新たなコンサルティングサービスの形を求めて。「ノースサンド」の経営哲学

ノースサンド

新興企業ながら前年比200%の成長率を誇り、コンサルティング業界で注目を集めている「ノースサンド」。2015年の設立から「テクノロジーの力」と「人間力」を駆使し、新たなコンサルティングサービスの形を追求し続けている。最近では「ベストモチベーションチームアワード2019」を受賞。加えて「働きがいのある会社ランキング」のベストカンパニーに2年連続で選出され、働きやすさの面でも注目を集めている企業だ。今回は同社の代表取締役社長である前田知紘氏と採用・人事を統括されている取締役の佐々木耕平氏に登場いただき、経営方針や人材育成に対する取り組みについて伺った。

「人間力」で他社と一線を画するコンサルティングファーム

――まずはノースサンドという企業の成り立ちと企業理念について教えていただけますか。
前田

「当社は私の前職のコンサルティングファームで同じ部署にいたメンバーを中心に設立した企業です。「世界をデザインする」をビジョンに掲げ、お客様が実現したいことをデザインし、見た目だけではなく中身まで幸せでかっこいい会社を世の中に増やしていくことを我々の使命と考えています」



――業界内でのノースサンドの強みはどこにあるとお考えですか。また、貴社が重視している理念はありますか。



前田

「コンサルタントがやる領域と他のシステム会社がやる領域との間で宙に浮いているような業務に対応できていることが、当社がクライアントから重宝される理由だと思います。一方で、コンサルタントといえば、知的なオーラをぶんぶん出しながら横から賢いことを言う…というイメージがあるかもしれませんが、実際の現場で求められているのは『人間性』だと思っています。要は『この人と働きたい』と思ってもらえることが第一ということですね。」



――確かに人との関わりが避けられない職業だけに個々の『人間性』は重要な部分ですね。

前田

「結局のところ、人間は『論理×感情』によって動きますから。同じ案件でもコンサルタントの人間性によって生まれる違いは大きいですよね。すごく賢い人がどれだけ論理的に正しいことを伝えても、受ける側がその人のことを嫌いだったら大した効果が出ないと思います。でも、そこに人を共感させる熱い感情が乗っていれば相手も動いてくれるはず。そういうことって人間として成熟していたり、感性が豊かだったりしないと出せない部分ですよね」



――論理だけで人は動かない。人間性の高いプロ意識のあるコンサルタントのサービスとは、どのようなメンバーで作られているのでしょうか。



前田

「現在は経験豊富な中途入社の人材が主体で動いているため、様々な知見が合わさってサービスが出来上がっています。その中で、特定の領域に絞らず幅広く支援させていただくというのが当社の強みですね」

佐々木

「そうですね。もちろん他のコンサルティングファームと同じように、何らかのプロジェクトの推進や実行支援のボリュームは大きいと思います。ただそこに特化せず、予算削減やコストカット、業務系であれば、今でいう働き方改革の支援など幅広いテーマに取り組んでいます」



――ノースサンドの強みの一つとして、より短い期間で高い結果を出す「圧倒的なスピード力」もあると思いますが、その裏側にはどんな工夫があるのでしょうか。



前田

「テクノロジーなどを活用してスピードを上げているということもありますが、何よりも『期待値コントロール』の実行を心がけていることが大きいと思います。クライアントが1週間後に出てくると思っていることを、いかに相手の期待をコントロールしながら早い段階で出していくか。早めに提案を出して、100点以上のところを一緒に探っていくというのが、プロジェクト全体のスピードを速める上で最も重要だと思っています」

コンサルティングと新規事業、双方に可能性があるノースサンドの魅力

――コンサルティング事業の一方で、貴社は新規事業の開発も行っています。こちらでは具体的にどんな業務を行っているのでしょうか。



前田

「例えば、飲食×IoTをテーマに作った『Hack on Tap(ハック・オン・タップ)』というドリンクサーバーもそのひとつです。これは入店時に配られるリストバンドで、自分の好きなドリンクを好きなタイミングで好きな量だけ従量課金で購入できるという仕組みを開発しました。」
Hack on Tap(ハック・オン・タップ)
Hack on Tap(ハック・オン・タップ)
そのほかには、ハワイ在住のローレン・ロスというアーティストとライセンス契約を結び、今年から子会社を立ち上げて商品開発に取り組んでいます」
ローレン・ロス
ローレン・ロス
――コンサルティングファームがこうした別事業に乗り出すケースは珍しいと思いますが、そこにはノースサンドの「挑戦できる環境」が関係しているのでしょうか。



前田

「私自身もそうでしたが、もともとコンサルティングファームにいる人は、自分でビジネスがしたい、何かを企画したいという人が多いんです。この会社でも設立当初から皆で何か新しい事業を立ち上げたいという熱はありました。中途入社の社員も、コンサルティングに興味がありながら、ゆくゆくは自分で何か事業をしたいという気持ちを持って当社を選んでくる人が少なくありません。飲食でもいいしメディアでもいい。縛りは設けず、そういう心意気を持った人たちと新しいものを作り出していきたいと考えています」



――このように、社員が挑戦してみたいことを実現できる環境であることは、会社経営の経験があるコンサルタントを育てたいという前田社長の思いを感じます。新規事業はその一環として行われているのですね。



前田

「まずはコンサルティングでしっかり結果を出してもらうことが前提ですね。もちろん新規事業が軌道に乗れば、そちらの事業に専念という可能性もあります。今もひとつ新しいスマホアプリを開発中ですが、これも現役バリバリのコンサルタントがメインで動いています。こうして1人の社員が両方の可能性を持てるというのも当社ならではの特徴ですね。」

必要なのは「プラスアルファの付加価値を与えられる熱量」

――佐々木さんは採用を統括される立場ですが、人材採用にかける貴社の意気込みを教えてください。
佐々木

「やはり『人間性』を大切にしている会社なので、設立早々の頃から人材採用には相当なコストをかけてきました。今後も当社のさらなる成長を見据えて積極的な採用を行っていきます。また、昨年から新卒採用にも力を入れており、今年も第2期の新卒社員として10名のスタッフを採用しました。彼らのフレッシュさや素直さ、働くモチベーションは既存社員にもいい影響を生んでおり、彼らをゼロから育て、長い目でコアメンバーにしていくことも企業が長期的な成長を図る上で重要なことだと思っています」





――新卒、中途を問わず、貴社で働きたいという人にはどんな資質を求めていますか。





前田

「当社のカルチャーにマッチできる人、会社の理念に共感を持ってくれる人と歩んでいきたいですね。あとはコンサルティングで結果を出すのはもちろんのこと、それ以外の面でも会社を成長させていくことを楽しめる人と一緒に働きたいです」



佐々木

「クライアントが求めることに自らアンテナを張って、ニーズを自分たちで見つけて提案できること。それが当社の売りなので、指示されて動く、言われたことを120%やるというのは当然のことだと思います。そこにプラスアルファの付加価値を与えられる熱量を見せてくれることが大事だと思います」



――問題を見つけ、課題を設定し、積極的に解決に向けて動ける人材でなければ、コンサルティングは出来ない。そのためノースサンドではあれこれ指示はせず、自ら動くことが必要だということですね。入社後はどのようなステップで組織にコミットしていくのでしょうか。



佐々木

「中途採用の場合はそれまでの経験によって異なります。当然、コンサルティング経験のある方は入社早々から最前線に立っていただくこともあります。そもそもクライアントと絡まなければ始まらない職業なので、経験のない若いスタッフでも早いうちからプロジェクトに加わって上司や先輩に付きOJTの形で学んでもらいます。OJTとOFF-JT、マインド形成、あとは自己研鑽。その4つを噛み合わせて成長させていくのが、当社の人材育成に対する考え方です」



――OFF-JTなどの社内教育ではどんな教育プログラムを用意されていますか。
前田

「自分たちで大事だと思うことは自分たちの言葉で伝えることが大切だと思っています。そのため最初は既存のオンラインカリキュラムを使っていましたが、今は外部を頼らずに自社でカリキュラムを作る方法に変えました」



佐々木

「それぞれの課題に対して『どう考えるか』ということに重きを置き、自分たちの経験を踏まえたカリキュラムを組んでいます。コンサルティングスキルやロジカルシンキングなど、テキストブックも自分たちで作っています。新卒社員の研修は約2ヶ月。その後も毎月テーマを変えて、月に1回、社内研修を行っています。テーマの検討から実行まで社内の手作りなので、ここにもかなりのコストをかけています」

社員旅行の家族参加OK! 子供のランドセルも会社が贈呈

――「ベストモチベーションチームアワード2019」(リンクアンドモチベーション社主催)、「働きがいのある会社ランキング」(Great Place To Work® Institute Japan 主催) で優良企業に選出されるなど環境面でも魅力の光る貴社ですが、社内環境について教えてください。



前田

「まずは私も社員に近いところで作業をしていますし、上下の風通しは良い環境だと思います。働き方だけでなく『働きがい』も大切にしていて、そのためのチームを組んで明るい環境作りをしています。横のつながりについても社員集会と社内パーティーを月に1回行い、そのほかに中途社員の歓迎会を定期的に行うなど、社員同士が会える機会を頻繁に作るようにしています。同じ会社でも現場が違うとなかなか会う機会がない仕事なので、社員間の関係作りは特に力を入れている部分ですね」
第5期決起集会
第5期決起集会
佐々木

「人と人がつながる部分には福利厚生も手厚くしています。例えば、会社のカルチャーを行動で示してくれた社員に贈る『フィロソフィー』賞。スーツ代などを一定額補助する『身だしなみ制度』や社員5名以上のスポーツ活動の活動費を補助する『スポレク制度』などがそれにあたりますね。また、社員だけではなくその家族も含めて大事にしたいと考えており、年に一度ある社員旅行は家族の参加もOKにしていたり、子供が小学校に上がる時には会社からランドセルを贈っていたりと社員の家族も巻き込んだ独自の福利厚生を充実させています」
ランドセル贈呈式
ランドセル贈呈式
――社員としてはより一層働くモチベーションが上がりますね。最後に、前田社長に今後の目標を伺いたく思います。
前田

「環境面では、企業理念を広く浸透させて社員全員が同じ価値観を持って働くことが働きがいの創出につながっていくと考えています。経営面としては、コンサルティング業務では今の成長率を維持しつつ、さらに拡大できる方向に向かっていきたいですね。併行して、新規事業部門ではコンサルティング事業に次いで柱となりうるビジネスを開発し、企業化できるレベルを目指していきます。」



自社への思いを熱く語ってくれた前田社長。社員の人間力を育てるため、新規事業や交流会など様々な機会を提供し、お互いを高め合えるような環境づくりをしているノースサンドがどんな成長を果たしていくのか、今後の動きに注目だ。

2019年5月21日

ノースサンド

ノースサンド

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