選ばない手はない! 格安SIM、NifMoのメリットと今後
皆さんはどこの携帯電話を使っているだろうか。“どこの”と問われたら、多くの人が頭に浮かべるのはdocomo、au、SoftBankといった、いわゆるキャリアのことだと考えられる。携帯電話を選ぶ際、独自の回線をもつこれらを選ぶことが従来は当たり前だった。それがSIMフリーの携帯電話の誕生によって、徐々にではあるが覆されつつある。ニフティが、2014年に満を持してリリースした格安SIM、NifMo(ニフモ)について今回は触れていく。
NifMo事業を担当する ネットワークサービス部の鈴木洋祐さん
携帯電話料金が高額である、という国の課題認識。
まずは一応、SIMについて簡単に触れたい。SIMとは、電話番号を特定するための固有のIDが登録された、携帯電話を通信させるためのICカード。側面に挿し込まれる、あのチップのことである。キャリアの場合、そこで展開されている携帯電話、SIMしか使えない。これは俗にSIMロックと呼ばれるが、SIMフリーはその逆。(相性の良し悪しはあれど、基本的には)どんなSIMでもお使い頂けますよ、というもので、キャリア以外が販売をするSIMは“格安SIM”という総称がつけられている。文字通り、安価であることが大きなメリットだ。はじめに格安SIMが広がっている背景について、ニフティでNifMo事業を担当する鈴木洋祐さんに聞いた。
「NifMoはMVNO(Mobile Virtual Network Operatorの略称)に属するサービスになります。これを日本語に訳すと『仮想移動体通信事業者』。“仮想”とつく通り、キャリアから回線を借りて消費者の方に提供するというのがベース。自社で基地局などの通信設備を維持、管理するわけではないので、結果的に安くなるという仕組みです。MVNOサービスは以前から存在していましたが、その利用者は詳しい方に限られていました。転機になったのは日本国内の携帯電話の料金って高いよね、という課題認識から2015年に国の政策としてSIMロック解除がすすめられたことです。これが追い風になり、次第に増加していったというのが背景ですね」
NifMo SIMカード
キャリアと遜色ないクオリティを安価で使える。
携帯電話は今や生活に欠かせないライフラインのひとつになっている。とは言っても、毎月高額なお金を支払いたくはない、とは皆が思うことだろう。ただ、まだ認知度が低いせいか、格安SIMに対する視線は決して温かいとは言えない。「電話がスムーズにできるのか」「通信速度が遅くてストレスになるのではないか」「どうせ安かろう悪かろうでしょ?」といった心配事が躊躇に繋がっている可能性はある。現在の格安SIMのシェアはわずか5~6%ほどなのだそうだ。これを伸ばすためには、以上などの心配事をまず払拭する必要がある。
「キャリアの代金は通話料込みで月々およそ6000~7000円が相場と言われています。一方、NifMoの音声通話ができるプランは1600円くらいから。月単位でも約4000円の差があるので、2年間と言われている携帯電話のサイクルで換算すると相当な金額になりますよね。クオリティに関しては、ドコモと同じ回線を使用しているので音声通話や提供エリアは同じ品質となります。各事業者により異なるのが回線速度などのデータ通信の品質になりますが、NifMoでは最も混雑している時間帯を基準にして設定し、お客様にストレスなくご利用ただけるよう努めています。加入前のお問合せでも、電話音声並びに通信の品質 に遜色がないか、というご質問を頂くことがありますが、遜色はないですとお答えしています」
NifMo独自のプログラムをまとめる ネットワークサービス部の青木圭さん
データ通信量を家族でシェアし余りをなくすプログラム。
NifMoはスマートフォンとセットでの展開もしているが、今回はNTTドコモの機種であれば(au、SoftBankの端末はNifMoでは正常に利用できない可能性がある)基本的にそのまま移行ができる、SIMカード単体のプランを紹介したい。ミニマムが月額900円(以下、税抜価格)から使えるデータ通信のみのもの。次が1050円のランクでLINEの利用やショートメッセージを送ることができるもの。最後が先にも説明があった、1600円からの音声通話もできるもの。それぞれ3、5、10GBからデータ通信量を選べるが、当然、容量が大きくなれば料金は高くなる。ここにNifMoの肝がある。次はそれに関連したNifMo独自のプログラムをまとめる、青木圭さんに話を聞いた。
「NifMoには『NifMo ファミリープログラム』という、2~7名までが対象の家族向けの制度があります。これには大きく3つの機能が備わっていまして、1つ目が家族でお支払いをまとめられること。2つ目がボーナスとして加入頂いた皆さまそれぞれに、毎月0.5GBのデータ通信量をプレゼントすること。3つ目がデータ通信量を家族で共有できるシェアプランが利用できることです。例えば旦那さんはいっぱい使うけれども、奥さんは1GBで十分ということもありますよね。そういう場合、シェアプランなら旦那さんの超過分が奥さん分の残量分に吸収されるのです」
要するに、仮に夫婦共に3GBでNifMo ファミリープログラムに加入した場合、データ通信容量はボーナス1GBを含めた7GBとなる。この例のように奥さんが1GBの利用であれば、旦那さんは6GB使うことができるという計算になるというわけだ。この制度を開始してまだ日は浅いものの、すでに「NifMoファミリープログラム」加入ユーザーの6割強が契約しており、確かなニーズがあったことを実感していると青木さんは語る。
「もうひとつ『NifMo ファミリープログラム』には特徴があるんです。データ通信量をシェアできるとは言っても、もちろん上限はあります。最近はスマートフォンで動画を楽しむ方も多いですから、家族全員に規制がかかってしまうということも稀にあり得ます。そういった場合、あえて一番データを使う人をシェアプランから外すという選択肢もあるんです。シェアからは外しているけれども、『NifMo ファミリープログラム』でまとまっていればデータのボーナスはもらうことができます」
あらゆるサービスを複合しインフラをつくる、ニフティの展望。
NifMoがスタートして約2年。開発当初から現在まで継続されているのは、オリジナリティを追求すると共に多くのユーザーが助かる、嬉しいことを考え、それを反映させるというシンプルな想いだ。鈴木さんはMVNOが認知されるにつれ、はじめは男性のユーザーが多かったのが、次第に家族で使ってみようかな、と思う人が増えてきたのでは、と言う。
「当面の目標としてはMVNO市場でのシェアを広げることですが、将来的には、ニフティが取り組んでいる他のサービス、ISP(Internet Service Provider)の回線や電力自由化に伴って生まれた@niftyでんきなども複合させ、生活に密着したサービスとして、身近に感じながら使ってもらいたいと考えています。それぞれを組み合わせて使うと料金が割り引かれたり、普段通りに家族で生活をしているだけでお得になる、そんなシームレスな仕掛けをつくりたいですね」
老舗インターネットプロバイダ発のNifMoがMVNO界の台風の目になるか。今後に期待したい。
文:大隅祐輔 写真:木川将史
ニフティ