今すぐできる!女性による、女性の、女性のための防犯対策
セコムでは2007年に当時では珍しかった、女性の防犯サポートに特化した「働く女性の安全委員会」を立ち上げた。広報部の活動と兼任で委員会をリードする寺本美保さんに、物騒な事件も多い昨今、女性が安心して暮らすためには何が必要か?現代の防犯対策について伺った。
セコム株式会社 広報課 寺本美保さん
きっかけは働く女性としての当事者意識から
「防犯対策」と言えば元々は「こどもを守るため」のものという認識が強かった。しかし、その認識を改めたのがセコムが立ち上げた「働く女性の安全委員会」の存在である。委員会の設立背景には、働く女性ならではのメンバーの強い想いがあったと寺本さんは言う。
「委員会が設立された2007年当時は、女性の社会進出が進むと共に、働く女性を狙った犯罪が増加していました。私自身も、会社帰りの女性が被害に遭ったニュースをみて不安を感じたり、営業の現場でお客様から直接相談をいただく機会も増えてきたんです。
そんな状況に対して、セキュリティのプロとして何かできないか?という想いが社内で高まり、社会貢献(CSR)活動として委員会が立ち上がりました。」
「“女性のため”に特化した発信は業界として初めてだったので注目されました。まずはじめに行ったのが、女性向け防犯対策本の出版です。当時流行っていた動物占いをちょっと真似したり、どうしたら女性に手に取ってもらえるか、メンバーで議論を重ねました。そして本の出版を機に、企業や大学などの方からの依頼で女性向けの防犯セミナーを行うようにもなりました。その後ウェブサイト「女性のためのあんしんライフnavi」 も立ち上げ、サイトを通じて情報発信を行いながら、企業や地方でのセミナー開催などを行っています。」
今年で設立9年目になる委員会は様々な防犯対策を発信し、現在公開されているコラムの本数は200本を超える。そんな中でも、まず気軽に取り組めることは何だろうか?それは「意識を変えること」だと言う。
「例えば犯罪のニュースをみて、怖い!と思うだけでなく、もし被害者が自分だったら?と考えてみることが大切です。例えば実はひったくりの被害者は9割が女性なんですね。男性に比べて力が弱いこと、そして1つのかばんに貴重品が全て入っていることが狙われやすいポイントになっています。」ではどのような対策をすればいいのだろう?
「ひったくり対策には建物側にかばんを持つ、防犯ブザーをかける、などがありますが、最も重要なのは、スマホで文字を打ったり音楽を聞きながら歩く“ながら歩き”をしないことです。歩くときは周りを見ながら歩く、そう意識するだけで周囲の音や気配に気づきやすくなりますし、犯人にとって狙いにくい印象にも繋がります。」
現代に必要なSNSマナーと防災対策
時代の変化に応じて防犯対策も変わる。委員会発足から約10年で、発信する内容に変化があった点が2つあるという。
1つはSNSなどのネット上で情報を公開するリスクについてだ。
「例えば、今○○カフェにいます!とネットで公開することは、その時間家にいないことを意味するので、空き巣やストーカーに向けて有益な情報を発信することに繋がります。なので公開するときは時間をずらしたり、公開範囲を限定することが大切ですね。
また、ネットの情報は公開すると完全に取り消すことが難しいので、自分が被害者にならないことはもちろん、加害者にもならないための配慮も必要です。」
もう1つの変化は、震災をきかっかけに防犯だけでなく、防災対策にも力を入れて発信するようになったことだ。防災対策の基本は防災バック(非常持ち出し袋)を用意することから始まるが、寺本さんはバックの中身や用意する数も大切だと言う。
「防災バックは水や食料に加え、女性は生理用品なども入れておく必要があります。災害時は生命の維持が優先されるので、それに関わらない物資はどうしても後回しになってしまう。
なので常備薬や衛生用品等も各自で用意しておくべきものですね。さらに万が一、外出先で被災した時のことを考えると、自宅だけでなく会社や普段使いのかばんにも防災グッズがあると安心です。会社には自宅同様の防災バックに加えて、万が一自宅まで徒歩で帰宅しなければならない場合に備え、使わなくなったスニーカーを保管しておくのがオススメです。
女性が持ちやすいように様々な形に進化した防犯ブザー
1つで防災・防犯どちらにも使える防犯ブザー
「女性のためのあんしんライフnavi」では、自社開発以外の商品も数多く紹介している。とくに防犯ブザーは女性は持ちやすいデザインも数多くあり、中には「助けて―!」と音声の機能がでるものも!
もちろん自社商品で女性の安全を守ることにも抜かりはない。セコムと言えば自宅に防犯センサーを取り付け監視し、何かあったら駆けつける「ホームセキュリティ」が有名だが、屋外での防犯をサポートするためのグッズも開発している。中でも、GPS機能を持った位置情報提供システム「ココセコム」は、長く使われ続けるヒット商品だ。
「『ココセコム』の強みは、非常通報ボタンを押すとセコムへ通報がいき、万が一の時は全国に2,830ヶ所ある緊急発進拠点からセコムの緊急対処員が現場へ駆けつけることですね。また、専用ページにアクセスするだけで居場所の確認ができるので、ご家族で心配な方がいるときのお守り代わりとして使って頂けたら、という想いから開発された商品ですね。」
ココセコムを使っての貢献事例数は過去7,852件(2016年3月末現在)、1日の位置情報アクセス数は14万件にのぼる。 数値の高さから、緊急時に限らず日常的に利用されていることがわかる。
やりがいのない状況を目指して
セコムにはあらゆる不安に対処できるサービスがある。そしてそれはセキュリティのプロとして、あらゆる犯罪や災害に向き合ってきたからこそ生まれたものである。寺本さんへ、安全をサポートする仕事のやりがいについて聞くと、意外な答えが返ってきた。
「もっとご家族や友人、女性同士でも気軽に情報を共有し合って、お互いにサポートができる状況に貢献できたらと思います。なのでセミナー参加者の方から「今日聞いたことを友達にも話します!」や「しっかり防犯対策します!」と言われると嬉しいですね。今後も委員会として、誰かに話したくなるようなコラムを更新したり、時代の変化に応じた情報を発信できればと思っています。」
犯罪や災害の被害に遭わないためには、自分で自分の身を守ることが基本だ。そのために個人の意識を変えること・身近な人と防犯について話すことは、今日からできる立派な防犯対策である。しかしそれでも不安があるときは、無理せずセキュリティのプロの力を頼りにして欲しい。セコムには暮らしの安心をサポートできる実績と、それを支える強い意志がある。
文:並木香菜子 写真:林孝典
セコム