話題の若手起業家が渋谷に集結。DeNAマフィアが贈る「START Venture Festival 2019」の全容とは

ライトマップ

PROFILE

  • 鈴鹿竜吾(すずか りょうご)

    鈴鹿竜吾(すずか りょうご) 2008年にDeNAに新卒入社。新規営業開発部や新卒採用部に所属後2014年に独立。現在は就活イベントSVFの主催やSTARTBARの運営、採用戦略立案プログラムを提供する株式会社ライトマップの代表取締役社長、女性就労支援の株式会社アウローラの取締役も務める。

  • 中俣博之(なかまた ひろゆき)

    中俣博之(なかまた ひろゆき) 2006年にDeNAにアルバイト入社。採用統括、海外勤務等を経てゲーム事業部長等歴任。現在は障がい者支援の株式会社LITALICOの取締役、採用コンサルティングの株式会社ライトマップの取締役、マーケティング支援のフロムスクラッチの取締役等を務める。

  • 山口公大(やまぐち こうた)

    山口公大(やまぐち こうた) 2010年にDeNAに新卒入社。様々な事業立ち上げを行う。2015年から米IT企業Sprinklrの日本法人創業に参画し、Directorとして事業を牽引。現在はクラフトビール事業を展開するTRYPEAKS株式会社の代表取締役、採用コンサルティングの株式会社ライトマップの執行役員、不動産賃貸事業を展開する印IT企業OYOの日本法人のRevenue Head等を務める。

キャリアに関心がある大学生・社会人を対象としたベンチャーの祭典「START Venture Festival 2019」が、5月18日(土)に東京・渋谷で開催される。手掛けるのは、ヒューマンキャピタリスト業務を営む、株式会社ライトマップ。学生がキャリアを考えるための登録制バー「START BAR(スタートバー)」の運営元だ。経営陣はそろって株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)出身。共に新卒採用業務に励み、当時、「ベンチャー企業髄一の新卒採用力」と周囲に言わしめるほどの実力を見せつけた。
そんな彼らは投げかける。「誰もが自分にまっすぐキャリアを描けているのか」と。そのきっかけを余すことなく詰め込んだのが、本フェスティバルだ。
代表取締役 鈴鹿竜吾氏、取締役 中俣博之氏、執行役員 山口公大氏の3人に、フェスティバルの成り立ちやそこに込められた思い、見どころを伺った。(以降、敬称略)

START BARの誕生。DeNA新卒採用チームの3人が再び集まった

―皆さんは、DeNA時代に新卒採用を一緒に担当していたと聞きます。それぞれの配属の経緯から聞かせてください。
山口 「私は、新卒入社後に配属されたのが理由ですが、鈴鹿は異動願いを出してますね。」

鈴鹿 「ええ。私は新卒入社から2年半営業部門にいましたが、就活当時から新卒採用の人事たるものは、という理想像がありました。それを実現したくて上司に直談判して異動しました」

―中俣さんも別の部門から異動してきたのですか。

中俣 「そうですね。僕は企業買収・アライアンス部門からです。ある日、南場さん(南場智子氏・DeNA創業者)に呼び出され異動を命じられて……」

山口 「DeNAには当時、エース級のエースって言われる人が何人かいたんですが、中俣はその一人。『これから一緒のチームで働くんだ』って背筋がしゃんとしたことを覚えています」

―山口さんのエピソードは、会社が新卒採用を重要視していることがうかがえますね。そこからライトマップで再び合流されるわけですが……

鈴鹿 「そうです。私は、30歳で起業すると決めていたので、それを機にDeNAを退職し、ライトマップを立ち上げました。そこによく訪ねてきたのが中俣です。彼に新しい事業の相談をするうちに、一緒に始めようかという話になって。その事業が今回のフェスティバルの原型となる『START BAR』です」
START BAR
START BAR
中俣 「きっかけは、僕が学生時代にバーでアルバイトをしていたことにありました。バーの雰囲気やお客さんとの会話が大好きだったんですよ。それで、社会人になってからも、いつかやりたいと思ってはいたのですが、本職にするほどの勇気は無い。そんなことを鈴鹿に話しました。これが事業の糸口になりました」

鈴鹿 「バーを起点にビジネスモデルを考えるにあたり、新卒採用の知見は活かしたいと考えました。そこから学生専用のバーにしよう、と」

中俣 「ですが、学生はお金を持っていないので有料では集客できません。飲食は無料にする必要があると考えました。じゃあ、どうやって無料にするのか。スポンサーを募ろうか――途中から山口も加え、そんな話を重ねていました」

自分のキャリアとまっすぐ向き合える場に。START BARに込められた思い

ーその後、START BARは、2015年1月にオープンします。ここは、就職に直結する場というよりも、働くとは何かを問う場の趣が強い。いわば学生の意識の醸成に重きを置いていると聞きます。
鈴鹿 「そうですね。START BARは、学生に自分らしい意思決定のもと、自分の本当の人生を歩めるヒントを授ける場所を目指しています。これは、僕がDeNA時代に直面した課題がもとになっています。

新卒採用をしていると、毎年たくさんの学生と出会います。他社に就職する学生もいますが、個人的な付き合いは続けていたんです。彼らの多くは、就職から3年くらい経つと『仕事がつまらない』『あのとき、人生の選択を間違えたかもしれない』と、よく私にこぼしていました。これは、就活と就業のあいだに大きなギャップがあることを意味します。

学生は、どう考え、行動すれば自分のキャリアにまっすぐ向き合えるのだろう。それを実現できる場が必要なんじゃないか。これが、START BARの原点です」

山口 「私は、DeNA時代から鈴鹿のこの思いがピュアで共感してました。『自分なりに描くキャリアがあるはずの学生たちが、自分と深く向き合わず、就職後に後悔している。そういうのを無くしたいけれども就活はなぜか企業のほうが強い。それを変えたい』。鈴鹿は当時からそんな話をよくしていました」

―先ほど話に出ましたが、学生はSTART BARを無料で利用できるんですよね。その原資はどこから出ているのですか。

中俣 「立ち上げにあたり、ベンチャー企業の経営者に100万円ずつ出してもらいました。それが元になっています。当時、『15人くらいから集められれば、見通しが立つだろう』と話していたのですが、速攻達成できました笑」

―それぞれの経営者が即決した理由として、何が効いたとお考えですか。
中俣 「例えばの話ですが、新卒採用業界は、一般的には自社に来ない学生に会うのって就活イベントを介して学生と出会うのが主流だったんです。イベント会社に高い出展費用をかけて、学生のデータを集める。それで費用対効果を見ます。でも蓋を開けると、実際はイベントに一定割合で存在する優秀な学生がいまして、彼らはどこでも内定とっちゃうから、いわゆるイベント出展における「内定単価」は一律に見えがちという罠があります。

実態はみんなで奪い合いするんで、単価にする意味ないんですけど。これ無茶苦茶いびつです。だったら、間に業者を挟まず、それぞれベンチャー企業の採用ブランドを元気玉みたいにして集めて、ベンチャー連合軍で学生集めたらいいじゃんという発想です。コストは人件費と企業ブランド。自社で内定しなくても、他社で内定するかもしれない。みんなでリソースを集合させるんです。これが採用に力を注ぐ企業や経営者の共感を得られました」

鈴鹿 「大量に採用したいというより、本当に良い一人を採用したい気持ちもあるように思います。だから、START BARは採用の文脈で運営をしていません。それよりも、ユニークな学生が話す仕事観や人生観が社風とマッチするようなら採用してください、というスタンス。結果、良い採用につながる場合も多いのですが」

―START BARでは、どんなことが行われているんですか。

山口 「毎回コンテンツを用意しています。内容は、『キャリアの選びかた』『人生の見つけかた』『ロジカルシンキングとは』などさまざまですが、これらを会得できたなら、きっと良い決断をしてくれるだろう、という期待を込めています」

鈴鹿 「ただ、定員25人、週2回の営業なので、休業日も考慮すると利用できる学生は年間2,000人くらい。一方、就活人口は毎年50万人いるので、我々としてはもう少しインパクトを出したい。そう思って始めたのが、START Venture Festivalです。今年は、2016年、2017年に続く3回目の開催になります」
START Venture Festival 2017 の様子
START Venture Festival 2017 の様子

総勢40名を超える起業家たちによる、ベンチャーの祭典。見どころは?

―START Venture Festivalは、START BARの拡大版の位置づけなんですね。どなたの発案なんですか。

中俣 「私が『学生や若手社会人が来れるIVS(Infinity Ventures Summit)がやりたい』と、二人に提案しました。IVS以外にもベンチャーの経営者を対象にしたカンファレンスがいくつかあるんですが、どれも刺激的で。実は経営者じゃなくて、若手に聞かせたいと思うプログラムも多いんです。でも経営者じゃないから参加できない。だったら学生や若手社会人向けにつくろう、と考えたのが発端です」

―プログラムを拝見しましたが、濃い内容ばかりですよね。どのように企画したのでしょうか。
中俣 「ニーズを汲み取っています。『商社に行きたい、外資に行きたい、大手なら安心、広告代理店も気になる』。そんなある意味ミーハーとも思える内容から切り込んでます。

ここには、現状の就活に一石を投じたい思いもあります。例えば「OB訪問」。誰もがみんな、社会に出たら活躍したいんです。でも、OB訪問などで出てくる人って、その会社のエースではなく、平均的な人にあたる確率が高い。そうなると、その会社のアップサイドよりダウンサイドを評価してしまう。結果、「リスク回避型」の思考に気づかぬうちになってしまいます。活躍したいなら、活躍している人以外ぶっちゃけ評価する必要はないわけです。

だったら、変なOB訪問なんかしないで、START Venture Festivalに出ている人の話を聞くほうがよっぽどいい。そう考えているので、登壇者もかなり厳選しています。私にとっては素晴らしいスピーカーばかり揃えたので、レベルの高い話をお届けできると思っています」

―けれども、「ベンチャーには関心がない。自分は大手志向だ!」という学生のなかには、自分に関係あるのだろうか、と構えてしまう人もいるように思います。そういう人たちが足を運びたくなる落としどころはありますか。

中俣 「テーマはベンチャーですが、入口は色々揃えています。プログラムをぜひ見てください。非常に恣意的なんですよ笑。大手広告代理店出身だけれども今はベンチャー。商社出身だけれども今はベンチャー。外資系出資だけれども……というように、すべてベンチャーに帰結しているんです。恣意的すぎます笑」

山口 「学生にとっては気になるところだと思います。実体験を持って大手とベンチャーを語れる人が話せば信憑性高いですし。ぶっちゃけトークも多く聞けるのが、このフェスティバルの醍醐味です」

中俣 「世の中の大多数のカンファレンスは、出展企業の人事が登壇します。そこで、『ウチの会社、すごいでしょ。最高だよ』って話でつまらない。僕たちの場合、登壇者の多くが友人や仕事仲間。登壇者同士も友達だったりする。だからポジショントークは、ほぼゼロなんです。起業家の本音を聞ける、またとない機会になると思いますよ」

―なるほど! それは確かに気になります。ところで過去の参加者からはどのような声が聞こえていますか。
山口 「金沢からわざわざ参加してくれた女子学生がいました。彼女はその後、出展企業の一つに入社したと、報告のメールには『あのときベンチャーの世界に触れられたことが、自分の進路を決めるきっかけになった』と書いてありました。START BARで出会った男子学生も、フェスティバルを機にやはり出展企業に入社しています。彼はいま、スポンサー協力の依頼で営業に行くと、担当者として出てきます。これらは一例ですが、間違いなくキャリアを考えるきっかけにつながっていると感じます」

鈴鹿 「登壇者からは『エネルギーがみなぎっていた』という声が聞こえています。 学生や社会人が参加できるセッションって、国内ではそうそうないんですよ。だから、来場者も本気です。質疑応答になるとバンバン手が挙がる。その熱気を心地よく感じてくれる人は多いようです」

―まさに、参加者、登壇者ともに本気になれる場ですね。ちなみに社会人の参加もOKなんですよね。

鈴鹿 「もちろんです。特に若手社員と呼ばれる層からの申し込みは非常に多い。登壇者の話を聞けることは、実は学生よりも嬉しいんじゃないでしょうか。たとえば、SHOWROOMの前田裕二さんは学生の頃から知っているけれど、リンクアンドモチベーションの麻野耕司さんは就職後に知ることになるって人も多いでしょう。名を知られるゆえんを知るために足を運ぶケースはあると思います」

山口 「とはいえ、来場者を絞っているわけではありません。高校生もビジネスパーソンも大歓迎です」

中俣 「足を運ぶか迷っている人は、ロンブーの淳さんだけでも見にくるといい。そうやって踏み出しやすいラインナップにしています。高尚な考えなんて不要です。渋谷でアクセスもいいし、入場無料でお金もかからない。きっかけは何だっていい。けれども、気持ちを揺さぶる何かに必ず出合えます」

―最後に、来場者に今回のフェスティバルをどんな機会にしてもらいたいですか。それぞれお聞かせください。

山口 「まず我々が思いっきり熱狂して、その熱量を届けたい。協力したいと集まってくれた学生が50人いるんですが、彼らはすでに気持ちを燃やし始めてくれています。この熱狂が会場で最高潮にのぼることを楽しみにしています。フェスティバルを機に、学生が変わってくれたら最高です」

中俣 「僕は“初速の物差し”を伸ばす機会にしてもらいたいですね。就活では、色々な場所で色々な人の話を聞くことになると思いますが、そうやってキャリア形成がされていくうえで物差しは、多ければ多いほどいいですから。

某社のMVP受賞者の話はびっくりするくらいの人数がいますが、僕らのフェスティバルに登壇するのは、その中のMVP of MVP。その人たちの話を初速の段階で聞いて、『自分の物差しは、色々測れるな。長めにしておいてよかったな』ってなると、その後に入る情報を鵜呑みにすることなく、取捨選択できるようになる。そんな場として活用してもらいたいですね」

鈴鹿 「自分らしく、ポジティブに意思決定できる人が増えたらいい。この言葉に尽きます。我々がそう願う気持ちを、このフェスティバルで感じ取ってもらえると嬉しいです」

2019年4月25日

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