――前編では、ジェリーさんから「日本と中国の企業の『いいもの』を組み合わせれば、もっと面白いことができるはず」というお話がありました。その「いいもの」とは、それぞれ何だと考えていますか?
ジェリー:中国のいいところは、人口が多いので、巨大な市場があるということ。それからテクノロジー、特にモバイルインターネットの領域では世界的にリードしているので、たくさんの面白いアプリやサービスがあります。日本のいいところは、匠の精神ですね。ひとつのものに対して、細部までものすごくこだわる。それからクリエイティブな発想です。どちらも中国にはなかなかないものなので、これに中国の市場、それから中国の先進的なサービスと組み合わせることができれば、画期的なものができるのではないかと考えています。
――これは吉田さん、李さんのおふたりに聞きたいのですが、そのような前向きな関係を中国企業と結んでいくうえで、日本企業が変わらなければならない点はなんでしょうか?
李:やはりスピード感です。中国の発展はものすごく早いので、従来の日本の経営のやり方では追いつくのが難しい。「持ち帰って本社と検討します」では、検討している間に市場が変わって、そのやり方が通用しなくなってしまうかもしれない。そのくらいの中国市場というものは激しく移り変わるので、まずやってみないとわからないことが多いんです。
――実際、オプトグループも中国のスピード感に合わせて変わろうとしている?
吉田:変わろうとはしていますが、やはり日本の企業ではあるので、中国企業と比較するとどうしても遅くなってしまう思います。ただ、遅いといっても、いくつかのパターンがあります。一番ダメなのは、現地で「検討します」と言って時間がかかること。「やります」とまず言うことが大切です。やる前提で検討に入るのと、やること自体を検討するのとでは、中国企業からの見え方が違う。
「検討します」だと意思決定に時間がかかっていると思われる。でも、「やります」であれば、プロセスに時間がかかっているのだと説明することができるんです。ちょっとした違いですが、先方の納得感がまったく違います。