−−3つめの「画像判別ソリューション」は、主にモノづくり産業での利用を狙ったツールですね。
これは、もともとソニーの生産現場において組み立てラインの検査に使われていた技術を応用したもので、撮像した画像を数値化できないような「具合」をAIを用いて判別できるようにしています。
例えば、設計図でサイズが規定されているものは従来の画像処理で誤差を判別できますが、パンの焼き加減のように数値化が難しいものの判別は従来の画像処理だけでは実現できません。それに対して、画像判別ソリューションでは良い例と悪い例の画像を分類して「具合」を学ばせることで、数値化できないものでも判別が可能になります。
−−不良ロスを減らせれば、結果的に生産コストのダウンにもつながりますね。
そうですね。その上、この画像判別ソリューションは遺伝的アルゴリズムという技術を使うことにより、ディープラーニングを用いた他の画像判別ソリューションと比べても学習用の教師データが圧倒的に少なくて済むというのも利点です。
一般的にディープラーニングの世界では数万単位の教師データを読み込ませることが必要になりますが、当社の画像判別ソリューションは良い例と悪い例の画像をそれぞれ100個ずつ読み込ませるだけで機械学習を完了することができます。日本の製造業はどの企業も品質が高く、そもそも悪い例の画像を集めることが大変ですから、ここも大きなメリットといえますね。
−−AI事業室の取り組みがよくわかりました。最後に今後の目標や構想を教えてください。
Neural Network ConsoleとPrediction Oneについては無料セミナーを随時開催しており、まずはユーザーの数を増やしながら、オープンな世界の中でよりよいサービスの提供を目指していきたいと考えています。画像判別ソリューションについてはお客様の課題を伺いながらソリューションの幅を広げていきたいと考えています。
また、その一方で、現在は汎用的なサービスがメインになっていますが、いずれは様々な業界のニーズを探りながら業界特化型ツールの開発・提供にも乗り出し、汎用型と業務特化型の両極でサービスを届けられたらと考えています。
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