づくりのお手本の様に感じられた。定番として商品のブランディングを守りつつも、挑戦し続ける「森永アロエヨーグルト」。今後も注目していきたい商品の一つと言えるだろう。

2017年7月28日

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