ウフルは、IoT事業を核とし、エッジとクラウドをつなぐIoTオーケストレーションサービス「enebular(エネブラー)」(
https://enebular.com/ )を用いて、IoT事業を実現するために必要な幅広いサービスを提供しています。現在の機能は、完全無料で利用できるサービスとなっていますが、2018年1月からは有償サービスの提供開始を予定しています。
このウフルのプロダクト開発ユニットを統括する、専務執行役員CTOを務める古城篤氏と、プロダクト開発本部の本部長でエッジデバイス開発アーキテクトを務める竹之下航洋氏に、ウフルがIoTに取り組む背景や将来について大いに語っていただきました。そのインタビューの模様をご紹介します。
(左)株式会社ウフル プロダクト開発本部 本部長 竹之下航洋氏 (右)株式会社ウフル 専務執行役員CTO 古城篤氏
ウフルが積極的にIoTに取り組むことになったきっかけ
――現在ウフルでは、IoTオーケストレーションサービスであるenebularや、スマートフォンとパソコン、そしてIoTデバイス間でのデータのやり取りを容易に実現する「Milkcocoa(ミルクココア)」など、IoT関連の事業を積極的に展開しています。このようにIoTに取り組むようになった背景を教えてください。
古城氏:まだIoTが話題になる前の2012~2013年頃に、ある受託案件で陸上風車に取り付けたセンサーのデータを扱うシステムを開発することになりました。当時はビッグデータ解析に注目が集まっていて、僕は単純に大量のデータが扱えることに面白みを感じたのですが、実際に開発を進めていくとOT(Operational Technology)における課題も見えてきたんですね。それに対して、ITのテクノロジーを活用することで効率化できるんじゃないか、あるいは最適化できるんじゃないかと考えるようになりました。それがIoTの領域に踏み込むことになった大きなきっかけの1つです。
竹之下氏:僕は組み込み業界から転職してウフルに入社したのですが、IoTという言葉を最初に聞いたときは「何番煎じなんだ」って思いましたね。もともと1970~1980年代にかけてユビキタスという概念が広まり、その後デバイス同士をつなぐM2M(Machine to Machine)が広まっています。たとえば自動販売機などはすでにほとんどネットワークにつながっています。それとIoTは何が違うんだって思いましたよね。
古城氏:まだ竹之下が以前の会社に勤めているとき、我々が開発したenebularを紹介したらすごく気に入ってくれたんですよね。
竹之下氏:そのときは、組み込み用途で開発した製品をIoT向けに展開しようとしていたんですね。ただ、組み込みの技術だけではIoTはできないんですよ。ネットワークやクラウドも必要で、1社ではできないなと考えていたときにenebularのことを知って、それを使わせてくださいって(笑) 組み込み業界にいた人間からすると、クラウドのシステムを使うのは大変なんですよ。それが簡単にできるのは面白いなと思いました。
カルチャー/バックグラウンドが違う2人のコミュニケーション
――古城さんと竹之下さんはそれぞれクラウドとエッジのそれぞれを担当されているわけですが、サービスやプロダクトの開発において意見が食い違うことはありますか。
古城氏:カルチャーが違うっていうのはありますね。僕たちはどちらかというとスピード優先ですが、竹之下の領域から見ると「それで本当に品質は大丈夫なのか」っていう不安がある。
竹之下氏:確かにそれはあります。組み込み領域では1回失敗すると、本当に大変なことになってしまうので、やっぱり品質を担保したいという気持ちはあります。ただ、品質担保のためにスピードが低下してしまうと勝負に勝てないわけです。それでスピードと品質をどうバランスさせるかを一緒に考えていくと、カルチャーが違ってもバッティングするようなことはそれほどありませんね。
古城氏:そういった領域の違いよりも、むしろ昔のことにこだわっていて、「これはこういうものだ」などと決めつけてそこから進化しない。そういった自分のカルチャーに閉じこもっている人だと議論がヒートアップするかもしれません。
竹之下氏:まさにそうですね。特に昔の組み込み領域は使えるリソースがごくわずかしかなかったため、さまざまなノウハウを駆使して頑張っていたんです。そうやって蓄積したノウハウはIoTの領域で生かせるんですが、そういった人たちは考えが凝り固まっていることが多い。これまでこうやってきたから、次もこれが正しいと思うんですね。1つのデバイスを作るのに何百万円もかかる方法もあれば、何十万円でできてしまうやり方もある。だけど何百万円の方法こそ正しいと考えてしまうと、高いものしか作れなくなってしまう。場合によっては、壊れやすくても構わないこともあるんです。そういう考え方ができないと、今の時代は厳しいですね。
プロダクト開発のキーパーソン2人に聞く「ウフルってどんな会社?」
――竹之下さんは約1年半前にウフルに転職されたとのことですが、実際に入社して驚かれたことはありますか。
竹之下氏:1番驚いたのは、社員数が増加する勢いですね。ウフルに入社してそれほど時間は経っていませんが、もう古株に入りそうになっている(笑)。それだけ社員が増える背景には、IoTで勝負を仕掛けたいという思いがあります。ウフルにはビジネスコンサルティングチームもあれば、我々のようにプロダクトを開発しているチーム、インテグレーションしているチームがあり、さらにデジタルマーケティングやクリエイティブのチームもあります。本当の意味でのIoTを実現するためには、これだけ多種多様な人材が必要だったということです。
――IoTという言葉を聞くと、デバイスの可視化や故障検知をイメージする人が多いと思いますが、それだけではないということですね。
竹之下氏:確かにそういった領域も大切ですが、そこだけにとどまっているとIoTの本当の価値が出てこないと考えています。取得したデータを流通させて売買し、マーケティングに積極的に利用するという方向で考えると収益向上になるので、コスト削減のような限界がないんですね。そちらの方にIoTの未来があるのではないかと考えていて、そうした新たなビジネスへのチャレンジもウフルであれば全方位でサポートできます。
――IoTの領域以外で、ウフルの特長はありますか。
古城氏:多様性がある会社だと思います。竹之下が話すようにさまざまなチームがあり、それぞれにバックグラウンドの異なる人たちが在籍している。外国人の方も少なくありません。このように、さまざまな象限の人たちがいるのは面白いところだなと思っています。
ウフルで働くことで得られるさまざまなメリット
――エンジニアがウフルで働くことのメリットを教えてください。
古城氏:ウフルは新しい技術を積極的にキャッチアップする会社で、たとえばenebularやMilkcocoaも国内ではまだ採用例が少ないNode.jsを使っています。こういった新しい技術に積極的にチャレンジしたいと考えている人には働きがいのある職場ではないでしょうか。
竹之下氏:あと、ウフルでエンジニアとして働いていると、本当の意味でのフルスタックを経験できますよね。回路設計をしている人から組み込みのファームウェアを開発している人がいる一方で、最新のクラウドテクノロジーにチャレンジしているエンジニアもいます。その人たちと仕事をしていれば、IoTの全体像が分かると思います。まさにフルスタックです。
古城氏:インターネットで検索しても情報が出てこない、最先端技術を経験できることもエンジニアにとっては魅力ではないでしょうか。あまりにも新しい技術なため、インターネット上にも情報がないんです。自分で調べる、自分で考えるしかない世界があるんですよ。そういったこともウフルなら経験できます。
――最後に今後の目標を聞かせてください。
古城氏:ウフルとしてキラーコンテンツを持ちたいですよね。さまざまな事業体があるので、それが何になるのかはわかりませんが、何年後かには「ウフルと言えばこれでしょう」と言ってもらえるものがほしいなと思っています。僕自身としては、enebularがウフルを代表する存在になってくれれば嬉しいですね。
竹之下:IoTの世界であればデータ収集するところから始まり、次のその可視化、そして自動化を実現するといったように、技術には進化の順番というのがあるんですね。それで自動化で終わりではなく、その次の世界として最適化があると考えています。ウフルのキーワードで言えば「自律」「分散」「協調」なんですが、さまざまなデバイスやシステム、サービスが自律的に動いて、それぞれが分散して存在しつつ全体として協調して動作する。そういう世界をenebularを使って実現していくことが目標です。
――今後、enebularでIoTの世界をどのようにリードしていくのか、ウフルのこれからのチャレンジに注目したいと思います。本日はありがとうございました。
◆エッジとクラウドをつなぐIoTオーケストレーションサービス「enebular(エネブラー)」
公式サイト:
https://enebular.com/
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