成果報酬型ネット販売代行サービスで、見えてくる新たな世界とは

ソウルドアウト

ECビジネスは、簡単に始められる反面、利益を大きくする為には多くの努力が必要である。商品の開発、デザイン、撮影、サイト内の導線づくりなど個別商品ごとにセオリーと呼ばれるものが存在する為、想像以上に参入障壁は高いと言われている。実際ECサイトを始めてみたものの、売り上げがうまく上がらないといった話や、店舗の売り上げ程のインパクトにならないことも。そうした中、ソウルドアウト株式会社では「成果報酬型ネット販売代行サービス」を立ち上げた。ECサイトの戦略設計・構築・集客~CRMの一切を、ソウルドアウトが成果報酬で代行するサービス。非常に難易度が高いこのビジネスをどのように実現するのか?同社EC支援本部本部長の浅見剛さんに詳しい話を伺った。

(1) 日本で唯一の事業モデルの内容とは

――まずは事業モデルについてお聞かせ下さい

「“成果報酬型ネット販売代行サービス”は、中小・ベンチャー企業が新規事業として新たにECサイトを立ち上げる場合や立上げたがうまく運用しきれていないといった場合に、成果報酬型で丸ごとお引き受けさせていただくサービスになります。」(浅見さん)

――事業会社側にはどのような課題があったのでしょうか?

「ECサイトは構築すれば人が集まり、売り上げがあがるというものではないため、黒字転換まで待てずにクローズするというケースも多く、また何とか踏ん張って累積で収益化した場合でも2-3年かかったということも多くお見受けしております。これはEC市場が伸長している反面、競争環境はより厳しくなっている為に収益を得ることの難易度が一気に高まってきているからです。また、最近ではECマーケターの人材難がさけばれている通り、知見をもった人材が流出してしまい運営継続が危ぶまれるというケースも増えてきているように感じています。これらはいずれも中小・ベンチャー企業で発生しています。さらにいえば、事業会社側のモデルが製造・卸や実店舗販売がコアであった場合、素晴らしい商品を保有しながらネット販売にコスト、リソースともに割けないといった実状があったりします。」(浅見さん)

――なるほど。これらの課題に対してどのようにサービス提供されているのでしょうか?

「ソウルドアウトでは、EC特化の業界歴10年のベテラン実務運用者を中心に組織化を行い、ハンズオンでご支援をさせていただく体制を構築しています。それぞれが日本を代表するECサイトの支援を行ってきた経歴をもっており、またスタートアップの段階から支援し、成果をあげてきた実績も豊富です。このような実務運用者を核にソウルドアウトをはじめ各グループ会社で積み上げてきたナレッジやソリューションを駆使してプロジェクトを遂行していきます。ユニークポイントとしては、やはりECサイトの構築、運用、販促といった全般の費用をソウルドアウトが負担する、成果報酬型モデルとさせていただいている点となります。これによって人材がいない、投資しきれないといった課題に向き合いながらお取り組みを始めることが可能となっています。」(浅見さん)

――他の企業が行っているECサイト支援のモデルとは具体的に何が違うのですか?

「よくあるECサイトの運用代行サービスは、事業主側がECサイト全体の戦略を設計することを前提にしており、サイト制作や運用保守、プロモーションの運用業務などを部分的に請け負うといったものが多いのではないでしょうか?EC事業全般をお任せいただき、且つ費用含め成果にコミットさせていただくという点は他にはないモデルであると思います。もちろんフェーズによっては部分的なご支援が最適なケースもあり、ソウルドアウトでもそのようなご支援も行わせていただいていますが、お取引いただいているお客様からは、“成果報酬型ネット販売代行サービス”によって戦略からマーケティング遂行までを任せられるので本来注力すべき商品開発や実店舗運営に集中できるという点で評価いただいております。」(浅見さん)

――広告会社に依頼をするのとは、どういう違いがあるのでしょうか?

「一般的に広告会社では、お客様の要望にあった広告を用意し、その出稿金額の一部を手数料としていただいています。つまり広告予算に連動するビジネスモデルです。一方で“成果報酬型ネット販売代行サービス”では、お客様の売上が上がらないと、私たちも収益が出ません。つまり知見と時間を広告の”出稿管理”ではなく、“お客様の成果”にフォーカスできます。」
――実際の成果はどのようにでているのですか?

「とある健康食品のメーカー案件では、半年で売り上げが倍増し、1年後には売り上げを400%まで伸ばすことができた実績があります。他にもアパレルECにおいて目標であった前年比180%成長を達成した案件や、ニッチな商材を取り扱う専門ECにおいて月商10数万円程度であったところから月商数百万レンジへと数10倍以上引き上がったような成果事例もでてきました。ちなみに最近では物販ではなく“サービスEC”でも成果事例があがってきました。もちろん成功ばかりではありませんが、当社独自の事前審査基準をクリアしたお客様に対してのみサービスをご提供していることもあり、現時点での成功確率は7割を超えています。」(浅見さん)

――サービス提供開始までどのぐらいの期間がかかるのですか?

「状況によりますが、ゼロからECサイトを立ち上げる場合は、最短で半年、長いと1年ぐらい準備に時間を要します。既にある商材をもとにECサイトを構築するだけではなく、商材そのもののリニューアルやパッケージデザイン、配送時の同梱物など含め徹底的に準備する為です。例えばとある健康食品を扱うECサイトの案件では、メイン成分の選定から含有量の吟味など深く踏み商品開発段階からお手伝いしました。より大きな成果を上げるために、お客様とともにチーム一丸となって取り組んでいます。結果、多くのお客様の案件を同時にご支援することは難しく、現在のキャパシティを考慮して20案件を上限にサービスを提供しています。」(浅見さん)

――どのような商材を扱うお客様が多いのですか?

「よくお問い合わせをいただくのは、健康食品・化粧品などの単品通販のお客様です。そしてアパレル・雑貨を中心としたメーカー直販の多品種型通販のお客様からのお問い合わせも多いです。また私たちは北は北海道から南は沖縄まで合計21の営業拠点を設けていることもあり、地方の企業様からも多くのお問い合わせをいただいております。特にメインが卸業で、新規事業として直販をしたい、というお客様との相性は良いですね。」 (浅見さん)

(2)支援会社がリスクを取ることでWINxWINな関係に

――なぜネット販売代行サービスを開始したのですか?

「私たちはベンチャー・中小企業専門のWebマーケティング支援会社として、“商品は非常に素晴らしいのに、道半ばで運営を休止するECサイト”を何度も目の当たりにしてきました。初動収益が沈みがちなECビジネスにおいて小資本で開始した場合、このP/Lの沈みに耐えられずに撤退するケースです。この初動の投資、リスクを弊社でもたせていただければ、その素晴らしい商品の流通拡大を中長期でご支援できるのではないかと考えたのがきっかけでした。また、広告代理でお請けする場合、どうしても広告予算の大小によって投下できるリソースに限界があり、これを売上連動型へとシフトすることで弊社サイドの収益率の改善が見込め、しっかりと腰を据えて成果に向き合えるものと考えたからです。」(浅見さん)

――なるほど。では、ソウルドアウトがこのサービスを提供できる理由はなぜですか?

「ソウルドアウトがここまでリスクを取って入り込めるのは、“中小・ベンチャー企業の素晴らしい製品を地方から全国へ届けていく”という理念に共感したメンバーが多く在籍しているからです。私自身も以前は中小アパレルメーカーで事業者サイドを経験してきましたから、中小企業のリアルな課題も理解しつつ、オプト、ソウルドアウトの2社に在籍しWebマーケティングの技術を磨いてきました。中小特化のWebマーケティング支援に特化してきたソウルドアウトに蓄積されてきたノウハウとソリューション、そして人材・組織力があるからこそ、このサービスを提供できるものと考えています。」(浅見さん)

(3) 将来的にはソウルドアウトもお客さんも、より大きくなるように

――本モデルの将来的な目標をお伝えください

「まずは現在のお客様の売り上げの最大化が、一番の目標です。このビジネスモデルは、人員を増やし、お取引先数、商品取扱数が増えれば、自然に拡大できるかというとそうではありません。リスクが伴う分、1社1社の事業者、それぞれの商品に向き合い、適切なPDCAサイクルを回して成果を積み上げていくことが重要だからです。その上で、いずれはこのモデルをスタンダードな支援形態とし、代理業から成果請負業”パフォーマンス・エージェンシー”へと変化していきたいと考えています。」(浅見さん)

――EC業界のトレンド変化にはどうやって対応していきますか?

「原理原則は変わらないものと考えていますので、旬なバズワードに惑わされることなく愚直に目の前の課題に向き合っていきたいと思います。一方でユーザ動向、行動変化は敏感にキャッチアップし続け、これだと感じる新しい施策には常にチャレンジしていきます。直近ではLINE@に注力しており、一般的なCRM施策としての活用に留まらず、新規ユーザ獲得施策にと活用幅を広げていっています。あくまでもユーザの動向を軸にそれぞれの商材に適した施策展開を実行していきたいと考えています。(浅見さん)

――ライバルや、ベンチマークとしている企業はありますか?

「ありません。そもそもライバルという考えはなく、EC支援事業を行う会社さんは全てパートナーであると考えています。現在でも私たちがリスクを背負わせていただいた上で、さまざまなパートナー企業の方々のお力添えをいただき成果創出に向けて、一緒に走らせていただいています。

また、我々自身がまだ道半ばという状態ですので大きなことは言えませんが…、本ビジネスモデルはいずれにせよ参入障壁は高いものと考えています。本モデルを遂行するには専門知識をもった職人だけではなく、統合的な知見を有した人材がいなければ成立しません。何よりも短期的な収益だけを見れば代理事業にフォーカスしたほうがよいですから、“成果報酬型ネット販売代行サービス”で地方や中小企業が持つ素晴らしい商品をITとWebマーケティングの力で多くの人に届けていきたいという基本理念をぶらさずに持っていないと継続できるものではないかと。ソウルドアウトは経営陣はじめ全メンバーでこの理念を共有できている点が唯一無二の強みであると考えています。」(浅見さん)
構築から集客、CRMなどを一括で代行する成果報酬型のサービス。リスクがありつつも、挑戦していきたいというスピリットがソウルドアウトには存在する。今回紹介した成果報酬型ネット販売代行サービスに限らず、多くの中小企業者に寄り添うサービス予定されているそうだ。ソウルドアウトを参謀とした中小企業の逆襲が今から楽しみで仕方ない。

2017年9月19日

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