2019年8月6日

飲み継がれていくお茶の価値と可能性を広める 伊藤園の使命と展望とは

伊藤園

PROFILE

  • 株式会社伊藤園 マーケティング本部
    緑茶飲料ブランドグループ ブランドマネジャー 安田哲也
    「お~いお茶」を中心に、緑茶飲料ブランドのコンセプトから味、デザインに至るまですべてを統括。
    「お~いお茶」の品質チェックは毎日欠かさず行い、更なるおいしさを日々、追求している。

日本人に馴染み深いお茶は、アメリカの一流企業が集まるシリコンバレーで、気分をリフレッシュさせ仕事の効率をよくする「クリエイティブサポート飲料」として愛飲されている。
お茶は単に”喉を潤す”ものにとどまらず、そのスッキリした味わいや香りによってリフレッシュ効果を得られるなど、シリコンバレーで働く人がその効果を実感する人が多いように、日本人には気づけなかったお茶の価値や可能性がある。
人々の「ライフスタイル」や「ニーズ」に合わせて、常に挑戦と進化をし続けて来た伊藤園は、「世界のティーカンパニー」を目指し、お茶の魅力を伝える活動を続けている。今回はお茶の持つ魅力と可能性について、マーケティング本部 緑茶ブランドグループの安田哲也ブランドマネジャーにお話を聞いた。

アメリカ・シリコンバレーでも受け入れられた「お~いお茶」の魅力

―――「お~いお茶」は、国内緑茶飲料市場のシェアNo.1と、多くの方々に愛されている緑茶飲料であり、海外でも30ヶ国以上で販売されるなど、その人気は世界中で高まっています。そんな中、Google社やTwitter社など多くの先端IT企業が集まるアメリカ・シリコンバレーでは「お~いお茶」が福利厚生で導入されているとのことですが、その理由は何でしょうか。
安田氏「アメリカではお茶といえば加糖の甘いものが主流でした。しかし近年、健康への意識が高まり、お茶を無糖で飲む方が増えてきました。さらに、デカフェやカフェインレスを好む方が増える中、コーヒーの代わりに緑茶に含まれるカフェインやカテキンで気分をすっきりとさせたいと考える方も増えてきています。
そんな中、我々伊藤園は日本の文化のひとつでもある「お~いお茶」を世界にも広めていこうということで、ニューヨークに拠点を構えてチャレンジを続けてきました。」

伊藤園の「北米ビジネスマンの飲料実態調査」によると、「仕事中に緑茶を飲用する頻度はどのくらいですか?」との問いに対し、約2人に1人が仕事中に緑茶を1週間に1回以上飲むという結果も出ている。

安田氏「アメリカで緑茶を楽しむ方の飲み方としては、朝出社前に購入して、仕事中にデスクに置いて飲んだり、ランチタイムに飲んだりしています。北米のビジネスマンは緑茶を飲むことで頭や心を切り替えること、集中力を高めること、気分がさえる・スッキリすることなどを期待しており、実際に79.3%※の方が緑茶を飲んだ後に仕事の効率が上がったと感じているという調査もあります。
※伊藤園「北米ビジネスマンの飲料実態調査」より

特に意識が高い方は、働いている間も健康を気遣うとともに、毎日飲むものだからこそなるべく体に良いものにしたいと考えています。最近ではIT企業の福利厚生として社内の冷蔵庫に置いて無料で飲めるようにしているところも多いのですが、それはやはり企業のオーナーが働く環境として社員が健康に働いてほしいと気にかけているからこそなんです。オフィスで「お~いお茶」の良さを知った方々が店頭でも購入してくださっている流れができています。

アメリカにおいて「お~いお茶」は決して価格が安い方ではありません。加えて評価にはシビアな国ですから、価値が受け入れられないと飲まれません。そういう国で受け入れられていることは誇りですね。このようにアメリカでは日本とは異なる価値で「お~いお茶」が飲まれていることを日本の方にも知ってほしいと考えています。」

―――「店頭でも購入してくださっている」とのことですが、日本のようにコンビニやスーパーなどで気軽に購入できるのでしょうか。
安田氏「日本同様、アメリカでもルートセールスといって各小売店様を営業担当者が訪問し、『今「お~いお茶」がこのように飲まれていて、これからますます人気がでる飲み物です』と説明して、徐々に販売店は増えてきています。その結果、西海岸やニューヨークなどのエリアでは、ほぼどこの小売店でも置いてある状態です。

日本で緑茶といえば、「ほっこりする」という“目的”で飲む印象が強いですが、アメリカではその“効果”を期待して飲むもの、という認識の違いには驚きました。私達が普段何気なく飲んでいる緑茶は、海外では仕事の効率を上げるスペシャルなドリンクという扱いになっています。」

”飲んでもらう”だけではない、お茶本来の価値と可能性を日本でも伝えていく

アメリカをはじめとする海外で高い評価を得ている「お~いお茶」だが、伊藤園ではただ販売をするだけにとどまらず、日本でももっとお茶の魅力を知ってもらい、楽しんでほしい、とお茶の価値と可能性を伝える活動を長年続けている。

―――伊藤園では、お茶の魅力を伝えるために日本国内で「お茶の文化の魅力」を伝える取り組みをしているとのことですが、どのような活動をされているのでしょうか?
安田氏「伊藤園では1994年から行っている社内資格の『ティーテイスター制度』により、お茶の知識を有する社員の育成を強化し、社員約5,400人中2,166人(2019年5月時点)が取得しています。緑茶はもちろん、ウーロン茶などの中国茶、紅茶などの茶畑の産地について、摘採、製造工程からおいしいいれ方までを学びます。学科試験と検茶試験、口述試験があるかなり厳しいものです。

ティーテイスターを取得すると、お茶のおいしさや楽しみ方について知識を持った社員が、店頭やお寺、空港などで年間1,500回以上茶会を開催し、お茶をふるまう機会をつくっています。アメリカでも、年に数回開催しています。

なぜ伊藤園がこのような活動をしているかといいますと、お茶のリーディングカンパニーとして、昔からのお茶の良き文化を改めて日本の方々に再認識していただき、合わせて、世界にも広めていきたいと考えているからです。お茶をいれるという行為、そこで自然と弾む会話、気持ちを落ち着かせる香りなど、「お茶の魅力」を伝えることが使命だと思っています。そのためにはティーテイスターが中心となって、おいしいお茶のいれ方だけでなく、そこから生まれる相手とのコミュニケーションも伝える役割があります。

お茶をいれる時、2人分以上いれることが多いですよね。自分のためだけでなく相手を気遣う精神がお茶には詰まっていますから、お茶にしかできないことがきっとあるのではないか、と考えています。」

―――日本ではお茶の魅力について、どのような部分に惹かれる方が多いのでしょうか。
安田氏「おいしさは当然ですが、健康性もキーワードです。アメリカで緑茶を飲んでいる方の39.6%が『健康に良いから飲んでいる』という調査結果※もありましたが、日本でも同様に緑茶の健康面に対する注目度が高まっています。
※伊藤園調べ

さらに、緑茶に含まれるカテキン、カフェイン、テアニンについての注目も高まっているようです。コーヒーにはカフェインが多く含まれていますが、緑茶にはカテキン、カフェイン、テアニンがバランスよく含まれています。さらに、これらはお茶をいれる温度帯により変化します。低温でいれるとテアニンが増えて甘みが増しますし、高温でいれれば苦みと渋みが抽出されて、気持ちがリフレッシュすると言われています。用途に合わせて多様な飲み方ができるのも緑茶の魅力ではないでしょうか。

そのため、「お~いお茶」シリーズでは、茶葉をたっぷりと使用し、高温でいれることで渋みを味わう「お~いお茶濃い茶」、国産一番茶を100%使用し、旨み成分を低温でじっくり抽出し、テアニンたっぷりの「お~いお茶 新緑」など、様々な飲み方やニーズに合わせて楽しんでいただけるよう、バリエーションを多数取り揃えています。」

お茶の魅力と正しいいれ方を知ると、「気分に合わせて違った味わいのお茶を飲み分ける」といった楽しみも生まれそうだ。

色がクリアな理由――より良い品質で身体を気遣いながら、より良い状態でお客様にお届けしたい

伊藤園は、商品の製造方法にもこだわっている。1985年からは世界初の開発となる「急須式抽出機」で製造を開始。これは、急須でお茶をいれた時と同じ角度を1℃刻みで再現し、数秒刻みでおいしいところだけを抽出する方法だ。
安田氏「ご存じではない方も多いですが、お茶は非常に繊細なため、急須でお茶をいれる時にもジャーッと勢いよく注いでしまうと、その味わいは渋いだけの淡白なものになってしまいます。少しずつ傾け、途中で止めて茶葉を対流させることがおいしいお茶をいれるコツだったりします。ほかにも、お湯の量や温度、傾きの角度や、抽出時間でも全然味が変わるんです。そのこだわりを実現できるお茶のいれ方を工場の生産ラインで再現したのが「急須式抽出機」であり、緑茶飲料では、我々が世界初だったんです。

さらに、飲料において本当にお茶をおいしく飲むためには、お茶は濁っているものよりもクリアなものの方が茶葉の鮮度が失われないと考え、伊藤園では特許を取得した方法で濾過を行っています。ペットボトルのお茶が普及し、1度に飲み干すのではなく1日かけて少しずつ飲む方が多くなりました。1度フタを開けてから飲み終えるまで、変わらない味でおいしく飲んで頂きたい……そのためにお茶はクリアなものでなければなりません。ただし、クリアにしつつ、旨みや香りを残すのは、実はとても難しいことなのです。

特にこれからの暑い季節には、ペットボトル飲料でも品質の劣化はとても気になります。1日かけてペットボトルのお茶を飲んでいて、朝と夜で味が変わったり風味が落ちていたら残念ですよね。「お~いお茶」は、キャップを開けた時の香りが特徴です。ここまでこだわるのはやはり、より良い品質なもので身体を気遣いながら、より良い状態でお客様にお届けしたいから。おいしさにここまでこだわっているということを、もっとお客様に知っていただきたいですね。」

「世界のティーカンパニー」を目指す伊藤園の展望

それほどまでにおいしさにこだわり、お茶のおいしさや楽しみ方を啓発する伊藤園は、「世界のティーカンパニー」を目指している。

―――「世界のティーカンパニー」を目指す伊藤園の、今後の展望を教えてください。
安田氏「日本の文化でもある「お茶の文化」を広めるのが我々伊藤園の使命だと思っています。そのためには、まずお茶の魅力を伝えることからおこなっていきたいです。

そんな使命感の表れが、社員の約半数近くがティーテイスターの資格を持ち、それを通じて自らお茶を広めることのできる集団であることだと思います。これは伊藤園の大きな強みでもあります。日本のお茶は飲み継がれていくべきものだと思いますので、お茶の価値をどんどん広めていき、お茶を通じて健康で豊かな生活を世界に広めていきたいです。

そのためには、海外で販売することだけが手段ではないと思っています。2020年は東京オリンピックにより、世界中の方が日本にやってくる年です。そのため、伊藤園としてもしっかりとおもてなしをして緑茶の魅力を知ってもらい、自国に持ち帰ってもらうことができればと考えています。そしてゆくゆくはお客様からも世界のティーカンパニーと認められることができれば嬉しいですね。」

その製造工程へのこだわりの徹底と、お茶自体が持つ価値に触れてもらう活動により日本のお茶文化を守り続け、啓発する伊藤園。そのおいしさや効果は海外からもお墨付きだ。日本人にとって身近にある「お~いお茶」を改めてじっくりと味わってはどうだろうか。
BRAND TIMES
企業のストーリーをカタチに