オウンドメディアをもっと身近に。 次世代型CMSツール“Clipkit”が500社に導入されたワケ

ラグル

ラグル株式会社(2015年9月設立)が開発と販売を手掛けるCMS(Content Management System)「Clipkit(クリップキット)」は、これまでに累計約500のサイト(2018年10月現在)で導入されている。CMSといえばオープンソースソフトウェアのWordPressをはじめ、多くの競合製品があるが、その中でClipkitが選ばれている要因は何か。同社CEO小川虎太郎氏とCTO宮前竜也氏にその理由と今後の展望について伺った。

選ばれる理由は「HTML編集を必要としない入稿画面」

――多くのCMS製品の中で、Clipkitが顧客に選ばれている理由はどこにあると思いますか。


小川氏:評価いただいている点はいくつかあると思うのですが、まずは入稿画面のUIだと思います。CMSの入稿画面はWordPressに代表されるようなHTML編集型のUIが多いのですが、ClipkitはHTMLを意識する必要は全くなく、原稿をライティングする感覚で編集することが可能な入稿画面になっています。これにより、入稿に関わる業務負荷が軽減されてサイト運用が楽になります。
Clipkit管理画面
Clipkit管理画面
一般のライターの方が容易に操作できるということで、サイト管理者から見て運用体制をどうするか、という点でも柔軟になったのではないかと思います。「HTML編集の知識がある」という条件が不要になったわけですから。あと、内部SEOをチェックするような管理も楽になったのではないかと思います。想定していたテキスト要素が入稿されていれば問題はなく、HTML記述までチェックする必要はなくなったはずです。


あと、Clipkitのリリース当初は、サーバインストール型のライセンス契約でご利用いただく形のみだったのですが、2016年4月からリーズナブルにご利用いただけるクラウド型(SaaS)のサービスを始めた点も大きかったと思います。
ラグル株式会社 代表取締役CEO 小川虎太郎 氏
ラグル株式会社 代表取締役CEO 小川虎太郎 氏
――HTML入稿も各社が工夫を施し、少しでも入力負荷を減らすUIを開発している中で、HTMLを全く意識しないUI画面に辿り着いたきっかけは何かありましたか。


宮前氏:入稿画面のUIを設計するにあたって、「一般のライターの方にも容易に使ってもらえるようにするには?」と考えていた中でヒントになったのは、いわゆるキュレーションメディアと呼ばれるユーザー投稿型のサイトでした。キュレーションメディアは、まとめ記事と呼ばれるように、あるテーマの情報を様々なWebサイトから引用して記事を作成するので、パーツを組み上げていくような感覚なのだということに気付きました。


私は、自分でWebサービスやパッケージソフトウェアを作って世に出す、というのを20年くらいチャレンジし続けてきているのですが、これまで掲示板、SNS、CMS、チャット等、いろいろと作ってきました。過去に開発したCMSパッケージは当時800本ほど売れたこともありました(笑)。


今回、これまでの経験の集大成として、性能面やセキュリティ面のことを考慮するのは当然として、できるだけ運用コストを抑え、効率的なサービスの運営ができるようにということも考慮して、アプリケーション設計とサーバーインフラ構成を考えました。
ラグル株式会社 ファウンダー・取締役 CTO 宮前竜也 氏
ラグル株式会社 ファウンダー・取締役 CTO 宮前竜也 氏
小川氏:サービスをご案内している際に「え、なんでこんなに安いの?」と質問されることもしばしばありますね(笑)。恐らくですが、WordPressに代表されるようなオープンソースソフトウェアのCMSでサイト構築のご経験があると、セキュリティ面やサーバー保守の対応で技術面のコストが掛かる想定なのだと思います。当社は、ソフトウェアを自社開発しているのと自社でサーバーを保守管理していますので、費用の考え方が異なる点も理由の一つかと思います。


――WordPressのようなオープンソース型との大きな差別化は充分にありそうですね。


小川氏:既に述べましたが、コスト面の考え方が異なるのは差別化ポイントの一つだと思います。オープンソース型のCMSは、ソフトウェアの保守や脆弱性対策は利用者自身が対応しなければなりません。よって、安定的に運用するためには技術者の工数を見込んでおく必要が出てきます。また、近年はクラウド型かどうかという事も大きく関係してくると思います。WEBサイトの運用にはソフトウェアのみならず、サーバーインフラの保守管理が必ず必要ですが、ここにも技術者の工数を見込んでおく必要があります。Clipkitは、ソフトウェアとサーバーインフラの両面でコストを最適化できることがメリットなのではないかと思います。

Clipkitは常に進化。ユーザーがより使いやすいサービスへ

――創業3年で累計500サイト導入とのことですが、この結果についてはどのように考えていますか。


小川氏:1年目で200件に到達し、その後は年間100~150件程度のペースで推移してきています。特に1年目は、キュレーションサイト構築の問い合わせが非常に多い時期と重なっていましたね。500サイトに導入していただき、ユーザーへの感謝の気持ちは当然ですが、まだまだこれから、もっともっと導入数を伸ばしたい、という気持ちも当然ながらあります。ただし、単に導入数を伸ばすという考え方ではなく、それと同じくらい品質の向上も大事にしていきたいと考えています。本当にありがたいことですが、ユーザーから様々なご要望を耳にします。


宮前氏:プログラマやソフトウェアエンジニアの仕事は、要件を満たすソフトウェアを開発する、という事がまずは必要なことではありますが、その根底にはお客様が本来必要なもの、喜んでもらえるもの、世の中に必要とされるものを作りたい、という想いがあります。ユーザーが多くなると、シビアに受け止めなければならないご意見やご要望も多々頂きますが、これは本当に貴重なものです。様々なユーザーの反応が感じ取れることは、非常にありがたいですし、やりがいのある環境だと思います。
小川氏:当初はキュレーションメディアを構築する案件がほとんどだったのですが、徐々にコンテンツマーケティングやオウンドメディアといった文脈での案件が増えてきて、求められる機能の幅が広がっていきました。すべてに応えることはできていませんが、私たちなりにご要望の頻度や重要度を検討しながら機能追加、機能強化を図ってきた結果がいまの現状かなと思います。ですので、これからもぜひご要望をいただきたいですし、それに応え続けることが大事だと考えています。


宮前氏:当初はキュレーションメディアを構築するために必要最小限の機能から始まりました。それから現在まで、平均すると月に2〜3回ペースで機能追加や機能改善がなされたアップデートの提供を続けています。クラウド型のサービスでは、常に最新版のClipkitをご利用いただけるようになっています。今後も継続的にリリースを行っていく予定です。


――最後に、Clipkitの今後についてお聞かせください。


小川氏:今のところですが、サブスクリプション型メディア向けの新機能群「Clipkit for サブスクリプション」をリリースする予定です。読者が有料記事を購読できたり、デジタルコンテンツの所有権を購入できたりする機能群になります。


宮前氏:サブスクリプション型メディアを構築したい、というご要望は当初からあったのですが、ようやく実現できる目途が立ってきた状況です。


小川氏:また、企業が採用を目的としたオウンドメディアを構築するオウンドメディア・リクルーティング分野のCMSとして、また企業のインターナル・コミュニケーションを目的とした社内メディア向けのCMSとしても積極的に提案を行っていきたいと考えています。


宮前氏:採用サイトや社内メディアは、社員さんが記事を作成される場合も多いと思いますので、記事作成の作業が分かりやすいClipkitを喜んでいただけると嬉しいですね。


小川氏:このように、ユーザーからの要望に基づいて機能の強化と品質の向上に注力しつつ導入数を伸ばしていき、最終的には一般的なCMSとして認知されることを目指したいです。また国内だけにとどまらず、海外のユーザーが利用しやすいように、UIの言語を切り替えられる設計(現在は、英語と中国語(簡体字))にもなっているので、海外展開の機会があればチャレンジしていきたいですね。

2018年12月5日

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