2019年6月13日

なぜ広告代理店のオプトがデジタルシフトなのか<後編>

オプトホールディング

Digital Shift Timesは、日本企業のデジタルシフトの道しるべになることをミッションに掲げ、未来を見据えて経営の舵取りをしている経営者層やデジタル部門・マーケティング部門の責任者向けに、デジタルシフトと向き合い企業の変革を進めていく上で必要となる情報を提供していきます。

ローンチを記念してお送りしている、株式会社オプトホールディング代表取締役社長グループCEO 鉢嶺登氏と、立教大学ビジネススクール教授 田中道昭氏による本対談。後半では、企業がデジタルシフトを成功に導くための心構えを切り口に、いよいよDigital Shift Times の全貌をひも解きます。

「Digital Shift Times」記事はこちら:
なぜ広告代理店のオプトがデジタルシフトなのか<後編>

前編はこちら

デジタルシフトの成功は、トップの本気度で決まる

田中 前編では鉢嶺さんのお考えをもとに、デジタルシフトに重要な視点を話題にしてきました。企業がデジタルシフトを遂げていくには、スタートアップ企業のように新鮮かつフレキシビリティさを保ち、スタートアップ企業のようなスピーディーさを取り戻す。さらには成功体験にとらわれない精神で挑むなど、必要な要素は数多くありますが、すでにオプトグループは、これらを網羅するかのようにクライアントの事業のデジタルシフトのみならず、戦略の構築、それにともなう組織の構築までさまざまな事例をお持ちです。そして、これからさらに手がけようとしているのは、ビジョン、ミッション、バリュー、といった企業DNAの刷新ではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。


鉢嶺 おっしゃるとおり、ビジョン、ミッション、バリューを新たにするところまでオプトグループにお任せいただきたいと考えています。なぜなら、これらを変えないことには、デジタルシフトはうまくいかないからです。デジタルシフトは、イノベーションですから。この領域にまでぜひ携わりたいですね。


田中 とはいえ、いきなり抜本的に変えるのは難しいですよね。典型的な企業がデジタルシフトを遂げていくにあたり、まずは何から着手するとよいと考えていますか。


鉢嶺 トップが本気になることからではないでしょうか。振り返ると、僕たちは2008年に株式会社電通と提携し、同社のデジタルシフトを手がけてきました。それ以外にも、カルチュア・コンビニエンス・クラブ社、日本経済新聞社等のデジタルシフトに挑戦してきた実体験があります。これらが僕らにとってのデジタルシフトのノウハウの原点になっていて、さらにはどの会社にも共通する五つの障壁も見つけています。前半にお話しした「デジタル人材の育成」もそのうちの一つですが、もう一つお話しすると、「既存組織の反対」もネックです。たとえば、小売店がEコマースサイトを立ち上げようとすると、既存組織から反対の声が挙がるというシーンは思い浮かべやすいでしょう。Eコマースが立ち上がるまでは赤字が続くし、リソースも割かれます。本業からしてみれば何のプラスもありません。ですから、話が出た時点でつぶされる場合がほとんどなのですが、それでも推進していくにはトップの本気からくる判断に任せるしかありません。
デジタルに移行しないと会社は変われないし、生き残ることもできない。この事実を自分ごととして、いかに認識できるのか、重要と捉えられるのか。その覚悟をトップが持つことからデジタルシフトは始動していくと考えます。
田中 鉢嶺さんは色々な会社のトップとお会いになる機会も多いでしょう。デジタルシフトに対する経営者の印象は実際のところどうですか。


鉢嶺 デジタル化の必要性は、ほとんどの方が感じています。大手コンサルに依頼している会社も多いので、表面的には理解しているように思えます。ただ、実感がともなっていない印象はありますね。本質的に変わった会社が世界的に見てまだ少ないことも理由だと思うのですが。


田中 デジタルシフトは、ただ単にシステムやアプリを入れたという話ではなく、企業カルチャーの問題ですからね。


鉢嶺 ええ。前半で話題に上がったDBS銀行ほど変わるのはハードルが高いので、現実的にはまず一部から変えていくことになると思います。それから「会社は、なぜ取り組まないんだ」と気を揉む、若手かつデジタルが分かっている社員の方も多くいらっしゃるので、その方たちのパワーをお借りしながら進めていくのが得策かと。新たに会社を立ち上げたり、別組織をつくったりしないことには、なかなかうまくはいかないでしょう。


田中 そういう意味では、オプトグループは企業DNAに加え、デジタル広告会社として仕事をしてきた実績が生きますね。ここが、コンサルティングファームや競合企業との決定的な違いだと思います。まずデジタル広告から入り、プロモーションのみならず、マーケティング、プライシング、プロダクトへの関与、そして戦略と広げてこられた。これらの経験を買って「ぜひ力を貸してほしい」と相談にやってくる企業は今後増えていくことでしょう。


鉢嶺 絵を描くだけでなく実行できることが導入する側としては重要なので、もちろん当社もパートナーとして、最後までお付き合いしたいと強く思っています。

デジタルシフトしたいと思った企業の登竜門となるメディアになりたい

田中 これまでのお話から、なぜ広告会社のオプトグループがデジタルシフトと言い始めたのかは、お読みの方にもだいぶ伝わったのではないでしょうか。そのうえで、さらに「Digital Shift Times」というメディアまで誕生している。ここからもオプトグループがデジタルシフトを本気で成し遂げようとする真剣度合を感じられますが、まず開設の意図は、どこにあるのでしょうか。


鉢嶺 大企業だけでなく地方の中小企業も含め、日本のすべての会社をデジタル化しないことには世界で生き残れなくなる、というくらい切迫した危機感が僕のなかにはありますが、その一方、意識が希薄な経営者、「デジタルのことは分からない」で終わらせてしまう経営者もいらっしゃいます。そういった方を、「Digital Shift Times」をとおして啓発したい思いがあります。デジタルシフトをしなければいけないと気づいた人が初めに訪れる、ここに来れば、デジタルシフトに関するあらゆる情報が入手できる。そんな期待に応えられるメディアを目指していきたいです。


田中 どういう人に読んでもらいたいと思っていますか。


鉢嶺 読者としては、経営トップを意識しています。繰り返しになりますが、デジタルシフトは、経営者の本気と覚悟がないと始まらないですから。会社規模が大きく、経済に影響力を持つ企業は特に、日本がデジタルシフトしていく最初のエンジンになっていただきたい。ですから、経営者の本気と覚悟を導けるメディアに育てていきたいです。もちろん、デジタル化の意向をすでにお持ちの会社の方、デジタルシフトによって会社をさらに成長させようと考える経営者にも、読んでいただきたいです。


田中 コンテンツも種々用意していると聞いています。具体的にどういう内容を伝えてくのでしょうか。


鉢嶺 先生と一緒に視察したアメリカや中国の、ネットとリアルを融合させた小売店のような情報など、最先端を走る元気な企業や、そこで使われている最先端の技術はぜひお伝えしていきたいです。片や、デジタルシフトにまだピンと来ていない方に向けては、例えば『アマゾン・エフェクト』をテーマに、変化を良しとしなかった企業の末路を紹介するような、ある意味危機感を煽るものもあってよいのかな、と。


田中 デジタルシフトの理解度、関心度に応じ、あらゆる角度から投げかけていくということですね。
鉢嶺 ええ。中国の最先端技術も目を見張るものがありますし、そういうのもぜひレポートしたいですね。
僕らは、テックテンプル(Tech Temple:科技寺)というベンチャー向けインキュベーション施設を深センで運営しています。協業先の現地企業は、すでに中国各地で10施設運営されていて、そこには500社ものベンチャー企業が入居しています。彼らのピッチを聞くと中国の現状、あるいはこれからを知れるので、僕らの大きなリソースになっているのですが、そこで感じられる熱気や彼らの考えているビジネスモデル等も今後紹介したいと考えています。


田中 デジタルシフトは、アメリカよりも中国のほうがさらに進んでいて見習うべき点が多い。特に社会実装の分野は非常に進んでいます。
今年3月にオプトグループのメンバーと北京にも行きましたが、僕が驚いたのはアイフライテックの副総裁とミーティングをする機会があったことです。アイフライテックは、音声認識で世界トップレベルの技術を持っており、この分野では確実にアメリカ企業を凌駕する、そんなポジションにいるのですが、このミーティングのなかでオプトグループが現在進行形で中国のデジタルシフトに取り組んでいることを知り、非常に驚きました。オプトグループは確かな人脈のもと、中国に非常に大きく食い込んでいる。そういったこともまた、どんどん発信していただきたいですね。そして、事例紹介のみに留まらず、その事例から何をヒントとして得られるのかにまで言及するメディアになることが望ましい姿ではないでしょうか。ビジョン・ミッション、バリューといった企業DNAの考え方、スピード経営をどう実行したらよいのかにも踏み込んでいただけると、より読みごたえが出てくると思います。
改めて、デジタルシフト実現のためのキーワードは何になりますか。


鉢嶺 やはり「覚悟」「本気」だと思っています。これらが無いと絶対に変わらないですから。


田中 読者がこの二つを決断できる、良質なコンテンツの提供を僕も心待ちにしています。


鉢嶺 はい。ぜひご期待ください。
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